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第三話 突撃!奈落の神さま!

四話と同時投稿です

ーーーーーーーーステータスチェッカー

特殊魔製合金オリハルコンを素材とし、腕輪やネックレスのような

装飾品で装着者の魔力の波動の変化や魔力量の増減などを検知、その情報から

使用可能なスキルの特定、身体能力の測定、及び限界値の算出、それらを

総合的に加味した上でレベルという具体的な数字で表記するという代物だが・・・

実はこれ神話の時代に作られたものであり、今あるのは全て模造品でどんな

模造品コピーでも金貨10枚は下らない高級品だとか。

ちなみに銅貨1枚を基準としたとき

銀貨1枚=銅貨100枚、金貨1枚=銀貨100枚

つまり最も価値の低い銅貨一枚が1円なら金貨一枚で1万円ということである。


「じゃあ俺たちが付けているのは・・・」


「あ、それぞれ金貨50枚ね、代金はこちらで持つから良いよー」


『・・・・・・』


つまり俺が付けている腕輪と喜美がつけているチョーカーで100万

ということだ。たった二人のために100万だすとは・・・恐ろしい資金力である。

ギルドの評価を上方修正した方がいいかもしれない・・・




ーーーーーーーーーーーーー




ああ・・・うん、そうだ。俺は喜美と異世界に来たんだ。

そしてクスと出会って、宿場町に来てギルドで・・・あれ?

その後に・・・。?・・・俺は何をしたんだっけ?

記憶が飛んでるのか?ああくそっ!肝心な所が何も分かってねえ!

とにかく周りを確認してここがどこなのか調べないと・・・っっっ!?


立とうとした瞬間身体に激痛が走った。忘れてた!、今俺大怪我した上、

魔物と文字通り死闘を繰り広げたのだった。というかあの時の

俺は何言っているんだ!と今更自分の発言が恥ずかしくなってきた。


(生け贄になってくれよとか何言っているんだ俺ぇぇ・・・!!)


顔を隠したくなるのに激痛でそれすら許されないとはどんな生き地獄だ。

もう穴があったら入りたい。というか死にたい。さっき死にかけたばかりだけど。

としている間にどこからか音が聞こえてきた。


(うーん何の音だ?何かぺちぺち言ってるし。魔物では無いな。

でもこんな所にそれ以外の生き物居るわけが無いしなー・・・。)


そこまで考えたあたりで正体が分かった。簡潔に言うと女の子が走ってきた。

首から明かり替わりなのか光る鉱石のようなものを提げた藍色の髪をした女の子だった。

倒れている俺には目もくれず一直線に魔物に向けて全力疾走してきた。

魔物に近づいた所でようやく俺に気づいたのか、急ブレーキ。

そして地面に頭をつけて一言。


「お願いします!魔力が枯渇して死にかけなんです!見逃して下さい!」


と、涙を流しながら訴えてきた。いつもならいじる余裕があるのだが

こんな状態ではそんな余裕も無いのだ。悲しい。


「・・・何もしないからそれは好きにして良いぞ」


「!・・・あ、ありがとうぅ・・」


「・・吸収回復ドレインヒール・・・」


吸収回復ドレインヒール・・・

妨害系の魔法と回復系の魔法の複合系の魔法で原理は妨害系の魔法で

外部に放出させた魔力を回復系の魔法で体内に取り込み回復する。

と聞いただけでは簡単そうだが二つの魔法の加減が難しく、

どちらかに魔力を使いすぎるとただ平行して妨害と回復をしている

だけで効率が悪くなる。それ故ギルドでは上級者向けの魔法に指定され

それこそ目の前の少女のように死亡直後の生物から行うのは

達人クラスでないと難しいらしい。ちなみにこの時はそもそも

どんな魔法か知らなかった。だから、「わーすげーなー。何だろあれ。」

ぐらいしか思ってなかった。


「ふう、ああぁぁ~久しぶりで気持ちいい!」


相当な間、困っていたのかすごく嬉しそうだ。

くっ!YESロリータNOタッチだ俺ぇ!我慢我慢。


「そりゃ良かったな。というかなんでこんな所にいるんだ?そもそも

お前は誰だ?ここは何処だ?」


「一気に質問されても困る。ゆっくり話してほしい。」


「あ、す、すいません」


また俺の悪い癖、すぐ謝るが発動してしまった。しかもこんなロリ相手に・・・


「・・・まぁさっきのお礼として教えるよ。私はハデス。これでも神種、

今は特神コールというのだったかな。私は数百年以上この大渓谷、クエイクに

幽閉されているのだ。」


うんうんってえぇぇ!?このロリが守護神のハデスだと!?

嘘だろ!?それに幽閉だと!?何故守護神と崇められる特神が幽閉されるのだ!?

それとここはどうやらクエイクという大渓谷らしい。光が届かないって

ことはここ相当深いのか・・・。


「驚きすぎでしょ。別に神が幽閉されるなんて普通じゃないか」


「いやいや!?普通じゃないからね!?少なくとも俺がいた地域は神を

幽閉するなんて考えないし!普通に信仰の対象として大事にするから!」


「なん・・・だと・・!」


なんでそのネタ分かっているんだ。いや違う、異世界じゃ価値観が違うとはいえ

ここまで違うものか?そういや守護神についてこちらの人に聞いたことが

無かった・・・。


「なんだ!その私にとって天国のような場所は!?連れて行ってくれ!

そして私はそこに永住する!早く教えてくれ!」


「いやそこ異世界だから。そう簡単に行けないから。」


「くううぅぅ・・・!!」


どんだけ悔しいんだよ。いやわかるけど。それより幽閉されるに至った経緯だ。

そこを知らなければ始まらない。


「それより私だけが紹介して自分がしないのはおかしいじゃないのか?」


もっともである。幽閉されたことについて聞きたかったがまずは自己紹介

することにした・・・



ーーーーーーーーーーー



「なるほど、それで影人はよく分からないままここにいたと」


「その通りです・・・」


「でいい加減起きたらどうだ?さすがにその体勢は失礼ではないか」


「起きれるもんならとっくに起きてるよ。今全身重傷で動けないの」


「なんだそんなことか、なら私が治そう」


「・・・できるなら早く言ってください・・」


「言わなかったお前が悪い。それにこれでも我慢した方だぞ?」


さっきから毒のある発言が刺さって痛い。なかなか傲慢な奴である。

こんな状態で無ければ言葉責めをしていたのに・・!

というか幽閉の話はどうした!・・・と言いたいが今は後にしよう。


「よし、治ったぞ。何か礼を言って。」


「・・ありがとうございます」


「うん、良し。」


満足げな表情を返す。ちゃんと礼を言ったら返事をしてくれる。

もしかしてツンデレ?うん、ないな。現実見なきゃな。


「さて、終わったぞ。いい加減に立て。」


「痛てっ!」


こいつ蹴りやがった!病み上がりの奴に向けてすることじゃないだろ。

にしても本当に治っている。まだ全快ではないがある程度自由に動ける程度には

なった。特神ってのは不思議な存在だな。一度研究してみたいものだ。

そこに疚しい気持ちはありません。一切ないです!


「で?どこに行くんだよ?」


「この先にここ特有の鉱物で明るくなっている場所がある。そこなら

落ち着いて話せるだろう」


「それってハデスが首から提げているやつか?」


「ああそうだ。・・・昔、くれた奴がいたんだ・・・。」


「・・・何か不味い質問しちゃったな。悪い。」


「何、気にすることじゃない。もう何百年も前の話だ。」




ーーーーーーーーーーーー




「そういや人間と神種になんか違いってあるのか?」


「知らんよ。私は物心ついた時点で自分が特神であったことが不思議と

分かっていたし、違いを何か挙げるならどの種族よりも生まれ持った魔力が

多いってことぐらいかな。」


なるほど、自身でも分からないとなると特神はまさしく謎の存在ということ

になる。研究が進まないのも納得できる。


「ほら、そろそろ見えてきたぞ。あそこで休憩しよう」


「おう」


確かに周りに比べて明るい空間が見えてきた。ハデスが言っていた鉱物で

明るくなっている。宿場町では見なかったことからここ特有のものであること

本当のようだ。多分ハデスが付けているのもこれだろう。


「ん、誰かいるな。お前と同じような奴かも?」


「いや、俺みたいな奴が沢山いてたまるか・・・」


一蹴するつもりだった。冗談だろって言おうと思ってた。でもその考えは

間違っていた。そんなことも言えなかったのだから。


「喜・・美・・?」


瞬間、俺の意識はテレビの電源を切ったように突如暗転したのだった・・・




ーーーーーーーーーーーー




「・・・よう。お前がこの時における保有者か。」


気付くとそこは渓谷ではなかった。むしろ今まで慣れ親しんだ場所。

机が所狭しと並び、前方には横長い板、黒板があった。

外は赤く染まる夕暮れ時。この時間帯、そこには本来誰もいない。

・・・俺は教室にいたのだ。


教卓に行儀悪く座っている存在がそこにはいた。顔は見えない。

・・・今話しているのは誰だ・・・?保有者?何の話をしているんだ・・・?


「話す必要は無い。聞くだけで良い。」


・・・。


「お前がこの力をどう使うかはお前の自由だ。・・・と、言っても既に

使っているみたいだな。全く、どうやって使ったのか・・・。」


・・・力?使っている?


「・・・成る程自覚していないのか。まあいい。何をしようが勝手だが

お前はこの力を最後は奴を殺すために・・・・・・・使わなければいけないのだ。

それがこの能力を得る代わりの代償だ。そして使えば使うほど

理想の状態・・・・・に近づく。」


一体さっきから何の話をしているんだ。力?代償?殺す?

一方的な会話もいい加減にしろ!説明をするなら全部話せ!

お前は誰なんだ!そしてさっきから何の話をしているんだ!


「それに答える義務は無い。・・・ただこれだけは言っておく。」




「・・・『女神』を殺せ。真に人を救いたいと望むなら。『魔王』よ。」




ーーーーーーーーーーーー



「・・・・!・・・・るのか!」


・・・え、何て言った?


「聞こえているなら返事をしろ影人!!」


「痛っっ!聞こえてるから耳の近くで大声出すな!!」


いきなりハデスが大声を出すから耳が痛い!全く、俺は呆けた老人じゃないんだぞ!

・・・あ、意識戻ってる。あれ?でもさっきまで俺教室にいたよな?

・・・?どうなってるんだ?あれ夢にしてはすごくリアルだったし・・・。


「なあハデス、今変わったこととか無かったよな?」


「・・・いきなりなんだ?お前が妙に聞き覚えが悪いこと以外は

特に変わったことは無かったぞ。」


聞き覚えが悪いって・・・。まあいいや。じゃあさっきのは俺だけに

見えていた?ものだったのか・・・?それより力って何なんだ・・・。

そんなもの使った覚えなんて無いし、精々魔物を倒したことぐらいしか

やって・・・あ!そういえばあの時何か言ってたな。えーっと

何だったっけ・・・?あーあの時はもう死にたくなくて必死だったから

あんまり覚えてないな・・・。・・・ま、いっか!思考停止しよう!



「で、あれはお前が知ってる奴だったのか?」


そうだった!忘れてた!忘れてはいけないことだったけどこっちだって

いろいろあったからノーカンだ。誰が何と言おうともノーカンだ・・・!


「喜美っ!・・・脈はある。呼吸もしてる。・・・生きてる・・・!

ふうー・・・良かった・・・。」


良かった無事で・・・。だけど喜美もここにいるってことは

こいつも同じようによく分からないうちに来たのかな・・・?

でも今は眠っているみたいだしこのまま寝かしておくか・・・。


それよりも何でこいつ上半身しか服着てないんだ・・・。なんて目のやり場に

困るような格好をしてるんだこいつ・・・。いや、これ切られた痕か?

上着の下の部分を少しだけ、僅かに切られたような痕がある・・・。

・・・んー何か引っかかるような気がするんだがな・・・。


「何だこいつと知り合いだったのか。」


「・・・知り合いどころか俺と一緒にこの世界に転移した奴だよ。」


「ああ、お前の言ってた奴か。揃ってこんな奈落の底に来るとは物好きな奴らだな!

もしかしてここまで落ちてきた・・・訳は無いよな。

ここまで落ちてきたのなら体が形で残る訳無いな。」


「渓谷で落ちてきたならとっくに死んでるわ!どうせ何かの魔法で転移

させられたとかだろ、きっと。まさか落っこちて来るわけが・・・」


・・・何か引っかかる。渓谷・・・落ちてくる・・・喜美の服の不自然な切り口、

そして不自然に飛んでいる記憶・・・。あー何か繋がりそうなのに

後少しが出てこない・・・!それさえ出れば何があったか分かりそうなのに・・・!


「まさか落ちてきたのか?これだけ高さがあるのに?」


「いや、分からないけど何かあったんだよ・・・!何があったんだ・・・!

どうしたらこんなところに来ることになるんだ・・・。

・・・ハデス、もし仮にここに誰かを連れてくるとしたら、お前だったら

どんな理由で連れてくる・・・?」


「随分、突拍子もない質問だな・・・。そうだな、ここならまず地上に

戻るのは困難だから口封じとか単純に殺すためとか・・・か」


「・・・・・・。・・・あ、それだあぁぁぁ!!!」


「い、いきなりどうした!?お前も十分大声がうるさいぞ!」


「いや!そんなことはどうでも良いんだ!俺は、俺たちは!ここに落とされてきたんだ・・・・・・・・・!!」


「・・・・・・は?」





――――――――――――――――――





「採集に付き合って欲しい?」


「そうです。いつもは一人なのですがせっかくなので

三人で行こうかな?と」


「行きます!行かせて下さい!クスちゃんかわいよぉ・・・!」


こっちに来てから一週間が経った頃、クスから採集に

付き合って欲しいとのことで一緒に行くことなった。最近は

本を読んでばかりだったし良い機会だろう。

あと喜美はもう少し自重すべきだと思う。クスじゃなかったら

ドン引き案件である。




~~~~~~~~~~~~




「クス・・休ませてくれ・・」


「死ぬ・・足ヤバ・・・」


「お二人共運動不足ですよ!もっと動かなきゃ!」


クスの獣人としての圧倒的フィジカル+運動不足でどうなるか分かっていたのに

この有様である。いや予想はしていたんですよ?それを遙かに凌駕する

現実に殺されてしまっただけです。悲しくなんてありません。


「仕方ありませんね。一度この辺りで休みましょうか」


クス、しょうがないなぁーって感じが丸わかりだぞ。

たまには頼られたいのかな?


「影人、あれ見て」


「どうした?何かいたか?」


喜美に言われた先には三人程の人影が見えた。こんな森の中で何をしているのか。

あ、なんか聞こえてきた。


「・・・・様・・・・で・・・・」


「・・・・・・。・・・・・・」


何て言ってるんだろうか・・・?

うーん上手く聞こえない。もう少し近づくか。


「・・・・四日後に宿場街に魔物を向かわせます」


「その間・・・・様は・・・・」


「その後・・・・・・・」


「・・・・・・分かった」


宿場街に魔物を向かわせるってもしかして宿場街を襲撃する計画じゃ・・・?

不味いな、これは速く伝えないといけないぞ。被害が出てからでは遅い。

それと最後に返事した人物の声、どこかで聞いたような・・・?

いや、今は時間が無いな。これは後で考えることにしよう。


「クス、喜美聞いてたか今の」


「もちろん!」


「はい!」


「よし、じゃあクスは今すぐこのことをマタザさんに伝えていけ!大至急な!」


「分かりました!でもお二人は?」


「俺たちはここからあいつらにバレないように離れる」


「大丈夫だよ!私たちこういうの好きだから!」


いや、好きでもやりたいとは思わんだろう・・・喜美の強がりを察したのか

「怪我なく帰ってきてくださいね!」とクスは言ってくれた。

うれしいがそれはフラグだ。やめてくれ・・・




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