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花緑青1

冒頭が二重で投稿してありました(@@)

教えてくださった方がいたので、訂正いたしました。

申し訳ありませんでした(><)

 屈託のない笑顔でこちらを見ている花緑青(はなろくしょう)、彼も妖怪なのだろう。それにしても会話が通じる人でよかった、京紫(きょうむらさき)のような変態ばかりだったらどうしようかと。

「入野うららです、服ありがとう」

 ありがとう、と言って受け取ったもののよく考えたら盗難に遭っていたわけだから、お礼を言う必要などないのではなかろうか。

 目の前の青年が笑みを浮かべていて、気さくそうに見えても泥棒である。

 軽く睨みつけても、花緑青(はなろくしょう)はニコニコと愉快そうに笑って突っ立っていた。

「あの、まだ何か?」

 服を着たいし、その笑みがなんだか良くない気がして、痺れを切らして声をかける。その笑み、最初は普通に愛想で微笑んでくれていると思っていた。けれど感じが悪い、ではなくて……見れば見るほどマネキンの様な、綺麗な笑みだった。そこに感情は全くない気がしてきた。

 なんだろう、怖い。

「どうしたの、どうして逃げるの」

 我に返った、どうやら数歩後退していたらしい。身体が勝手に、怖くて動いていた。何故だろう、ただ目の前に立っているだけなのに妙な威圧感がある。思わず唇を噛むと、微笑んだままの花緑青(はなろくしょう)に反発するよう、睨みつける。

「あの、服を着たいので」

「うん、どうぞ」

「……何処かへ行っていただけませんか」

「うん、何故?」

「何故って」

 口篭る。何故と言われても恥ずかしいからなのだが、妖怪にはそういう概念がないのだろうか。確かに今の私の服装がすでに恥ずかしいのだが、子供の前でなら百歩譲るとして、同じ年頃の異性の前で着替えるというのは、抵抗がある。

 花緑青(はなろくしょう)は口元に優しそうな笑みを浮かべたまま、その場から一歩も動こうとしなかった。この人、何?

「珍しい物だったから、どうやって身に纏うのか見てみたい。特にその、丸いものが二つ並んでいる物」

 丸いものが二つ並んでいる物……? 軽く眉間に皺を寄せたが、すぐに何が言いたいのか理解出来た。

 ブラのことか!

 確かにこの世界、ブラのホックなどは見慣れないだろう。だが、大体予想つくものではないだろうか。これは新手のセクハラなのだろうか、この人も変態なのだろうか。

「嫁入り前の娘ですし、赤の他人様に見られるわけには参りませぬ」

 妙な言葉使いになってしまった、微かに声が震えていたが、はっきりとそう告げる。花緑青(はなろくしょう)は笑みを浮かべたまま、首を傾げた。

「そうなの、残念」

「ええ、ですから何処かへ立ち去ってください」

「うん、そうだね」

 と、言いつつも全く動かない。私は流石にイラッと来た、寒くて早く着込みたい、温泉へと向かう。離れた所で着替えよう、焚き火からは離れるが仕方がない。

 歩き出すと、後ろで同じ様なリズムの足音が聞こえてきた。嫌な予感がして密かに振り返ると、案の定花緑青(はなろくしょう)が追ってきた。眩暈がする、この人何なのか。

 立ち止まって流石に声を荒げる、はっきり言わないと解らないのだろうか。

「ついて来ないでください、ここから一歩も動かないで」

「うん、解った」

 笑顔でそう言われ、疑いつつも私は再び歩き出す。

 確かに、後方からついてくる足音は聴こえない。だが、気配を感じていた。いい加減コメカミがひくひくと引きつった、振り返る。

「だから、ついて来ないでくださいっ」

「脚は動かしていないよ、行きたい方向が同じなだけで追跡しているわけでもないよ」

 ……駄目だこの人もおかしい。


お読み戴きありがとうございました(^-^)

大変です、間に合わないです←

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