31_来るのおそいて~
最高の休日を過ごした私は、ジョールさんと桜さんに、魔道具の開発と魔力補助塔の強化工事の費用、他にも費用面から保留になっていることを相談するために、TOKYOに来ていた。
あの会議から専属補佐官になってもらった犬型獣人のウーリーさんも来ている。チャム大臣は後から来るそうだ。
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その前に、今の課題を整理する。
対策②の教材配布が、複製魔法の使い手が増えることで可能になったことに気づいた。
〇教育省 基礎教育局
<課題> 農村部の就学率の低さ、学力不足。
<対策>
①就学前教育の拡充
→貧困家庭への支援や教員採用の費用が必要=保留
②教材配布
→複製魔法の使い手が増えることで可能。教材開発は私が介入する。
③少人数学級化
→ただでさえ教員が少ないため=保留
④教師研修強化
→研修手順の完了。教科研修の内容選定が必要。
・特別支援学級の新設
→費用が必要=保留
・9か月の教員養成校の質向上
→教科研修が軌道にのり次第、介入。
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「ジョールさん、桜さん。今日はお時間いただいて、ありがとうございます。こちらは、私の補佐官になってくれたウーリーさんです。」
「教育省よりまいりました。サリ・ウーリーと申します。よろしくお願いいたします。」
「どうせ今日は暇だったからな。わしも話したかった。ウーリーさん、どうぞよろしく。」
「いいのよ~。ちょうど私も話したかったの~。はじめまして、ウーリーさん。」
2人の抜群のやさしさと安定感に安心しながら話を切り出すと、ジョールさんからかなり素敵な話をもらった。
「魔道具の開発だがな、機械系魔道具専門店ヨド〇シキメラから、旧式の提供をしてもらうことになった。取引条件は、新開発の設計記録だそうだ。これなら大幅にコストを下げれられる。
魔力補助塔の方も、カンサイ魔力社からオファーがあって、魔力負荷を下げた新技術の開発さえできれば、費用を負担してくれるとのことだった。」
最新技術がこんなに高く売れるなんて!
それもそうか。日本でも新技術や研究、品種改良した農作物が近隣国に盗まれただの、ニュースになってたもんな。
随所に関西じみた名前が出てくるのは、私の地元愛からだ。出身がしれるなあ。
「本当にありがとうございます。これで考えていた案を心置きなく話せます。」
教育省内の臨時予算と経費削減で浮いた額は、ポルタブルの追加機能開発に使うために枠内が埋まってしまっていた。
それほど予算が限られている国である。ましてや開発者はシン王国関係者。物価の違いで人件費がかさんだ。
考えていたのは今後の人件費について。
「研修費用に関しては、教育省内の予算でやりくりできそうなのですが、人件費が足りないんです。そこで、臨時予算を付けてもらうことが可能か聞きたくて。」
臨時予算は元々、魔道具や魔力補助塔に使う予定だったが、話が進みそうなため提案してみた。保留になっている事柄を桜さんに説明する。
今の教員が足りない状態では、行いたいことも行えない。
「そうね~これはなんとも。国民議会に提案してみないとわからないわね~。」
「そうですよね、ありがとうございます。」
どうなるかわからないが、賢聖が言うことだ。このまま進められる前提でプロジェクトを立ち上げよう。
「いらっしゃいませ~」




