風魔法は不遇
風魔法、それは不遇な属性だ。
いや不遇というのはおかしいか。不遇というのは能力はあるけど評価されないことをいう。
だから風魔法は違う。能力がないので使えないのだ。
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ギルドにて
パーティを組む時に
「私は風属性の魔法使いだ。よろしく頼む。」
とでも言おうものなら、
「今回はご縁がなかったということで。」
と断られる。
こっちの実力がどうとかは一切聞かれない。
これはまだいい方で、
「ぎゃははっ、おいこいつ風属性の魔法使いだってよ。」
「何それむっちゃ使えねー、連れて行く意味ないじゃん。」
「いやいや使えるかもよ、うちわ係としてなっ。」
「「「ぎゃはははは」」」
と人前で思いっきり馬鹿にされるということがある。
まあそいつらは私がぼっこぼこにしておいたけどな。殴って。
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という感じなのだ。
そもそもこの世界の魔法は自然物を操るというものだ。
例えば水魔法なら水を操って敵の足止めや、上級者になるとウォーターカッターみたいなことができる。
ただ水がないところでは役立たずだ。
そのかわり川や海、湖の近くなどでは水魔法は絶大な威力を誇る。
火魔法なら火種さえあればそれを増幅し敵を焼き切るなどできる。
火種は魔道具で確保すればいいからお手軽で高火力をほこる。
土魔法もほそうされてないところではどこでも使え、壁を作ったり砂や石を飛ばしたり落とし穴をつくったりと用途は様々だ。
冒険者には土魔法が一番好まれる。
火魔法が一番火力は高いが、火で焼いてしまうと素材がダメになってしまうからだ。
補助魔法という分類もある。
これは視力を良くしたり筋力を強化したり相手の視力を奪ったりと様々だ。
この魔法はその人個人との相性が結構か関係しており筋力を強化できても視力は強化できないという感じが結構ある。
相性はあるが魔法自体の難易度はそんなに高くないので覚えている人は多い。
あと光魔法もあるが使い手が少ないではぶく。
さて肝心の風魔法なんだが、
もちろんどこでも使える。空気などどこにでもあるからな。
ただ使い勝手が恐ろしく悪い。
足止めに暴風を相手に当てようとしたら味方の行動も阻害するわ、
強い相手の足止めをする場合は魔力の消耗が馬鹿にならんわと大変だ。
ん?エアハンマーやかまいたちだって?
はっ、そんなの使えるはずないだろう。
エアハンマーとかどれだけ空気を圧縮しなきゃならないんだよ。
カマイタチは空気を飛ばせばいいとか安易に考えてないか?
カマイタチっていうのは真空をどうのこうのと、まあむっちゃくちゃむずかしくてつかえないっていうことだよ。
伝説級の人は嵐で都市を滅ぼしたとかいうけどまゆつば物だ。
さてそんなわけで風魔法は使えないって話だが私は風魔法使いだ。
私は風魔法の使い方を知っている。
というよりかは研究した。
私は王宮魔術師だが、左遷されてな。
左遷先は風魔法の研究所だ。先ほどあげたとおり風魔法は使えないことで有名だ。
そして一般に発展はないと言われていた。
だから上司の不興をかうと左遷先として風魔法を研究している部署に行かされるのだ。
そこで私は上司を見返してやろうと必死で研究した。
ただ私が研究したのは風魔法だが、一番時間がかかったのは毒の研究だ。
毒を風に流して相手に吸わせる。
そういうことができないかと思ったのだ。
そのためには毒の粉の粒が目視できないような小ささでなくてはならない。
さらに風に乗るために極端に軽くなければいけない。
そういう毒について研究したのだ。ただ毒は危険物なので配合するたびに上の許可を得なければいけない
だから研究は遅々として進まなかった。
まあそれでも研究を完成させたがね。
それからはとんとん拍子に進んだ。
毒を風に乗せるのは簡単だった。
そして風が急に吹いたら不自然なのでそれを人に感じさせないようにするのも。
風の筒を作ってその中にゆるーい風を吹かせる。
それをターゲットの口元まで運ぶだけだ。
ターゲットが激しく動いている時は無理だが、パーティーや屋敷の中で使う分には問題ない。
それにこの方法は魔力消費が極めて少ない。
少ないということは感知されずらいということだ。
そうして暗殺の技術は完成した。
この研究成果を国王陛下に報告すると緘口令がしかれた。
その後私は暗殺者の養成をする部署に回された。
まあまんま暗殺の技術だからな。
この研究のおかげで風魔法は見直されている。
裏の世界ではだが・・・・・。
まあ当然こんなことを公表するわけにはいかず今でも世間一般では風魔法は使えないと言われている。
だから私はこう言おう。風魔法は不遇なのだと。
ちなみに上司を見返すことはできませんでした。
緘口令を敷かれたので上司にもこの情報が伝わることはなかったので。
そもそも暗殺者の養成という仕事は秘密にされているので、
上司は王宮魔術師から降ろされたと思ってます。