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墓王!  作者: 菊次郎
彼女達の決断
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彼女達からのお願い

ご覧いただき有り難うございます。

 装飾品屋のドワーフのおっさんに依頼した宝石箱が出来るまでの間、俺はミストさんの家で開発する日とギルドで依頼を受ける日と交互に過ごした。

また、これまでもそうだったが、ミストさんと最初にした約束を忘れたわけではない。お互いが信頼できる相手かどうか見極めましょう、という約束だ。

 いつまでもズルズルと今の生活を繰り返すつもりは無く、宝石箱が出来てセフィリアへの手土産を手に入れたら、一旦セフィリアの庵に帰るつもりだ。その時にミストさん達の話をするつもりでいるため、彼女達から何らかの結論を聞かなくてはいけない。


 彼女たちの返答は判らないが、そう悪い結果にはならないと予想している。普段の彼女達の態度で嫌われているとも思えないし、結構仲良く過ごせていると思う。あと…言い方は汚いが彼女たちのライフラインを握っているのだ。無碍にされることも無いだろう。

 俺の返答は…信用は出来るが信頼はまだ出来ない、という結論に辿り着いた。信用は信じて用いる、信頼は信じて頼る、である。


 その言葉の通り、彼女達は些細な約束もちゃんと守ってくれたし、俺の食事は疎か服の洗濯までもきっちりこなしてくれていた。俺の要望以上の事をいつも成し遂げてくれている。特にティアラはお茶が欲しいと思った時には手元にお茶が、サラダに塩が欲しいと瓶を見た瞬間に手渡ししてくれたりと、思考を読む魔法でも使ってるんじゃないかと疑うレベルであった。俺の世話を不慣れながらも頑張っている姿を見れば、彼女を信用するのは道理だろう。


 ミストさんは直接俺の事をするというより、ティアラとコロネに任せて自身は監督をするという立場を貫いていた。その結果として俺は快適な生活を送れていたのだから、その手腕は大したものなのだろう。


 コロネのことが一番悩んだが、同じく信用できそうだという結論に落ち着いた。

 コロネとはファーストコンタクトが置き引きというある意味最悪な出会いだった。行動を共にし始めた後のコロネの行動を見れば心配は要らないだろうとは考えていたが、念のため金銭の面で信用できるかどうか試したのだ。人を簡単に試す行動は慎むべきであろうが、どうしても確認しておきたいことだった。

 コロネにお使いを頼んだ時もお釣りをちょろまかしたりせず、それどころかお店で頑張って値切っていたこともあった。お釣りを小遣いにしても良いと言ったんだが、コロネは頑として受け取ることはなかった。こっそりお金を落とした振りをしたこともあったが、コロネはちゃんと返してきてくれた。

 たったこれだけの事かもしれないが、普段のコロネの行動はとても家族思いである。その家族の危機に際してとった行動が置き引きなのだろうから、俺はこれ以上問題にする気が起きなかった。


 前述の通りにみんなは信用出来る。しかし、セフィリアと同じようにイザというときに頼ることができるかというと…それは少し難しい相談だった。俺のような冒険者家業はどうしても戦闘力を求められる場面が多い。その戦闘力が彼女たちには無いのだ。魔力欠損症という病に掛かっているのでこればかりは仕方がない一面だ。



 装飾品屋のドワーフのおっさんに宝石箱の作成を依頼してから一週間が経った。予定では今日が受取日になっている。

 いつものようにミストさんの家で朝食を終えるとティアラとコロネは朝食の片付けと昼食の仕込みに、ミストさんはテーブルでお茶を飲んで寛いでいる。ちょうどいいタイミングなので俺は信頼できる相手かどうかの話を切り出した。


「ミストさん、少々お話があります」


「はい、なんでしょうか?」


「出会った時の話を覚えていますか?」


「ええ、勿論。ティアラ、コロネ、こちらへ来なさい」


「はい、なんでしょうか」

「なぁ~に?」


「ソーイチローさんからお話がありますので、手を止めて席について」


 ティアラとコロネは「はい」と返事をして朝食と同じようにテーブルについた。


「最初会った時に話したと思うが、お互いが信頼出来そうなら俺から一つお願いしたいことがあるって言ったと思う。何故こんなことを言ったかといえば、そのお願いしたいことには秘密が含まれているし、結構無茶な内容も含まれてる。ここまではいいか?」


 見渡すと全員黙って頷いていた。


「で、俺から見たらみんなは充分に信用に値すると思っている。みんなはどうだ?」


「私達一家は…ソーイチローさんは充分に信頼に値すると考えています。そしてそのお願いも私達にできることでしたらなんでも叶えて差し上げたいと思います。これが私達の意思です」


「…まだお願いの内容を話していないんだが」


「死ね等とよほど無茶な事でなければ。ただその代わりにこちらからもお願いがあります」


「何かな?」


 俺のお願いは魔力欠損症の治験に付き合ってくれ、ということだ。勿論その最中で彼女達の誰かを抱かせれてくれと頼まなくちゃいけない。かなり無理を言ってる自覚はあるので、彼女達の願いはなるべく叶えてあげたい。そう考えミストさんの話に耳を傾ける。


「ティアラとコロネをソーイチローさんのメイド兼妾としてお側に置いて頂きたいと思います」


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