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1:エピローグ
薄桃色の花が散る。そうすれば、歳をとって大人になる。
自由になれる。良家のお嬢様でも、好きなことができると思ってた。
歳をとることが、どういうことか知らなかった。
桜が散る。自由が減っていく。
この家の道具として生きていくことしか、許されない。
薄桃色の花が降る。ずっとそばにあったこの場所。
自由にはなれないと知っていた。いくら願っても届かないものがある。
それでも、自由にできる場所があった。
桜が散る。夢の存在が大きくなる。
医者の息子として生きていくことしか、許されない。