ホムンクルスゲットだぜ
「ウフィーじゃ変だから、レティでいいや。」
「いいや、ってなんだよっ。」
きゃんきゃん吠える子犬との会話に嬉しくなる。
生き物の気配さえ感じられない世界でやっと見つけた話し相手だ。
もっと一緒に居て欲しくて、お昼を誘ってみた。
「ねえ、おなかすかない?お昼ごはん用意するから食べようよ!」
「俺はいいよ。ごはんいらないから。お前食って来いよ。」
一人で家に戻るのは嫌だ。
目を離したら、レティが居なくなってしまうかもしれない。
どうしてもレティを家に誘いたい咲希は好きな物で釣る作戦をするため、食い下がってみた。
「そんなこと言わないで、一緒に食べようよ!レティは何が好きなの?」
「ホムンクルスは物食わねーの!」
「は?」
これまた普通は聞き慣れない言葉が出た。
いや、耳にはしないがさっき見たばかりだ。
「もしかして、おばーちゃんが君を造った?」
「当り前だろ、ホムンクルスじゃなきゃ、しゃべる犬なんているわけねーだろが。」
錬金術があるくらいなら、動物がしゃべるのもありかと思った。
ドリトル先生キターと感動してたのに。
感動返せ。
どういうことか色々聞きたいのに、レティは会話は終わりとばかりに丸くなり寝に入る態勢だ。
そうはさせじと咲希はレティの脇腹に両手をがしっと入れて持ち上げた。
「まあまあ、とりあえず家に入ろうか」
ちっちゃいので、お姫様抱っこで軽々家までダッシュだ。
建物に入れたらこっちのもん、絶対逃がさん、囲い込む気まんまんだ。
誘拐監禁だろ、それ、とつっこむ人はいない。
「うわ~、なにすんだよー!」
「今日から君はうちの子決定だよ~」
「勝手に決めんな!!」
常識と共にモラルも壊れてきている咲希だった。