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第十三話 ゲームオーバー×テイクオーバー?


「疲れたー・・・眠い・・・」


「お疲れ様です影人さん。お陰で仕事が片付きました。ありがとうございます!」


「どーいたしまして、クス・・・」


襲撃があってから1ヶ月が経った。あのあとギルド本部に案内(誘拐)され

仕事の手伝いをさせられた。元の世界だったら労働基準法に真っ向から喧嘩を売る

労働環境だったがなんとか生還し、現在宿代わりにしている本部の一室で

項垂れていた。もう帰りたい・・・。


「でもすごいですよ!各ギルドの再建計画だけでなく街の復興計画まで

考案してしまうとは・・・!私の目に狂いはありませんでしたね!」


「んー・・・ありがとー・・・」


言えない。なんか適当にそれっぽいことやって当てはめたら上手くいきました

なんて絶対言えない。あのときは睡眠不足で頭がどうかしていたんだ。

魔王でも睡眠不足には勝てないんだ。そこら辺理解して欲しい。


「影人ー?入るよー?あ!クスちゃーん!尻尾触らせて!」


「え、嫌です。喜美さん一度触ったら暫く離さないじゃないですか。

私、お二人に初めて会ったときの歩きながら触られ続けたことがトラウマに

なってしまったんですよ・・・」


「喜美・・・それは・・・」


「わぁぁぁ!!??違う!違うのハデス!あの時はおかしくなってたから!

だから可哀相な物(ゴミ)を見るような目で私を見ないで!」


言うまでもないが喜美の言っていることは詭弁(きべん)であることは

周知の事実だ。と、言ってもこの場にいる面々では、の話だが。

そして止めてと言っているが喜美の顔はなんというか・・その・・・

思春期の女子が人前に出してはいけない表情をしている。

要はハデスの罵る目に興奮しているのだ。どうした?元の世界にいたころは

ここまで極端では無かったぞ?どうしてこうなった。


「喜美さーん、早く用件言ってくれませんか?眠たいんですけど」


「うえぇぇ・・・魔王様もひどーい・・・」


おい馬鹿止めろ!その呼び名で呼ぶな!こっちが恥ずかしくなる。


(嫌ならば早く私を助けるのです。さぁ!早く!)


なんて奴だ。俺の足下を見てきやがった。女神の癖にやってることは

かなり・・・悪魔的だ。いつか見てろ。


「・・・はぁ、まぁ二人共、先に用件を聞いて話するのはその後でも

良いかな?時間が惜しい(俺の睡眠時間的に)」


「まぁ影人さんがそういうなら仕方ありませんね。時間はいくらあっても

足りませんし(業務時間的な意味で)」


「はぁ、まぁそういう事にしようじゃないか。時間は限りがあるからな

(自分の学習時間という意味で)」


よし、一応全員の意思は揃った。・・・いや、なんかおかしくね?

言葉の裏に秘めている意思が全員違うような・・・?まぁいっか!


「これで良いか?喜美?」


「あざーっす!さすが魔王様!懐が深い!」


「心にも無い事言わなくて良いから。でなんで来たの?」


わざわざ俺の部屋まで来てその上ハデスも連れてきたとなると

なんかあるだろうと想像がつく。・・・特に何もないときにも来ることがあるが、

そうだったら今回はスキルまでフルに使った火器レベルのデコピンをお見舞い

してやることにしよう。うん、楽しそう。


「えーっと、ちょっと私のこと鑑識で見てくれないかな?

・・・あ!その!そういう意味じゃ無くてスキルとかの確認で・・・!

それと出来ればその結果を紙に書いてくれないかな?筆記用具はこっちで

用意するから」


そう言うと幸福の神託で作り出したボールペンとメモ帳を喜美が俺に手渡す。

でもわざわざ俺にして貰う必要があるだろうか?一応鑑識眼を持っている喜美でも

その位なら出来るはずだ。では何か見慣れない物がステータス欄にあったのか?

それならその項目を見て貰うように直接言うはずだ。つまりは・・・?


「何か危なさそうなスキルがあったのか・・・?」


「・・・うん、これは危なさそうだと思って・・・」


さっきとは全く違う張り詰めた空気がこの空間を包む。


「じゃあ見るぞ・・・??・・・なんだこれ?」


正直まず見た時には思考が追いつかないというよりは全く理解できないものが

あったとしか言いようが無かった。とにかく考えようと片手間でそのスキル名と

魔王鑑識によって得たそのスキルの概要をメモ帳に写す。


【???】:「m%=BpCh」


保持者のm化した%によりBのpをAny%・・・し又、Cに対するhを

・・・させる・・・・・に至る。・・・は告げる。***********

*****以降全テノ閲覧ヲ禁ズル。閲覧資格ノ無イ者ノ閲覧ニ対シ

Bノpヲ無視シタAny%ノ改変ヲ行ウ物トスル。


「なんでしょうかこのスキル・・・?説明が説明になってないというか

まるで誰かが見ることを事前に察知していたような・・・?」


「おい、影人もっと詳しい情報を見れないのか?たかがスキルの説明ぐらいなら

お前の鑑識で見れるだろう。もし何かあったときは・・・私たちで

なんとかするから気にせずやってしまえ!」


うわぁー・・・ハデスの発言がここまで頼りないと思うことは初めてだぁ・・・。

仕方ないからその言葉を信じて鑑識を使うとしますか。

ああ・・・なんか悪寒がしてきた。鳥肌も立ってきた。

机に突っ伏して椅子に腰掛けているから分かりづらいけどこういうときに

発症する足が!足だけが!震えて止まらなくなる癖が発症したぁぁ・・・!

ええい成るがままよ!鬼が出るか蛇が出るか!鬼でも蛇でも龍でも何でもこーい!


魔王鑑識発動・・!


「っっっ!?!?」


瞬間、世界は俺を残して静止した。そして一分の差も無く俺の左腕が力無く

地面に伏せていた。そして左腕があるべきはずの場所からは紅いモノが

噴水の如く吹き出し、地面に血溜まりが出来ていた。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」


今までに体験したことの無い痛みが左腕から、全身へ伝わる。


痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!

痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!

痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!痛”い”!!!!!


心臓を直に締め付けられ、脳髄を直接押しつけられ、体中を燃やされているような

感覚に陥る。それらに耐えられず地面に倒れ、転げ回る。普段ならそれを見て

無様だ、と思うかもしれない。だが今そんな余裕は一切無い。


気づけば両足が切り落とされている。それに気づいた刹那、切り口から

激痛が走る。おかしいだろ。足切り落とした事を気づかせないだけでなく

それに気づくまで痛みを出さないとか何者だよ。神かよ!


本当・・・誰か助けて・・・。死ぬ。死ぬ!死ぬ!!


「げぼぉお”ごぉ”わ”ぁ”・・・ごぼわぁぁ・・!!」


嘘だろ・・・。なんで胴体に大穴開いてんだよ・・!!!

ああヤバイ・・・さっきから何を吐いてるのかと思ったらこれ全部血だ・・・。

もう誰でもいいからぁ”ぁ”ぁ”!!助けて・・・。


「だ・・ぁ”ぁ”・・ごぼぁ!・・・あ”あ”あ”れ”ぐがぁ”ぁ”

・・・だ・・だぁ”ぁ”ぁ”ぁ”じゅう”う”う”げでぇ”ぇ”ぇ”!!!!」


死にたくない!!死にたくない!!死にたくない!!

こんなの嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!でぇ”・・でぇ”も”ぉ”ぉ”・・・







怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






―・・・愚か者め。






ーーーーーーーーーーーーーーー




「あ!ご主人様!おはようございます!今日はどんな用件ですか?」


「いや、今日はお前の名前を考えてきたんだ。今でも良いか?」


「大好きですご主人様!一生付いてきます!」


「あのー?お二人さーん?ここ魔術師ギルドだからね?周りの目が

めっちゃ刺さってますからね?自重してくださーい」


「ってことだ。**もそう言っているから離れろ。というか胸を押しつけないで下さい」


今、フォレストウルフは俺から彼女のことを聞いたマイさんが魔術師ギルドに

お手伝いという形で事実上引き込んだ。

一応メンバーでは無いので俺が呼び出せばこちらの方を優先するが

滅多に無いので彼らの中では同じメンバーのように扱われる。

そんな風に扱われて大丈夫かと思ったが親切かつ丁寧に扱われるので

意外と居心地は良いのだとか。主人としては安心である。


「いいじゃないですか~三週間くらい会えてませんでしたし!これくらいは許して下さい!」


「あのなぁ・・・はぁ分かった後十秒な!」


「分かりました!」


制限時間を設けると思いっきり体をハグしてきた。

そんなに俺の事心配していたのか。ちょっとは自分の事も考えても良いかもな。

というか・・・


「痛いわ!?最早抱擁の域を超えているんですが!?っていたたたたた!!」


「ジャスト十秒!ありがとうございました!って痛あっ!?」


「やり過ぎだ!殺す気か!?・・ぜぇぜぇ・・げほっけほ・・」


本当に死ぬかと思った。人型になっただけのフォレストウルフでも

魔王になった俺を死ぬかも!と思わせる位の力はあるんだな・・・。

油断、慢心、ダメ、絶対。これを座右の銘にしてもいいと思うくらいには

記憶に残った・・・。端の方でギルドの皆さんがざまぁ!って感じの顔を

しているのには触れないことにする!これ以上トラブルとか嫌だ!


「じゃあ名前な!今日からお前は「富士山だっ!」ちょっと黙ってろ**」


「分かったから!悪かったから離して!頭蓋骨が砕けるうう!!」


誰が好きで某熱血系テニスプレイヤーみたいなことをしなくちゃ

いけないんだ。というかそれで本当に名前になったらどうするつもり

だったんだ。・・・気候変動が起きるレベルで性格を暑苦しくするのか?


「お前はシラミネだ!よろしくなシラミネ!」

「・・・!!シラミネ・・!良い名前です!ありがとうございます!」


名前は狼の時の毛並みが白くて綺麗だったからこれにしたんだが

気に入ってもらえたようで何よりだ。

・・・まあ名前をつけたのはちゃんとした理由もあるのだが・・・。

お、始まったらしいな。


「およ?ご主人様!なんか体の奥から力が湧いてきました!というか体が

むず痒くてこの姿を維持できません!**さん!森に転送してもらっていいですか!?」


これを待っていた。契約した魔物は名付けをすると進化ないし強くなるという

記述が従魔師(テイマー)についての書籍に書いてあった。

異世界の文字なのに読めるだとかというメタ的な発言はこの際置いておいて、

禁忌の契約で契約した魔物にもこれが適用されるというのは悪魔で証明済みだ。

あの時はただ付けただけだったが、今回は意図して付ける。


「良いよー!ギルドの人ー!ちょっと借りていきますよー!」


「おう!」「分かったわー!」


あれ、なんか俺と**で対応違くね?露骨過ぎない?

・・・そんなことを考えていたら森に転送されていた。そしてシラミネの姿が・・・。


「グオオアアア!!!(ご主人様!よく分かりませんが私進化したみたいです!)」


そこには最早狼とは言えない大きさの魔物が居た。

もうなんなんだろうな?見た目は確かに狼なのだが大きさが

明らかにおかしい。狼というよりは巨大な象とか鯨とかの方が

ピッタリだ。あと吠えるのか思念伝達で喋るのかどっちかにしろ。


「シラミネー!何かおかしいところは無いかー!」

「グガアアァァ!!(問題ありません!むしろ暴れたくてうずうずしてます!!)」


問題は無さそうだ。ではステータスチェックといこうではないか!

いやー楽しみと不安の二つが渦巻いて俺、ワクワクしてきたぞ!

そしてシラミネのステータスがこうだ!


名前:シラミネ  称号:従魔  種族:トワイライトウルフ


体力:20500   攻撃力:10340


防御力:12000  俊敏:34000


魔力:8600


スキル:超直感、嗅覚(大)、逆境の支配者、肉体改造、思念伝達



超直感・・・

五感に影響されない予知に近い未来を捉える力。

ただし分かる未来は数秒だけ。


嗅覚(大)・・・

嗅覚によって事象を捉える力。(大)までいくと、その場の匂いだけで

そこであった数日以内の出来事をある程度まで把握する。


逆境の支配者・・・

自分にとって不利になる場所、相手、気候、などあらゆる自分にとって不利になる

状況に存在する際、自分のステータスを大幅に上昇させる。


肉体改造・・・

自分の肉体を元の重さ以下の範囲で自由に変化できる。


とまぁこんな感じだ。なんだよこれ。俺の従魔にした狼がチートな

件について?いや、俺も大概だった。まず種族がフォレストウルフから

トワイライトウルフに変わった。これは後で調べることにしよう。

スキルも逆境の支配者以外はそこまで驚くものじゃなかった。問題は

俊敏の値が俺より高い。いや速いことを気にしている訳じゃないからね!?

こんなに速かったらなんか衝撃波でも発生しそうで怖いなーって思っただけだから!


「おお・・・かなりやばいぞこれ。とりあえずシラミネは人型になってくれ!」


「ガアアアァアァ!(分っかりましたー!)」




「どうです!この新しいニューシラミネの姿は!ご主人様!何か感想を!」


「特に人型だと変化は無いな・・・」


というか新しいとNEWが重なっている件については黙っていた方が良いのか?


「ご主人・・・せめて何か褒める言葉の一つでも言って下さいよー・・・」


「と言われても・・・メイド服似合ってるよ!」


ぐっじょぶ!


「それは前からです!!」


言い忘れていたが彼女の服は喜美製のメイド服だ。ちなみにハデスのものとは

違い、真っ当なメイド服だ。今すぐにでもハデスのものをこれにしても良いと思う。

・・・**の性格上直すとは思えないけどな!


「にしてもシラミネちゃんが従魔なのは分かっていたけど従魔師テイマー

従えてる魔物と同じように名前を付けたら進化するんだね」


「そうだな。従魔師テイマーについての情報はいろんな本に載っていたが

まず従魔の詳細とか従える能力とかについては書かれていなかったからな。

ま、進化するのは悪魔でもしかしてとは思ってたけどな」


「え!?私実験体にされてたんですか!?酷いですご主人様!」


「悪いな。何かあったらどうしようとは思ってたんだ。悪気は無いし、

何があっても命だけは必ず守るつもりだったから!」


「・・・許して欲しかったら今日、私と一緒にお風呂入って下さい!」


・・・・場が凍り付いた。

・・・え?えーと、はい?おおおお、落ち着け、冷静になれ俺!

まままままさか聞き間違いってこともあるし・・・って無いな。

言った本人の顔が赤くなってるし、隣の**はどこからかスケブを取り出して

なにやら書き始めている。それ出すなよ!絶対だぞ!

この後どうなったかはご想像にお任せするとしよう。

一つだけ言うとすれば俺は理性を保てた!保てたんだぁぁぁぁ!!





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