35_せなあかんことが終わるとすっきりするな
次の日からの全国展開での研修では、事前研修で苦労していた委員長を中心にフォローして回った。
どこの会議室に行っても、うまく進められていて安心する。
「ンジャイ教育委員長、研修開催はいかがですか?」
「見ての通り、参加者に伝わってる気がするよ。このまま、各地でも同じように行われてほしいね。」
そうして、全国の教育委員会に向けた研修を予定していた日程で終えることができた。
会議室と指導者が限られているため、1日3つの地域の教育委員会を招集し3日に分けて開催した。
「アビさん、やりましたね!お疲れさまでした。」
ウーリーさんのねぎらいが身に染みる。今だけ、今だけその毛並みを触らせてもらえへんやろうか。
各地域に、投影魔道具と作成した算数教材・教具も配布することができている。
もっと時間がかかるかと思っていた算数教材だが、教育省の方でも算数に対して課題を感じていたらしく、すでにカリキュラム課の教材開発部で話が進んでいた。
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―― 教育省 基礎教育局 カリキュラム課
「連絡したアビ・ンダオです。算数教材について、お聞きしたくまいりました。」
「あ~待っておりました。賢聖の方ですね、こちらが作成していた教材になります。」
ほぼ出来上がってる!いや、内容はひどい。これじゃ結局身につかへんで。
演習量が圧倒的に足りなかった資料に、演習の大幅追加を依頼した。
私は、その単元の内容にあった算数教具を植物魔法と土魔法で作成し、見本として付けた。
「こちらでどうでしょうか?」
「改善ありがとうございました!今年度は、これでいきましょう!」
はじめに例題、その後に基本問題、その後に確かめ問題。隙間には解説、というような構成になったワークブックが仕上がった。
ワークブックに1つの教具キットがセットになり、配布する。各学年分なので6つある。
そこから、教育委員会で各学校分を複製し、各学校で子ども分を複製して使用する計画になっている。
これを魔法がない世界で再現しようと思ったら、どれだけの時間の費用がかかるか。想像したくもない。
教材作成費用に印刷費用、教具作成業者の選定、教具作成費用が、全国の小学校の全学年、全生徒の分だけかかる。これにプラスして、このすべてのための人件費。
あ~恐ろしい。魔法様様である。
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研修の中では、この教材の取り扱い方や授業への取り入れ方まで伝授した。
内容が盛りだくさんになってしまったが、複製魔法と投影魔法の使い手と、この算数教材の使い手は担当を分けることになっているから、きっと大丈夫。
来週、地元に戻ってそこの研修がどんな風に行われるか確認する予定だ。
これで、私の一番の大仕事は終わった。
今後の仕事内容を、ウーリーさんに整理してもらう。




