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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第5章 煮物

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32_ほんまに何もできひんかってん




今さら来たのはもちろん、生粋のジャム人チャム大臣。


「どうもどうも。遅れましてすみません。」


この人たちは、間に合わす気もないのに、こうやって言う。まあ、遅れるくらいいいか。


今から説明すれば、自分の振り返りにもなる。そう思ってしまうのは、半分ジャム人になっているのかもしれない。


「あ、すみません。ウーリーさん。今までの内容を、チャム大臣にお話しいただけないでしょうか?」


なってなかった。なんなら、ウーリーさんの技量を見れる効率的でいい機会だと思ってしまっている。


ジャム共和国で時短なんか考えている人は、ほとんどいないのに。日本人が抜ける気配はない。


「承知しました。では、ご説明します。~~~~ということで、アビさんは下記の図の4つの課に携わることになりました。」


〇基礎教育局

☆カリキュラム課:学習指導要領や教材開発

☆教師配置・研修課:採用、配置、研修

☆学校監督課:学校運営を監督


〇人事局

☆研修課:初任者研修や職員研修を企画・実施


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ウーリーさん疑ってごめんやん。すばらしい説明やった。

ほんでありがとう、そうやわ。関わる課を増やしてるわ!これはあかんパンクする!


「あっら~なんとすばらしい。教育省は安泰ですね。」


チャムさんは感心してるけど、私はジャム共和国でブラックには絶対生きない。これは、この国に生まれてから決めていたことや。


今回チャンスをもらえたけど、大好きな仕事であっても、自分の命には代えられへん。


実はこっちに来てからよく見る夢がある。


お葬式の夢。

そこでは、向こうに残してきた弟や妹、父や母。親友、同僚が泣いている。


もっと悲しいのが、担任をしていた子どもたちの心に深い傷を残してしまっているであろうこと。


そんなことは、絶対にもう起こしたくない。そして今の自分がこの世界を、この人生を楽しみたい。


もしかすると、これが私の本音なのかもしれない。


普段は子どもためやら何やら言うてるけど、結局教師である自分が、健康と安全、心の平和を確保しないと何もできない。


何もできなかった。本当に何もできなかったことが、悲しくてやりきれない。


これを知ったら、日本の保護者や教員にはどう思われるんやろうか。そもそも、そういう教育システムが実現するんやろうか。


そして、何より日本の子どもたちは幻滅するのやろうか。


その代わり、こんな大人になって人生楽しみたいなって、生き方するから許してな。


おもしろい授業をいっぱい考えて、教材・教具あふれる授業するから、許してな。


好きなことも、苦手なことも全部楽しいって思える授業考えるから、許してな。


なるだけたくさん遊ぶし、嬉しいことや悲しいことを話せるようにするから、許してな。


そして最後に、あなたの心の安全基地になれるようにするから、許してな。


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