閑話 ジェイド編
「はぁ~。疲れた」
俺は、日々のストレスから、ため息を出してしまった。
────幾ら何でも、勝手過ぎませんか?師匠よ──
俺は師匠に出会い、剣術の修業を付けてもらい、その結果、才能にも寄るが、努力の甲斐あって、俺のステータスに剣聖の名前が付いた。
それを師匠に話したら、師匠は自身の役職を俺に、ほぼ強制的に譲り渡しどこかに、居なくなった。
それが俺が18歳の時だった。
居なくなった時から、2年経つ間、たまに手紙を寄越してた。
俺は、現在20歳になっていた。
俺は、師匠からほぼ無理矢理に、師匠の役職だった王国筆頭剣術指南役を任された。
俺はどうしようも無いと諦めて、勤めを果たして行った。
俺は、18歳から20歳の2年の間、最初に、王国兵士に剣術を教えていたが俺は最初は加減が分からずに教えていたが、どうやら兵士たちが付いてこれない教えだったらしく、俺は上手くいかなくてストレスを感じてた。
そんな俺は、冒険者をしているため、ストレスを発散するために、ギルドに行き、依頼を受けた。
俺はその時点では、世界で7人しか居ない、Sランクであったために、中々、手頃な依頼がなく、ムリムリ、ギルマスに頼んで依頼を貰ったが、その直後に、王都に凄まじい咆哮が聞こえた。
その咆哮の持ち主は二体の蒼いドラゴンだった。俺はそのドラゴンを視認したら、二体のドラゴンは口を膨れさせ、炎を吐いた。
このままではマズイと思っていたら、そこに水色の髪の女性、俺の恋人のセリカが現れた。
セリカは水魔法でドラゴンの炎を防ぎ、そのまま二人でドラゴンを討伐したのだった。
その後は、聖王陛下から褒美と称して、俺は平民だったから、爵位を授ける、と言われたが、これ以上俺自身、足かせは要らなかった。
その代わりに、セリカとの仲を聖王陛下から、セリカの父親に願い出た。
セリカの父親は伯爵であり娘のセリカも師匠から王国筆頭魔導指南役を任された位の実力を身に付いていたから、伯爵としては王家に嫁がせたかったらしく、幾ら王国筆頭剣術指南役の肩書きがあっても平民だからといって、渋っていた。
それでも聖王陛下はセリカの父親に認めさせ、更に特例として、聖王陛下はギルドと話し合いの結果、俺に師匠と同じSSランクを授けた。SSランクは俺と師匠の二人しか居ない。
それを聞いたセリカの父親は、渋っていた時と、うって変わって、寛容になっていた。
俺は、SSランクになってからは、兵士たちにあった速度で教えていた。
ただただ、俺は実力を出し切れずストレスを感じていた。
俺は、あのドラゴンの襲来の時、戦っている最中に躰が軽くなっていて、その後に自身のステータスを視たら、軽くなった理由が分かった。
戦神から祝福を受けて、大幅に身体能力が上昇していたからだった。 すでに人の領域を超えていた。
※※※
そんなこともあり俺が20歳の時、又、ストレス解消のためギルマスに頼んで依頼を貰った。
今回は、温泉のある村だった。 セリカも誘ったが、どうしても外せない用事があり行けないと言われ一人で村に向かった。
俺は村の入り口にあった看板を見てた。その村の名はアデル村。
俺は村で唯一の宿屋に向かった。
宿屋で宿泊の予約を取りそのまま食堂も兼ねていたから、早めの昼食を済まそうとおもむいた。
店主であろう人が注文を取りに来て、注文して少し依頼のことを聞いてみた。 依頼主は村長だが、村で唯一の食堂だから、少しでも変わった情報があるのではないかと、思って。
その後は、聞いてみたけど、いつも通りだと言っていた。店主はそのまま厨房に向かったが途中、男女の子供が二人入ってきて、眺めてたら、どうやら一人男の子はこの宿屋の子供だった。
つい聴き耳をたててた俺は、その男の子が今日ステータスカードを貰ったらしく、つい話かけていた。
その後、話してたら男の子は村長の所に案内を申し出た。 まぁ、村の中だし人に尋ねてもよかったがせっかくなので頼んだ。名前はカイトとノエルと言う。
村長と話し合い、二人に案内をさせると言い出した。
いくら何でも危ないと言い出したが、村長は聞く耳持たず渋々了承した。
村を出るときに、装備をして森まで向かった。
道中何ごとも無く森まで着き、そのまま森の中を探索した。
一通り見終えたと思ったら、怪しい人影がその先の洞窟に入って行った。
何かイヤな予感がした。 このままでは、危険だと感じた。
二人に武器と回復液と赤い魔石を渡して、村に帰るように言って、帰らせた。
その後、俺は洞窟に入った。
俺は、拓けた空間であの二人を見つけた。
しばし見てたら、召喚魔法特有の魔法陣を発動していた。
ヤバイと思い、掛けだしたが間に合わなかった。
出て来たのは、黒いドラゴンだった。
このドラゴンは確か、ブラックドラゴンで中級種だったはず。
王都を襲った蒼いドラゴンは、ブルードラゴンで下級種だったはず。 そんなドラゴンを呼び出して何するつもりだ。
その後、ドラゴンに斬りかかるが怪しげな魔法を受けたドラゴンは、あり得ないほどの再生能力を有していた。
俺は、戦神の祝福を受け、自身の身体能力が上昇し、人の限界を超えた力を初めてこの時───
────全力で使った。
中々、苦戦した。 だがドラゴンの再生速度が低下し、回復もしなくなっていた。
正直、ポーションをそんなに持ってこなかったため、もっと長引けば危なかった。
俺は、全力で力を使えて嬉しい、反面やはり、人外の力だと感じた。
※※※
俺は洞窟から出て、辺りを見回すとそこに、人影が見えた。
次の瞬間月明かりで、その人物がカイトだと分かりウルフにより攻撃を受けた所だった。
俺はすぐ様ウルフを退治してカイトのケガを見るとかなり危険だと分かった。
ノエルにポーションの在処を聞くとカイトが腰に付けてた袋に入っていると言い、確認すると倒れた衝撃で砕けていた。
このままでは危険な状態だと思い、少し回復した魔力でセリカに念話で助けを求めた。
俺と深い絆のおかげで魔力を感じて、すぐにこの場に来てくれて、回復魔法を使ってくれた。
どうやら傷は塞がったが、熱が出て熱が引かないらしい。
どちらにせよ、この場に留まっても仕方ないから、セリカに村に行くように頼んだ。
カイトが目覚める、一週間の間はカイトの家族や村長に事情を話したり、セリカと共に一度王都に報告に戻ったりとしていた。
その後、カイトが目覚めたと知らせを受け、様子を見に行き、まだ安静にしていろ、と注意して部屋をあとにした。
少ししてカイトがノエルと共に来た。さっき注意したばかりなのに。
何やら顔付きが変わっていた。
話を聞くと大切な人を守るための強さが欲しく修業を付けて欲しいと言う。
子供の戯れ言だと思い目を見ていた。
────それは紛れもない覚悟をしていた。
まだ7歳の子供がこんな目をする何て、何かもっと大切なことがあると思った。
俺は、決心して修業をつけることにした。
翌日
まだ、カイトは剣もろくに扱ったことが無いし、最初だし、と思い軽めに打ち合っていて、もうそろそろ、終わりにしようか、と思った時カイトが木剣をあの人が、師匠が全力でやる構えをして、俺は身震いをした。
その後カイトにさっきの構えを聞こうとしたが、偶然だと思いやめた。
その後も、俺とセリカによる修業がひと月経った頃、さすがにカイトも動きが最初の頃より良くなっていた。
※※※
俺とセリカはたまに王都に戻っていた。
役職柄、兵士たちの訓練を見に来ていた。
そんなある日、聖王陛下から、7歳になったから、陛下の娘と公爵の娘の剣術と魔法の訓練をしてくれと頼まれた。俺はもちろん承諾した。
その後、セリカと共に二人と顔合わせをした。
「お初にお目に掛かります。 私の名前は、ジェイド・ラーディエルと申します。 王国筆頭剣術指南役を務めさせております」
「初めまして。 私は、カイゼル・グラン・ド・グラキアス聖王陛下が娘、エルスティーナ・グラン・ド・グラキアスと申します。どうか、エルス、とお呼び下さい。 ジェイド様」
「初めまして、私は、ライナー・ツォン・フォレスト公爵が娘、リーナ・ツォン・フォレストと申します。 どうぞ、リーナ、とお呼び下さい。ジェイド様」
俺がお辞儀をしながら自己紹介をして、二人もまた自己紹介をした。
ただ、服装は訓練のしやすい格好でもあったため、ズボンの端を少しつまみお辞儀をした。
セリカは顔なじみだったらしく、軽く挨拶をした。
陛下の娘のエルスは、肩まで無い長さの少しクセのある金髪に、可愛らしく整った顔立ちに、背格好は、120cm位にあった体型をして、白のブラウスに紺色のズボン、灰色のブーツの服装をしている。
もう一人の公爵の娘のリーナは、背中まであったであろう薄紫髪を後頭部辺りにまとめ上げて、こちらも可愛らしく整った顔立ちと背格好、服装もお揃いにしている。
端から見るとこの二人、本当の姉妹かもしくは双子、と言うほど仲良しだった。
その後は、エルスとリーナは陛下と公爵様から話を聞いてたらしく、村で会った少年のことを話したら、何やら嬉しそうな表情になった。
それからも俺は、カイト達がいる村で修業を付けて、たまに、王都に戻って、エルスとリーナの訓練を付けた。
そんな日々を続けていき、三年の月日が流れた。
※※※
俺は、カイトが10歳になり学園に通える年になったので、その日、ひと区切りと思いカイト達に全力でやってみようと言った。
正直、俺はカイトと全力でやってみたかった。
ノエル、エルス、リーナの三人も強くなったが、その中でカイトは一つ二つ抜き出た強さになったからだ。
ましてや、俺は、手加減しているとはいえ、最近のカイトは俺の全力に近くなっていたから────
────だからこそ、試したい────
────お前の今の全力を知りたい、師匠として、一人の剣士として────
※※※
───やはり、カイトは強くなった、俺に迫る強さになっていた────
────まだまだカイトは強くなる────
───俺よりも更に強く───
最後のあの構えは、最初の打ち合いでも見たものだった。
あの構えを見たとき、またしても身震いをした。
俺はいつか、師匠としてではなく、一人の剣士として挑める者となると感じた。
嬉しかった。
それを自覚したとき俺は、根っからの戦闘狂だと思った。
だからこそカイトに、俺が師匠から貰った刀を渡す。 それが良いと感じたからだ。
※※※
しばしの分かれだと思った。
どうせすぐに再会できるから。
これからの楽しみが出来たからな。
俺とセリカは王都に戻った。