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墓王!  作者: 菊次郎
フィールの冒険者活動
74/129

二人

ご覧いただきありがとうございます。


本話は自重しないバージョンをノクターンに掲載しています。

作者名「次郎」、墓王!R-18で検索すると多分出てきます。

なお、規約により直接リンクを張ることは禁じられていますので

ご不便をお掛けします。

「それってアレだよね?相手はティアラ?」


「うむ。それとコロネもじゃ」


「え?コロネはまだ早い…わけでもないか。って、二人共?」


「お主の性豪具合なら二人でも三人でも問題無かろう?」


「まあそれくらい余裕だけど…ってそうじゃなくて、二人同時とかよくあることなの?」


「お主は一体何を気にしておるのだ?金に飽かして花比べするでもなし、無理矢理でもなく相手が望んでいて、それをしてもいい立場なのがお主じゃぞ。もし複数なのを気にしておるなら気にしすぎじゃ」


「お、おう、そんなもんか…それにしてもなんか急な印象があるんだけど?」


「理由は二人から聞いてくれ。ワシから言うのは筋違いじゃろうしな」


「分かった。じゃあちょっと行ってくる」


「うむ、優しくしてやるがよい」


 そんな妙な応援を貰いながら音の鎖亭を後にした。ふと歩きながら、ミストさんは了解しているのか…なんて思ったが、応援してくる姿しか想像できなかった。逆に乱入してくるのでは、なんて思ってしまった。


 夕暮れ時の市街地は人通りが少なくなった代わりに民家から夕ごはんの香りが漂っていて、長らく忘れていた郷愁の念を呼び起こすものだった。

 そんな最中、昼間にギルドマスターのギザルムから言われた、「将来のことを見据えて依頼を選べ」という言葉を思い出していた。何になりたいのかは未だ分からないが、セフィリアと魔法論議しティアラに世話して貰いながらコロネと遊び、俺達を見守るミストさん、そんな人達が待ってる家に”帰る”ようになったら、それはとても幸せなことなんだろうと考えていた。


 急かしそうになる足を抑えながら、心を落ち着けるためにいつもよりもゆっくりめにミストさんの家路を踏みしめていた。

 ミストさんの家に到着し、


「こんばんわー」


 扉を叩きながら挨拶をすると、中から閂が外される音がし、ミストさんが出迎えてくれた。


「いらっしゃい。待ってたわ。夕ごはんは食べてないでしょ?」


「ええ、まだです」


「娘達が作ってるからテーブルについてね」


 と俺の手をとても嬉しそうに引き、テーブルまで連れて行ってくれた。テーブルにつくとティアラが台所から顔を出し、


「ご主人様、もう少し時間を頂いてもよろしいでしょうか?」


 と、済まなそうな表情をしていた。


「大丈夫だ、夕ごはん期待してるよ」


 そんな返事をするとティアラは頭を下げ再び台所に向かった。また、料理から手が離せないのか、「ごめんねーおにいちゃーん」とコロネののんびりとした声も聞こえてきた。


「腕によりをかけてるみたいだから楽しみにしててね?」


「本当に楽しみですね。そういえば材料は手に入りました?屋台や宿屋の人達も材料の入手に苦労してたみたですが」


「ちょこっと昔の伝手を使ったから大丈夫よ」


 ミストさんは小さくウィンクをし俺を安心させてくれた。ギルドマスターのウィンクと違って心が洗われるわぁ…。


 ミストさんの昔の伝手っていうと貴族の屋敷に勤めていた頃かな。ということは貴族用の食材を使ってるってことか?普段は5人分の食費と3人分の生活費として幾らかのお金を渡しているが、ちょっとお金が足りるか心配だからこっそりと渡しておくか…。


 のんびりミストさんと話していると夕ごはんの用意が終わったのか、テーブルの上に次々と料理が運ばれていた。


 山芋の包み焼、とろっとした野菜の刻みサラダ、モモ肉のトマトソース掛け等など…妙に豪華且つ何かしらの意図が見える料理だった。

 また食卓には珍しく、というか初めて赤ワインが出されていた。若干渋みがあるワインだったが十分に美味しいと言える物だった。これは俺だけではなくミストさんやティアラ、コロネの三人共飲んでいた。


「ふう、美味しいわね。このワインが飲める日が来るとは思わなかったわ…」


 ミストさんは後半の言葉を極小さく、俺に聞こえるか聞こえないかギリギリの音量で話していた。ただティアラとコロネにはちゃんと聞こえていたらしく、二人共嬉しそうな笑顔を浮かべていたのが印象的だった。

 後から一体どういう意味かとティアラに尋ねたが「こればかりは秘密です」と決して教えてくれることはなかった。


 食事が終わりティアラとコロネは一旦部屋に戻っていった。後片付けはミストさんがやっているため、テーブルに付いているのは俺一人だった。一人になると色々と考えるもので、今一番気になっているのは何故今ティアラとコロネが俺を求めてきたか、だった。

 意識が戻ったのは昨日の朝早くであり、それほど時間が過ぎている訳でもない。病み上がりとも言えるこの時期、

 普段のティアラとコロネなら老人介護並に面倒をみようとしてくるはずだ。しかしそうせず、俺に少ない体力を使わせる何かがあるのか…

 などと考えていたら彼女たちの用意が終わったらしく、ティアラが部屋へ案内してくれるようだった。ふと台所を見ると、顔だけ出したミストさんがこちらを見ていて、目線で「頑張ってね!」と応援しているようだった。大きなお世話だ!と言いたかったが、グッと堪えた。


 ティアラとコロネの部屋に入ると、ティアラはカチャリと扉の閂を閉めた。部屋の中は二つのベッドをくっつけて一つのWベッドのような形に整えられ、小さなサイドテーブルにあるロウソクはゆらゆらと影を作っていた。

コロネは部屋の中で待っていたようで、Wベッドの上で女の子座りをしていた。


 俺を案内したティアラは深々とお辞儀をし、コロネはシュタッと手を上げ、


「不束者ですが、今晩はよろしくお願いします」

「よろしく!おにいちゃん!」


 ティアラの声はかなり緊張気味で、コロネはものすごく気軽に言ってきた。なんでこう両極端なんだろ。


 俺はコロネの横にポスンと座り、


「で、ティアラとコロネに聞きたい事がある」


 と言うと、ティアラは何故か俺の前に正座をし、コロネは俺の横に座り直して話しを聞く体勢に変わった。


「なんで急に抱かれたいと言い出したんだ?ティアラはまあ市民登録証の期限の関係で分からなくもない」


 市民登録証には極わずかではあるが魔力を使うため、魔力欠損症の二人はいずれ俺から魔力を受け取る必要がある。特にティアラの市民登録証を今年中に役所へ登録しないと色々と不具合はあるが、申請忘れ等よくあるためきっちり今年中というわけでもない。


「でもコロネはまだ数年の猶予はある。だから随分と性急な印象を持ったんだ」


 二人にそう言うと、ティアラとコロネは目配せをした後、ティアラは悲しそうにコロネは悔しそうにしていた。そんな中ティアラがぽつりとしゃべり始めた。


「…強くなりたいんです」


「コロネね、あの女がおにいちゃんに魔法撃った時、ほんのちょっと前に気づいたんだよ」


 あの女とは、バニルミントのことだろう。


「私もコロネが後ろを見ていたので、私も同じように振り向いたんです」


 確か俺がバニルミントに腹に穴開けられた時、ティアラとコロネは俺の後ろで待機してたはずだったな。


「するとバニルミントがご主人様に向かって氷の矢を放つ直前でした。本来なら身を挺してでもお守りするべきでした。ですが…」


 ティアラは俯きながら告白を続けた。


「ですが、足が石のように固まり、動くことはありませんでした」


「コロネも、あの女の魔法を見て、すごく怖いって…。そしたら、おにいちゃんが血溜りの中に倒れてたの」


「ご主人様が居なくなるかもと思った時の絶望感は忘れられません。あの時のような思いは二度としたくない、そう思いました」


 普通の女の子がバニルミントの魔法に晒されたら、そりゃ体が動かなくなるのは当たり前のことだろう。俺だって防御魔法使ってても怖いものは怖いんだし。


「そんなの当たり前だって。見慣れない魔法が飛んできたら普通は動けないよ。二人が責任を感じることじゃない」


 そんなフォローの言葉をティアラは首を振って否定した。


「違う…違うんです。ご主人様はお優しいから、そう仰ってくれると思っていました。ですが今のお言葉は、私達に従者としては何も期待していない、そう仰っているにも等しいのです」


「それは…」


 俺は彼女たちを一人の女の子として見ているが、ティアラ達は俺の従者になろうと頑張り努力している。

 一方、先の俺の言葉は彼女たちに守ってもらおうなどとは微塵も考えていないが故の言葉だった。それは彼女たちの従者としての有り様を否定することなのだ。

 つまりは、彼女たちが従者としての力が足りないように、俺も主としての心得が足りない、そういうことだ。


「本当は俺は怒るべきだったんだな」


「はい。ですので、私は…私達は、強くなりたいのです。ご主人様の万難を排せるように」


「コロネはあの女が来た時に蹴っとばせるように!」


 コロネはコロネで中々過激だが、バニルミントはもういないぞ。


「そうか。痛いし大変だぞ?」


「はい!」

「臨むところだよ!」


 元気な二人の返事に苦笑いをしながら、まずは正座してる姉のティアラの頬に手を当て、触るだけのキスをした。


「んっ……んぁっ…」


 鼻孔をくすぐる柑橘系の香りとふっくらとしたティアラの唇を楽しみながら啄んでいると、


「コロネも!コロネも!」


 コロネもティアラの横に来て膝立ちになりながらキスをせがんできた。それに答えるべくコロネの頬に手を当て、自分の方に引き寄せる。チラリとティアラを見たら、ぼ~っと心ここにあらずだった。


「ん……」


 ミルクのような甘い香りが肺に落ちていき、肉付きの薄い唇を食むようにキスを続ける。が、よくよくコロネを観察するとキスしている間は息を止めてるようで、顔が段々と赤くなり両手をバタバタと振っていた。コロネとのキスを止めると、


「ぷはぁ~……おにいちゃん、よく息が続くね?」


「コロネ、キスしてる間は鼻から息をするもんだぞ?」


「あ、そっか!おにいちゃん頭いいね。じゃあもう一回!」


今度はコロネが飛びつくようにキスをしてきたが、勢いが良すぎたため歯と歯がぶつかりガチッという音が聞こえた気がした。お互い頭に響くほどの衝撃を受けたため、俺は口を抑えて唸り、コロネは涙目になっていた。


「いふぁいよ、おにいちゃん…」


「俺も痛いって…まあちょっとコロネ見てろ。ティアラ」


ティアラに声をかけると、何も言わずにキスをしてきた。今度は触れ合うだけのキスではなく、お互いの舌を絡めるディープキスだった。ティアラのザラザラした上舌やぬめぬめする下舌を存分に味わうと、口端から唾液がこぼれていく。


「ほわぁ~…」


 横でコロネが間の抜けた声を上げていたが、それを無視して事を進めた。


 そうしてティアラとコロネと一通り事を終えた後、三人で仲良く川の字…ではなく、小の字で寝た。真ん中の俺が一番デカイから川にはならないんだよね…。


「えへへー」


 コロネが頭を俺の腕にグリグリと押し付けて、まるで匂いを擦り付ける猫ようだった。


「ティアラ、コロネ、大丈夫か?」


「私はもう平気です」


「んー、まだ痛いけどなんとかなるよ!」


「そうか…二人共、これからもよろしくな」


「はい!」

「うん!」


 ティアラとコロネの温もりを感じ、気だるい体と共に目をつむった。



該当箇所を削除&訂正2/5


あっちの方の文章を要約にするとなんとも味気なくなりました。

時間ができたら直すかもしれません。

期待していた方、誠に申し訳ありません。


以前、コロネの処罰が甘い!という意見がありましたが、このために処罰を甘めにしてありました。自分がうかがい知れない痛さだと思います。

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