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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第5章 煮物

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34/58

34_ようやったとしか言われへん




『大会議室ではありませんよ。屋上会議室です。』


『えーー!』


大会議室にぽつんと座っていた私に、ウーリーさんから電話がかかってきた。


変更連絡をメッセージしてくれていたのに、私が見ていないだけだった。


この国の直前変更は当たり前だというのに。


―― トゥーバ市役所の屋上会議室


黄緑のフェンリル族が受付に立っている。


「おはようございます、アビさん。その節はお世話になりました。」


研修の開催責任者である人事局研修課のトゥーレ副課長だった。毛並みが美しい。


開始前にも関わらず、すでに準備は完了している。事前連絡をしたのか、ほぼ参加者もそろっていた。


手元には、資料が配られているのが見える。

壁にはタイムスケジュール。黒板には研修に対する注意事項が書いてあった。


・音声電話を原則禁ずる。

・離席を原則禁ずる。

・ポルタブルの使用は、記録用と資料の閲覧用に限る。


参加者も研修が変わったことを悟り、おとなしくしている。私は後方に座っているウーリーさんの隣に座った。


投影用の魔道具から、受け付けで配られた資料と同じ内容が表示される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

        研修の開催方法

   ~複製魔法と投影魔法の習得に向けて~

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すばらしい!すばらしいとしか言いようがない。


魔法や図形、実物を示した解説。

各席に朝食代わりの濃ゆいカフェが配られ、自席での小休憩。勘違いしやすい内容には、詳しい解説まで行われていた。


いよいよ実践編が始まる。

複製魔法や投影魔法を使えるだけじゃなく、人材の育成用の内容になっているか!


「まずは、複製魔法です。複製したい魔道具は、こちら!注意点は、~~~~。

「では、やってみますのでご覧ください。」


「複製魔法の実践をしてくださる方はいますか?」

「2人目の方?」


「ありがとうございます、ちなみに失敗しやすい点は、~~~~。」


「各グループになって行いましょう。」

「2グループに1人監督者を付けます。何でも質問してください。」


投影魔法も同じように、全員が使えるようになるまで研修が行われた。前回使えていなかったタンバ教育委員会のンジャイ教育委員長たちも全員使えるようになっていた。


前回よりグレードダウンした昼食の後は、研修の開催方法だった。


関係者への連絡方法、説明と資料の準備、話し方に至るまで、丁寧に解説と実践が行われた。


最後に、投影魔道具と配布資料の原紙が全員に配られる。


パーフェクトコンプリート!!!

後は明日以降の全国展開を待つのみだ。


実は、ここに至るまで果てしない苦労があった。


「研修の開き方」セミナーを生かそうとしてくれているのはいいが、毎日トゥーレ副課長から連絡がきていた。


電話の度にあの毛並みを撫でたい衝動にかられる。


このやり方でいいのか、間違っていないか、説明する意図は何だ、資料の作り方どうするのか、ここが勘違いしやすいポイントなのか~~~~。


長かった。果てしなく、長かった。でも仕方ない。私は理想の研修を何度も見たことがあるが、彼らは私が行った1度の研修から、それを再現しろと言われているのだから。


それは、慣れてない彼らにとってはとても難しい。


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