ギルドでの戦闘
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前話のあらすじ:男A、B、Cが現れた!(結構前から)
ギルドのホールは入り口に「多目的ホール」と銘打たれていて、門をくぐりしばらく歩くと直径50mほどの円形闘技場のような場所に出た。周囲にはちらほらと他の冒険者の姿もあり、思い思いに鍛錬をしているようで走り込みや素振り、中には壁に向かって魔法を放っている者もいた。
「ここって冒険者なら自由に利用してもいいんですか?」
後ろにいた副マスターのシルクさんに聞いてみた。
「はい。仮組の方も含めて冒険者の方ならギルドが開いている時間であれば自由に利用可能です」
「ギルドの営業時間っていつですか?」
「朝5時くらいから夜9時の最後の鐘が鳴るまでです」
この世界は3時間毎に街の鐘楼が鐘を鳴らすところが多い。ただし、0時と午前3時は鳴らさない。
「お、来たな。さてルールだが…武器類はホール備え付けの刃無しの武器、戦闘力を奪うか降参させたら勝ちだ。ところで…こいつらが3人同時にやりたいとか言ってるが、おまえはどうだ?」
とギルドマスターが提案してきたが、どうやら言い出した元は男Aのようだ。男Aがまたニヤニヤしながら言ってきた。
「なんせそっちは魔法使い様だろ?俺らみたいな雑魚だとギルドマスターが期待してる魔法使い相手に戦うとすぐに負けそうでなぁ」
「赤級だけどな!」と付け加え、またギャハハハと笑い声を上げた。もし俺が尻込みをして1対1を希望したら、難癖を付けて有利な条件を追加したいという思惑が透けて見えた。
「3対1で構いませんよ。そのほうが早く帰れますしね」
「キサマぁ…舐めてんじゃねえぞ!!」
「別に舐めてませんよ」
と、言ったのは嫌味でもなんでもなく本当だ。早く帰れるというのは本音ではあるが。
スタングレネードは初見や不意打ちなら効果は高いが、来るのが分かっていたら対策も取られやすい魔法だ。もちろん目をつぶったりという対策を取られる前提での戦略もあるが、わざわざここで見せる必要も無い。
「本当にいいんだな?魔法使いがこの近距離で、しかも3対1で戦うってのはかなり厳しいぜ」
ギルドマスターのギザルムはそう言って俺のことを心配してくれた。
この世界の魔法使いは殆どが詠唱を必要としている。そのため敵が近くにいればそれだけ不利になるし、多方向は職業関係なしに脅威だ。
「まあなんとかなりますよ、やりましょうか」
ギリリと歯ぎしりが聞こえそうなほど3人組は俺を睨んでいる。ギザルムは審判の配置につき、
「では…始め!」
「死ねやあああああああ!!」
「殺したらああああああ!!」
開始の合図と同時に叫びながら男Aと男Bは二手に分かれて駆け出し、一番小柄な男Cは懐に手を入れたと思った瞬間、こちらに向かってナイフを投げてきた。しかし、こちらに詠唱をさせないよう牽制するのが目的なのか、少し外れたところに飛んでいった。
そんな一瞬の合間、
「『スタングレネード』、『ショットガン・ゴム弾装填』」
複雑な魔法陣がからみ合い望んだ描画魔法が完成する。右手には黒いショットガン、左手には白い筒状の手榴弾。そしてすぐさま手榴弾を起動し、手を離して自分の足元に落とした。
それを見た瞬間、シルクさんは耳を塞いで伏せていたが、マスターは耳を塞ぐだけでこちらを凝視していた。警告はしてあるぞ?
足元にスタングレネードが着地した瞬間、ホールを揺るがすような爆音と閃光が轟いた。
「目、目が、耳が!!」
「ウグググ!」
「クソッタレ!見えねえぞ!」
「目がいてえええ!!」
うめき声が4名になってるのはご愛嬌だろう。一応ショットガンも用意していたが、使うまでもなさそうだ。
しかしこのスタングレネード、光は目をつぶって直接目に当てなければいいが、音だけはきつい。スタングレネードの使用と同時に耳栓の魔法陣も展開しているのだが、骨伝導で伝わる分もあるらしく近くにいると俺までクラクラしてくる。
「で、勝敗は…マスターまで倒れてるし…」
「しょ、勝者はソーイチローさん、で問題ありません」
しっかりとスタングレネードの影響を最小限に抑えたシルクさんがいち早く立ち直り、ギザルムの代わりに宣言してくれた。
「シルクさん大丈夫ですか?やった自分が言うのもなんですけど」
「ええ、まだちょっと平衡感覚がおかしいですけどなんとか。目が見えなくなってるようですが、失明させたのですか?」
「いえ、一時的なものです(たぶん)。この後はどのようにすればいいですか?」
いい加減、もう太陽が見えないくらいまで日が傾いてきているので早く宿の予約を取りに行きたい。
「この修了証を受付に渡せば報酬等の支払い手続きに入れます。どうぞお持ちください。ギルドマスターのほうは引き受けておきますので、彼のことは気にせず宿に向かわれたほうがよろしいかと」
そう言ってチラリとギルドマスターのほうを見ていた。
「但し、後ほど詳しい話を聞かせていただく可能性がありますので、その点はご了承ください」
「まあこのまま素直に開放してくれるとは思ってませんよ。ではそろそろ宿に向かいます」
「はい、ご苦労様でした」
「では失礼します」
俺はそのままカウンターに修了証を渡して完了手続きをして報奨金を受け取り、音の鎖亭に向かった。
ハーレムと書いてありながら男の出番が多いというタグ詐欺。
あと3話先くらいで…
戦闘もあれだけ引っ張っておきながらチートを感じさせることもなく掃討。
普通の人を相手にするなら閃光手榴弾一発でカタが付いちゃうんで
どうしてもこんな展開に…タグ詐欺申し訳ありません。