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家族で異世界転生~そして、少年は~  作者: 長谷川
第2章 再会、そして~
24/111

2ー10話

※翌日※


「はっ!」

「うわぁ!」


 俺は最後にジアンに木剣で強烈な一撃を浴びせて、ジアンが木剣で受け止めきれずに吹き飛んだ。


「大丈夫か、ジアン?」

「───あぁ、両手が痺れてる位だ。かなりキツい一撃だったよ、カイト」

「ははっ、すまん。それじゃあ、休憩しようか」


 ジアンにそう言い、俺達と離れた位置で()()()()()をしていたノエル、エルス、リーナ、ルセの方を見るとあちらの方もひと段落付いたみたいでこちらに来ていた。


俺、ノエル、エルス、リーナ、ジアン、ルセはとある一室で朝から()()をしていた。


「みなさーん!お飲み物をお持ちしましたー!」

「おっ!ナイスタイミング!」


()()()()姿()()()()()()()は銀のカートを押しながら言い、それを聞いたジアンが喜んでいた。


「皆さん、お疲れ様です」


 ケイトさんはそう言いそのまま飲み物の準備を始めた。


「それにしても、リーナ。一体公爵様と()()()()()()()()()()()()()()()()()

「“吹き込んだ”だなんて、人聞きが悪いわよ、カイ。私はただ()()しただけよ」

「だったら教えてくれても良いだろ?()()()()()()()()()()()()んだよ」

「ふふふっ。いずれ分かるわよ」


 傍に来ていたリーナに()()()()()()のことを聞いてもはぐらかされた。


 なぜこうなったか。

 昨日、リーナに急かされるままギルドから公爵家の屋敷に通門ゲートで一気に俺、ノエル、エルス、リーナ、ジアン、ルセ、ミゲルさん、ケイトさん、カルトちゃんの大人数がリーナの部屋に出てそこから部屋の外に出れば、屋敷にいるメイドさんから執事の人まで驚いて大騒ぎになり大事になって、その報告を出掛ける所だった公爵様が聞いて呼び出された。まぁ、リーナがミゲルさん達のことで用があると言っていたから都合がよかったが。


 リーナが公爵様とミゲルさん達のことを話すのかと思いきや、俺とノエルがジアンとルセに特訓をつけていることを知り、自分たちも特訓をするから、と公爵様に話してそれならと公爵家の敷地内に3棟ある内の1番小さい訓練施設でやることになった。そのあとにリーナが寮住まいのみんなは公爵家に泊まるようにと強制して、俺だけ寮に行き、寮住まいのみんなの分の外泊届けをして来るよう、ほぼ強制的に行かされて、戻って来たときには話しが終わっていた。


 あとから聞いたがミゲルさん達は公爵家で住み込みで働くことになったとのこと。

 その日の夜は、ジアンとルセに俺とノエルが、どうしてどうやって強くなったか、話した。もちろん新たな属性魔法のことは言わないように、厳命して。

 話しを聞いた二人は、今度は特訓ではなく修業をつけてくれと熱意のある、覚悟を決めた瞳を向けて言ってきて、それを受け承諾した。


 そして今朝、公爵家の屋敷で寝泊まりしても、いつもと変わらずに鍛練するために昨日のこともあったから今回はノエル、ジアンとルセはもう少し寝かせて、一人で屋敷の外に出て鍛練を一通り終わり、部屋に戻る時にその人達と会って呼びかけ、その時にその人達の口調がおかしいと気づいたのは。

なんせ()()()姿()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()が『おはようございます、()()()()』と挨拶をしてきたからだ。

 昨日は寮に外泊届けをするために行って戻って来たときにミゲルさん達に会わずにその日は終わったから。

 二人にどうして俺に「さま」をつけるのか聞いたら、『ここで働く礼儀作法ですから』と納得出来ない答えが返ってきた。

 それをリーナに聞いても教えてくれず、他のみんなに聞いても笑みを浮かべて教えてくれなかった。


 そして今


「さぁ、カルトちゃん、気をつけてカイト様に持っていってね」

「あい!」


 ケイトさんと一緒に来た()()()()()()()姿()()()()()()()()がケイトさんに言われて俺に飲み物の入ったコップを両手で持ってきた。


「あい!おいいたん!」

「ありがとう、カルトちゃん」


 カルトちゃんからコップを受けとり、お礼にカルトちゃんの頭を優しく撫でた。


「んふふっ!おいいたん、あいかとう!」


 まだまだ舌っ足らずなカルトちゃんはお礼を言いケイトさんのところに戻って行った。


 はぁ~、小さくてカワイイかった。かなり癒やされたよ。


「カイト、いくらなんでも小さな子に手を出したら犯罪よ。出すなら私にしなさい。私はいつでもウェルカムよ」

「いやいやいや!何を言っているのさ、エルス!………可笑しなことを言うからみんな引いているだろ!」


 エルスの奴いきなり何を言い出すのかと思ったら、変なことを口走りやがった。


「カイ、私でも良いのよ?」

「カ、カイくん、私も!」

「いやいやいや!()()手は出さないよ!」


 リーナも言い出して、終いにはノエルまで悪ノリしてきたよ。


「リーナ!ノエル!今聞いた!」

「えぇ、確かに!聞きました、エルス」

「私も聞いたよ、エルスちゃん!」

「ほぼ言質を取ったわよ!」

「えぇ」「うん」


 何やらノエル、エルス、リーナが自分たちだけで話して納得している、何かマズった?


「カイト、ちゃんと責任とれよ!」


 訳も分からずにいる俺にジアンがニヤニヤ笑顔で言ってきた。


 コイツ!他人事だと思って無責任なことを!


「ルセ!ジアンの奴、今、両手痺れてコップ持てないから飲ませて上げて!」

「ちょっ!カ、カイト!?」

「ん?そうなの?───分かったよ」


 俺達が話しいる間も、ケイトさんとカルトちゃんがみんなにコップを渡していた。

 中身は少し白くやや黄色の液体だった。


「「「「「「いただきます」」」」」」


 飲んでみると、酸味があったが甘みもあり程良い味わいだった。そうレモネードのような味わいだった。


「おいしいですよ、ケイトさん」

「ありがとうございます。皆さん、汗もかいて疲れているでしょうから」


 俺は素直に感想を述べてケイトさんからそう返ってきた。

 ジアンの方を見ると恥ずかしいらしく顔を赤らめながらもルセに飲ませてもらっていた。ルセも少し赤らんでいた。


「───しかも、()()()()()()()おいしいですよ、ケイトさん」

「ありがとう、ジアンくん。何てったって、カイト様が魔法で作ってくれました()を入れて作りましたから」

「本当、暑い季節のときは最高だよなぁ。カイト、早く俺にもその魔法、教えてくれよ」

「ジアン、今朝始めるときに言っただろ?今はまだ、使う属性のイメージと魔力操作が必要なんだって。いずれ教えるから」

「あぁ、そうだったな」


 はやる気持ちになり易いがすぐに切り替わるところがジアンの良いところだよな。


「カイト」

「ん?何、エルス」

「私もルセみたいにカイトに飲ませたいのだけど?」

「っ!!ゴホッゴホッゴホッ、ちょっ、ちょっとエルス何を言い出すの!」「っ!!エ、エルスちゃん!」

「え~だって、ルセとジアンくんが羨ましくて~」


 だからジアン!顔を赤らめて何で黙るんだよ!何か言えよな!


「ダメです!」

 

 そんな雑談をしながらその後も昼食や休憩を挟みながら夕方まで続けた。


 今日の夕方頃に昨日から出掛けていた公爵様が帰って来た。ギルマスのバーンさんを連れて。

 公爵様が話しがあるとのことで夕食前に話しをすることになった。


「まずは、途中経過報告で村のことだが……」


 バーンさんから話しがあった。


「騎士団とギルド、それと名うての魔法士の人達で調査した結果、村は壊滅、村人もミゲル殿達以外は全員と言っていいほどだった。それで村の周辺を調査したら森の中に洞窟が発見された」

「洞窟?」

「ミゲル殿、村の近くの森の中に洞窟はあったのだろうか?」


 俺の問いにバーンさんがミゲルさんに聞いていた。


「いえ、僕が生まれてから知る限り洞窟はありませんでした。いきなり出てきたとしたら半月は経ちますね」

「半月?それはどうゆう事ですか?」

「はい、半月に一度腕に覚えのある人達でウサギや鹿などの動物狩りをしているのですけどその時にはそんな話しはなくて、代わりに村の周辺にはいないベアーが出まして、それで何人かがケガをしまして、村長達と話し合ってギルドにベアーの討伐を依頼したのですよ」

「それで、今回カイト達が依頼を受け村に向かったと」


 バーンさんはミゲルさんの話しを聞いて、最後にこちらを見てきた。


「───それでなんだが、今回の依頼の報酬なんだが」

「仕方がないですよ、事態が事態ですし、無くても」

「いや、報酬としてカイトとノエルを除くみんなにはランクを二つ上げることと、金貨百枚を報酬として受け取ってもらう」

「金貨百枚!?」


 ジアンがバーンさんの話しにびっくりしていた。

 バーンさんはお構いなしに、自身のマジックバッグから小袋を取り出し、テーブルに置いた。ドサッと音がしたから本当に百枚分が入っているのだろう。


「いやいやいや、ランクはともかく、金貨百枚は多すぎではないですか?」

「いや、カイトよ、今回はそれだけのことをやってくれたのだよ」

「???。どうゆうことですか、公爵様」

「うむ。もし、今回の依頼を受ける冒険者が居なければ、サイビス村が全滅したことは昨日の内に分からなかった。それにお主達以外の冒険者が依頼を受け村に行き対応したとしても、今回カイトが対応した怪しげな人物と異常な強さを持っていたというオーガの対応は出来ずにそこでも冒険者がやられ、サイビス村のことが分からなかったはずだ。だからこそ、この位の報酬は当たり前なのだよ」

「─はぁ~、そうですか」


 なんだが、公爵様に丸め込まれているような感じがするよ。


「それでなんだが、カイトとノエルにはギルドから特例として両名にはAランクにアップとこちらを受け取ってもらう」


 バーンさんが聞き捨てならないことを言い、俺とノエルにギルドの紋章が入った封筒を寄越した。


「あのこれは?それにAランクって?」

「その封筒の中にはSランクにアップさせても良いという推薦状が入っている。本当はお前たちを今すぐにでも、Sランクにしたい位なのだが、こればかりはギルドの規則でそうもいかないからな」

「でも、だからといってそんな簡単にAランクにしていいのですか?」


 本当に何でこうサクサクと、ランクが上がってしまうなのさ。


「今回、冷静かつ迅速な対応をしたことでこれなら問題無いとギルドマスターである私が判断した結果だ。それにこれから必要になってくるからな」

「ん?どうゆうことですか?バーンさん」

「それでは、私はミゲル殿に聞いた話をしにサイビス村で調査中の騎士団のところに戻りますので、これで失礼します。エルスティーナ様、公爵様」


 バーンさんは最後に軽く会釈して部屋から退出して行った。


 ぜってぇ逃げたよ、あの人は。いやな感じがしてきたよ。


「ミゲル達には国から、金貨五十枚を預かってきた。これからの支度金とサイビス村の人達の弔慰金ちょういきんとして」


 公爵様も自身のマジックバッグから小袋を取り出してテーブルに置いた。


「──ライナー様、そのお金は預かってもらっていてくれませんか?」

「ん?それは構わないが、理由を聞かせてもらえないか?」

「はい。ライナー様とリーナ様のご好意でここで働かせてもらい更に、お給金まで出すとおっしゃって頂いただけでも充分ですし、弔慰金はサイビス村の調査が落ち着いた時にでも、と思いまして。私達だけでも村のみんなの弔いをしてあげたいですから」

「うむ、分かった。なら支度金は()()()()()()のために取って置こう。それとなミゲルよ」


 公爵様がミゲルさんを真摯に見ていた。


「サイビス村の弔いは私達が一緒でも構わないだろ」

「───はい!はい!ありがとうございます、ライナー様!」

「ありがとうございます!」


 公爵様が俺達を見渡して言い、それを聞いたミゲルさんとケイトさんは泣きながらお礼を言っていた。



「うむ、それでな、次に姫様の件なのだが」


 ミゲルさんとケイトさんが落ち着いた頃に公爵様が話し始めた。


「お父様はなんと?快く承諾してくれましたよね?」

「いや、それが……………やはり、何かしら名誉が無いとダメだと」

「っ!?──それでお父様はなんと?」

「ひとつは、最低でもSランクの冒険者になるか、もうひとつは、三年に一度、つまり今年開かれるソティウル騎士王国との学生達による交流試合で見事優勝してみろと、言いまして」

 

 へぇ~そんなことをしているんだ。何気に友好的なんだな、この国、聖王国と騎士王国は。


「ふっふっふっ」


 あ~さすがのエルスも自分の意見が通らなかったから、面白くなかったのかな。


 エルスは公爵様の話しを途中から俯いて聞いていて、最後に体が震えていた。


「あの~姫様?」


 公爵様がエルスの様子がおかしいと思って声を掛けていた。


「ふっふっふっ、お父様ったら、なんて愚かで簡単なことをおっしゃっているのかしら。()()()()()()に掛かれば、どちらでも楽勝ですのに!」

「おぉ~い!エルス!?」

「あっ!それがですな姫様。ひとつ問題が」

「何ですの?」

「交流試合の方の話しでして、カイトが優勝したら、ジェイド殿、つまりかの“剣聖”と試合をして勝利してみろと、言いまして」

 

 王様!一体なにを言っちゃてるの!?


「まぁ、お父様ったら大人気ないことを」

「あの~、その前に聞きたいのですけど~?」

「ん?何かな、カイト?」


 何か良からぬ方向に進む気がして、俺は恐る恐る手を上げ公爵様が応えてくれた。


「そもそも、交流試合って何ですか?公爵様」

「あぁ、それは、今から約二ヶ月経った頃にソティウル騎士王国との国境くにざかいにある、名前がグラティウルと呼ばれる友好の証の都市があり、そこで開かれる剣魔武闘会と呼ばれる学生達が両陛下の前でやる試合のことだよ」


 そんな都市まで造る位やっぱり、友好関係なんだなぁ。


「その試合での優勝が何で条件なんですか?」

「うむ、それはだな、その試合に出れるだけでも、学園を卒業したあと、優秀な人材として騎士団でそれなりの立場に優遇されるのだよ。その中で優勝したチームで最優秀の者で将来性のあるほんの一握りの逸材の者は、聖王陛下の近衛騎士団に優遇されるのだよ」


 ふむふむ、結構凄い行事をやっていたんだ。


「それに陛下が、今回の試合で陛下が認めた優勝者の中で最優秀の者には姫様の婚約相手になってもらうとおっしゃっておりましたから」

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

「私はカイトが居ますから、他の人はイヤですとあれほど言いましたのに。お父様には、帰りましたらお説教をしますからご心配ないですわ。」

「こ、婚約!?この年で!?」

「あぁ、本当は時期はまだ早いのだが、今回、婚約相手が決まったら姫様の社交デビューも兼ねるそうだよ」


 まだ先の話だと思っていたのに、急過ぎるぞ。


「あの~何でそんなに急になったんですか?」

「あぁ~うむ、最後は陛下の嫌がらせだな、多分」

「?」

「ただ、子どもなだけですわ!」

「陛下ってどう言った方、何ですか?」

「えっ!?うん、まぁ、ひと言で言うなら私以上の親バカだな」

「ふふふっ、お父様ったら自覚がありましたのね」

「まぁ、確かに叔父様の言う通りね」


 わー。1番面倒くさい人物の様だぞ!


 そのあとは、エルスが早々に王城に帰り、残りの俺達は公爵様のご好意で夕食を食べながら試合の話を詳しく聞いて、それから寮に戻った。ギルドからの報酬金の金貨百枚を分配しようしたら、ノエルとエルスとリーナは今は金に困っていないから、ジアンとルセはそんな大金恐ろしくて持てないとのことで俺が代表して持つことになった。


 面倒くさい方向になってきたと思いながら就寝した。


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