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墓王!  作者: 菊次郎
プロローグ
2/129

出会い

ご覧頂き誠にありがとうございます。


※誤字訂正

言い当て→言い得て

美しいうより→美しいというより

「おい、起きぬか」


 女性の落ち着いた声が聞こえてきた。どんな人か気になるが、まだ目は見えない。次に匂いを感じることができた。旅先のハイキングで嗅いだことがある強烈な緑の匂い。ようやく目を開くことができると、頭のほうから覗き込んでいる女性と目があった。


「生きておるな?」


 そう女性は声を掛けてきた。女性はフードをかぶっていて髪型は分からないが、こぼれた白髪の一房が俺の顔の上に垂れていて、白い肌に大きく開いた赤い目がよく似あっている。勝ち気な雪うさぎを彷彿させる地球では見たこともない美女だった。


「体調はどうだ?というか言葉は判るか?」


「あー、大丈夫です。言葉も判ります」


 とりあえず上半身を起こして自身の腕を見てみると、腕毛が無い。下の方を見てもツルツル。


「って、いきなり全裸かよ?!全裸で女の人の前に放り出すとか、某剛も真っ青だぜ…」


「お前は何を言っておるのだ。そんな子供のモノを見てもどうにも思わんわい。しょうがないのう…ほれ、ワシのローブを貸してやるからこれを着ておれ」


「子供…?」


 いい加減地面が冷たいので立ち上がると、視点が明らかに低い。地球にいた頃は身長180cmだったが、周りの木と比べると今はおおよそ160cmくらいだろうか。


(子供になってる…?)


 自称神様との邂逅では勉強に最適な環境を用意すると言っていた。確かに子供のほうがたくさん吸収できる(※諸説あり)から、それに配慮したのかもしれない。しかし勉強に良い環境と全裸との関係はさっぱり分からなかった。


「ありがとうございます。ローブお借りします。えっと…」


「セフィリアじゃ。隠居しながら魔法の研究をしておる。いろいろ話を聞きたいだろうし、ワシも聞きたいが、いささかここでは話しにくかろう。ワシの家いこうか」


「よろしくお願いします。俺は宗一郎・村上といいます」


 自己紹介が終わった後、セフィリアは歩き始めた。黙って後をついていくが、身に着けているものはローブのみ。当然靴もないので枯れ枝や石を踏んで痛い事この上ない。森が豊かなのか地面は柔らかいが、あまり救いにはならなかった。


 およそ15分ほど歩いただろうか。森の中でぽっかり開けた場所にでた。直径50mほどの円形で、その円の中心にログハウスが立っているのが見えた。ログハウスの周囲は畑が広がり周りの森の風景と見事に調和していた。思わずボケーッと見ていると


「どうした?遠慮せずに入れ」


 と、先にログハウスに入っていたセフィリアが中に招き入れてくれた。リビングの椅子を勧められ


「失礼します」


 と面接に向かうような気分で座った。


「お互いに聞きたいことがあるだろうから、まずはワシから説明しようかの。ソーイチローのことは、昨夜夢で見たんじゃ。お前さんがいた場所の風景とともに『ここにくる者の面倒を見てやってくれ。そうすれば知りたいことが知れる』と、光った人型が喋っておったわ」


 そう言ったあとセフィリアは、「まさか本当にいると思わなんだがな」と付け加えた。


 間違いようもなく自称神様だった。

 自称神様がアースガルドに干渉できるなら、自分自身で魔素を拡散すればいいのに…と考えたが、神様自身が魔素の拡散をするより、俺が勝手に魔素の拡散をすれば、神様は楽をできるのか、という取り留めの無い思考をしていた。


「俺はこの世界の住人ではなく、セフィリアさんが会った光の塊から誘われて、地球という異なる世界からやってきました。とても信じられないかもしれませんが…」


「いや、どこからか転移してきたと考えるほうが色々納得できるところもある。あんな姿で、この帰らずの森を彷徨けるわけもないし、ソーイチローの足の裏は汚れていなかった。誰かが運んできたにしては周囲に足あとも一切無かった。空から運ぶにしても森の木が邪魔だしの。つまりは、突然湧いて出てきたようなものじゃ。まあ異世界とまでは想像しなんだがな」


 名探偵なら喜んでトリックを暴きそうな展開だが、答えが「異世界から来た」というノックスの十戒(推理小説の基本指針のこと)に引っかかってしまうので、小説には出来ないだろう。


「あとはこんな僻地でワシに対して精神干渉できるほどの者がおるとは思えんし、一切感知でききなかったのもおかしいからな。余程のことがあった、ということじゃ」


「なるほど…その光の塊は他に何か言っていましたか?俺はその光の塊のことを自称神様って呼んでいましたけど」


「フフ…自称が付くのか。確かに全知全能というわけでは無さそうだから、言い得て妙かもしれんな。しかしこの世界に自称神様がいるとは思いもしなかったわ…フフフ」


 セフィリアの口調は爺臭いが、笑うと美しいというより可愛らしい。


「ふう、その自称神様からはそれ以外なにも聴いてないぞ」


「そうですか…俺がこの世界に来た理由ですが、アースガルドの魔素が減少しているそうです。そこで地球から魔力を運び、アースガルドで消費して魔素を補給してほしいと…」


「やはり魔素が減少しておったのじゃな…他にも何か聞いておるか?」


「魔力から魔素へ変化するときに極僅かながらロスが発生していて、魔力と魔素の等価交換ができていないことと、魔力を蓄えられる生物が増えたため、アースガルドに漂う魔素が減少してしまったようです。原因としては後者のほうが影響は大きいそうですが」


「魔力の生体貯蔵は予測しておったが、変換時にロスが発生していたのは分からんかったわ…元いた世界から魔素を持ってきても平気なのか?よほど魔素に溢れてる世界なのか?」


「いえ、そもそも魔素や魔力があることすら知られていません」


「どうやって生活していたのじゃ?よほど原始的…いや、不憫ではなかったのか?」


 そこで地球での生活について説明した。食料・住居・医療・政治・エネルギー・環境・それぞれに伴う問題点など、セフィリアから度々質問があり答えていった。そうしてセフィリアが息をはいて


「よほどワシ達のほうが原始的な生活じゃの…それにしても随分と知識を持っておるの。お主は見かけと年齢が違うのか?」


「ええ、元いた世界では30歳でしたからね、それなりには」


「ほう、なるほどの。ワシもこう見えて100歳くらいか?まあ50を超えたあたりから数えるのは止めてしまったが」


「100…どうみても20歳くらい…この世界の住人は皆そうなのですか?」


「いや、人族は寿命60歳程度じゃが、魔力を多く持つ者ほど老化せず長命じゃな。魔法を使うのに最適な肉体を保つために老化が止まるのではないか?と言われておる。実際魔力が少ない者は普通に年老いるからの」


 そう話していると、ふと窓の外を見ると随分と日が傾いていた。時間が経っていたことに気づいた途端に、お腹の虫が鳴り始めた。


「腹も減ったことだし夕飯の用意をしてこよう。魔法とこの世界に関する知識は明日以降教えてやる。お主の部屋はそこの廊下の突き当りにあるから好きに使え」


 そういってセフィリアは廊下の先を指差した。


「ありがとうございます。最悪追い出されることも覚悟していたので…すごく助かります」


「ワシにも色々得るものがありそうじゃしの。あとその丁寧な口調がきになる。普段の口調で構わんぞ」


「…分かった。ではあなたのことはセフィリアと呼んでも構わないか?」


「好きにするといい。ワシもお主のことはソーイチローと呼んでおるしの。では用意してくる」


 セフィリアは台所のほうにいき、俺は割り当てられた自分の部屋に向かった。部屋はものすごく埃っぽく、どうやら掃除する人はいないようだった。

部屋は6畳くらいで、机と椅子、中身が空っぽの箱とベッドがあった。必要最低限の家具はあるが今夜ここで寝るためには、まず拭き掃除から始めなくてはならなかった。


「ソーイチロー、飯ができた」


 呼ばれて台所に行くと、そこは腐海だった。シンクの中は黒い水で満たされ、皿やコップが山と積まれている。美人との食事がものすごく残念なことになっていた。そして出された食事は、干し肉と果物と何かの葉っぱ。旨いものを食べたければ、自分でどうにかするしかなさそうだった。

 なんとなくセフィリアの性格が分かってきた。興味のあること以外はどうでもいい人なんだろう。


 そうして色々と残念な食事を終え、明日以降の予定を聴いた。明日がアースガルドの一般常識、明後日から俺の魔法に関する能力の調査と基礎授業を行う予定だ。


 そうして、アースガルドの初めての夜は更けていった。



本文が説明ばかりになってしまい申し訳ありません。どうにも文章が硬い…

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