転校してきたのは座敷わらし
MTM(マジで力尽きて燃え尽きそう)
昨日のSAN値をマッハで削っていく状況を流しながらもしかし、結婚は確定みたいな空気には逆らわずに翌日俺は学校の机でひとり突っ伏していた。
「なんだよ、あれ……逃げ道ないじゃねえか。ド〇クエ始めていきなり魔王に出会って勇者は逃げられないってなったようなもんじゃねえか。いや、まあ、織なら文句の言いようがないのは分かってるけどいきなり過ぎるだろ……」
ブツブツと傍目から見たら物凄く不気味な空気を醸し出しているとそこに近寄る影がひとつ。
それ気付くことなくネガティブでたまにモジモジとした空気を出していると脳天目掛けて手刀を叩き下ろされる。
いきなりの事に呻きながら前を睨むと如何にも活発そうな少女がそこに立っていた。
この学校でもレベルがひとつ頭抜けている程の美貌の少女は中学からの腐れ縁のような関係の友人、雪原 明音。
「なーに暗い雰囲気出してるの一、そんなだと掴める幸せなんてどこかにパーッと逃げちゃうぞっ」
「……どんなふうに逃げるってんだよ……」
「えーっとね……」
明音は少し首をかしげてから両手を広げて広がる様子を表す。
「こう、パーッと、パーッとかな」
漠然としたその表現に俺は苦笑しながら答える。
「ああ、はいはい。幸せはそうして逃げてくんだな」
「むぅぅ〜、バカにしてるな〜」
ツンっツンっと中学から変わらない過剰なスキンシップを受け流していると隣にひとりの男子生徒が座る。
「おはよう、快斗」
「おっはよう、稲葉君!」
「おお、おはようさん、一、雪原さんよ。お前さんらも朝から元気じゃな」
「主に明音が騒いでるんだがな。というか、その変な口調直せよ」
「フォッフォッフォッ、性分での。これはそうそう変えられないんじゃよ」
無駄に整った容姿の癖に老齢したおじいちゃんみたいな喋り方をするのは席が隣なことで仲が良くなった稲葉 快斗。通称おじいちゃん。
俺は再び煩くなった明音の頭に手を置きながら抑えていると、快斗が手に持っているものに興味か惹かれたので訪ねてみる。
手に持っているそれは何か古い巻物のようなもの。
「おお、これの事かね。これはのう、座敷わらしに纏わることを書いてある巻物じゃよ。少し気になることがあったので調べておったんじゃよ」
「ゲホッケホッ」
「ん?どうしたのじゃ一、いきなりむせおって。ほれ、茶でも飲み落ち着くんじゃな」
「す、すまんッ……」
お茶を飲んで一息つくと先日も同じようにお茶を飲まされたなぁと思い出してしまいなんとも言えない気分になった。
何ともまあ、微妙な顔をしていたのか快斗が俺からお茶を回収してどうしたのか聞いてくる。
「何でもねえよ、ただ、そのぉ……不思議体験したってだけ言っておく」
「何とも煮えきらぬ反応じゃのう。まあ、よいか、そのうち話してもらうから覚悟しとくのじゃよっと。ほれ、そうこうしているうちに先生さんのご登場じゃよ」
それを聞いて俺は席につき前の方の座席の明音はほんじゃねー、と言ってから席に向かってピョンピョンとウサギみたいにはねていく。
朝から元気だな、あいつ。
「ほら、席に付けお前ら」
そんなふうに言いながら先生が教室に入ってくる。
一は教卓に付く先生を何となしにぼーと周りを見ていたらドアの方に見覚えのある艶やかな黒い髪が見えて額に一筋の汗を垂らす。
「ま……まさかな」
その誰に聞かれるわけもない呟きは次に先生が転校生がいると言って入ってくる者により全肯定されることになってしまう。
「おい、入って来ていいぞ」
その時、教室の中は静寂に支配された。
普通なら新しく来る転校生に歓声が上がるところなのだが、それは訪れなかった。
代わりに訪れたのは、ほう、と見蕩れた者が出す声のみ。
教室に入室して来た少女は大和撫子と言う文字をそのまま体現したかのような見事な美少女。
黒板の前に立つと自分で名前を書き上げていきこちらに誰もが見とれる笑顔で振り返る。
気のせいではないだろう、その時にその少女は俺の方を見てさらに笑みを深めた。
「小鳥遊 織です、これから勉学を共にする仲、以後お見知りおきを」
そう言って誰もが見とれる挨拶をしたその少女は織だった。
昨日、突然現れて俺の家に爆弾を投下した張本人。
そんな彼女が今この教室にいる。
波乱が起こる予感しかしないのは俺の気のせいだと現実逃避をすることにしたい……
頭がパンクしそうです。
もう、しばらく吐き出さなかったネタをとにかくバーッ!と出しているせいでキャパオーバーしそうです。
でも頑張りたいと思います!
これからもこっちの方も生暖かーく見守ってください