はじまりは
私は今、森に囲まれた一軒家で完全自給生活を送っている。
ちょっと前まで都会の社会人一年生だった私ががなぜにサバイバル生活することになったのか。
今思い返しても、納得いかない。
確かに入った会社に愛想つかして、「遠くに行きたいな…。」と朝の通勤バス待ちながらつぶやいたけどね。
でも、そんなつぶやき本当に叶える神様いるとは思わないじゃない!
だったら、公務員試験受からせて下さい。と祈った時に叶えてくれればいいのに。
『だってその時、日本の神様に祈ったんでしょ。僕知らないよ。』
「あ、やっと話せる!もう、今までほったらかしして!私をどうするつもりなの!」
『ひどいな~、一人でさみしいだろうから話し相手になろうとしたのに。』
「私をボッチにしたのはあなたでしょ!さっとと元の所に戻してよ!」
『いいの?あの場所に戻して。』
戻してほしいと言ったけど、最後にいた場所に戻るのは躊躇がある。
私がいたバスの停留所で遠くに行きたいと呟いた後、目に入って来たのはハンドルに突っ伏している運転手さんが乗ったワンマンバス。
まっすぐこちらに向かって避ける暇なんかなかったはずだ。
あの場所で人生が終わったんだと思う。
今ここにいるのは、頭の中に話しかける日本以外の神様的な何かのワンチャンスなんだって。
でもいろいろ割り切れない思いがぐるぐるする。
せっかくの話し相手だし、いろいろ聞き出したい。
「ねえ、私は何をすればいいの?何か連れてきた理由があるんでしょ?」
強制だけど、to be contnuedした理由が知りたい。
目標があれば生きていける。
たとえ、知らない世界でも、知っている人がいなくても。
魔王と戦うとか、平和をもたらす神子とか、内政とか、あ、でも逆ハ~は照れるなどうしよう。
『...逆ハ~はないよ。』
「ちょっと思っただけでしょ、心読まないでよ!したいと思っている訳じゃないし。そんな呆れた声で言わなくてもいいじゃない。だいたい今まで連絡しないからいろいろ考えちゃって『あ~分かった、分かった。』
なんか年下らしい声になだめられてむかつく。
神様らしいから年寄りかもしれないけど。
『僕は比較的若い方だよ。』
「もう、どうでもいいから教えてよ!何をしたらいいのよ?」
『好きなことすればいいんじゃない?』
「は?」
『だから、君はそこで好きなことして暮らせばいいの。これやって~なんて言わないよ。』
「え、でもそうしたら『そのうちお友達でも出来るよ。そこ物作りには最高の環境だよ!』
「いや、なんでハンドメイド好きなの知ってるの?」
『あ~残念。休憩時間終わりだ。僕仕事あるから、じゃーねー』
「あ、待て!じゃーねーじゃねーよ!こらーっ!!」
思わず空に向かって吠えてしまった。
「もう好きなこと勝手にやっちゃうからね、知らないよー」