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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第5章 煮物

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37_帰りは歩いて帰るねん




絶対寿司を食べると決めていた。というかむしろ、今まで食べてなかった方が驚きである。


「いらっしゃいませ~」


ああ、帰ってきたあああああああ。ホームや、故郷や。心の拠り所や~


きよさんにドン引きされつつも、あついハグをかましながらカウンター席にどっと座る。大将の視線も心なしか生あたたかい。


このハグを自然にかませる感じ、いよいよ私はジャム人になっているのかもしれない。


「寿司の特上盛りとほうじ茶濃いめで!」


うん、純日本人。


「あと季節の天ぷらにハマグリの赤だしをお願いします!」


ばりばりの日本人。

食の好みが日本人の域から全く出ていないことを教えてくれる。まあ、味覚はしゃあないよな!


「そういえば、日本酒入荷しましたよ~」


なんやて!?どうやって!?誰からの要望!?


「シーさんからです。アルコールメニューお持ちしますね」


シーさんあなた、いける口やのね、感謝合掌。


きよさんから受け取ったメニューの中でも、キラキラ輝く新しい日本酒欄をじっくり眺める。甘口か辛口か、なんと度数までご丁寧に書いてくれている。


「いらっしゃいませ~」


噂をすればシーさん、小野田くんの2人が入ってきた。小野田くんすっかり日本人になって。2人は店の前で偶然会ったらしい。


「あ、お疲れさまです!シーさん日本酒ナイスすぎます。」


「アビ、おかえりなさい。嬉しいですよね!やっと実現しました。」

「お久しぶりです、アビさん。」


即座にシーさんに日本酒のお礼を伝えると、嬉しそうにメニューを見ていた。もう全種類吞んだらしい。


「で、トゥーバはどうだった?」


いかに研修開催者が頑張ったかを熱弁しているうちに、頼んでいた品々が仕上がったようだった。


シーさんは日本酒に合わせて白身魚の煮物御膳。小野田くんにはカツ丼とミニそばセットをおすすめしてみた。


自分がうどんもそばもまだ食べられてないからである。人のご飯を見て自分が次に食べたいものを決め始める。よくない。


大安定の浮遊魔法と頭のお皿を使った配膳術で、きよさんはそれぞれの前にごちそうを置いてくれる。


『いただきます!』


まずは大好物の赤だしから。大将お手製、だしのきいた赤味噌の旨みが鼻を通り抜ける。生きててよかった。


近くの海でとれたハマグリのぷりぷり加減といったら、もう。


汁だけで終わるわけにはいかないので、早速大本命の寿司。どれから食べるか悩むが、私はいつも白身から。ワサビをのせて、醤油へワイルドイン!


無人島に行くなら何を持っていく?と聞かれたら、醤油を選ぶほど醤油ラバーな私は、申し訳ないがたっぷりつけさせていただく。魚の旨みは、醤油とのコラボレーションの中で感じたい。


ああ~~~~~~~たまらん。止まらない私は、イカからの鉄火巻きへの生エビ、赤貝。ラストはウニ。


もちろん冷める前に、天ぷらもはさんでいく。茄子のとろっと感に、ぷりぷりのエビ天。天つゆに追加した薬味のショウガが効いてる。


合間に飲むほうじ茶の豊潤な風味に、全ての味覚がより研ぎ澄まされる。一息つくことで、大切なものを忘れていたことに気づき、きよさんを呼ぶ。


「茶碗蒸し1つお願いします。」

「私も」「僕も」


「3つですね、かしこまりました。」


それぞれが夢中になって食べていたが、やっぱり聞きのがさない。いや、聞き逃せない。


今までそれでどれほどの美味に出会って、体重を増やしてきたかわからない。飛べなくなってもええねん、自分に浮遊魔法かけるから。


幸せな夜ご飯で、全ての疲れが飛んでいったような気がした。


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