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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第1章 白米

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03_目で見てさわると理解が早いねん




クイズで盛り上がった後は、考える力があるうちに算数を勉強する。


ジャム共和国でも、算数が苦手な子は多い。

魔法の影響で、科学の発展が遅れているジャム共和国は、ほとんどの電子機器を他国からの輸入に頼っている状態だ。


日本は、算数能力は高いのに、苦手な子が多い国だった。


用意してきた教材袋を教卓に持ってくるだけで、子どもたちの目が輝きだす。

学習が視覚的にわかりやすくなるだけじゃなく、算数が苦手な子どもたちの好奇心までかき立てるようだ。


今日は、図形の授業。

植物魔法で作った直方体と立方体、それに広げたお菓子の箱を取り出す。


『先生、それ中身入ってるんですかー?』『ぼくらも食べられるー?』『魔法で作ったの?』


子どもたちの声に1つ1つ答えながら、模型を拡大魔法で大きくしていく。

そのあとは、クラス全体に浮遊させじっくり見せる。


次は、複製魔法。

拡大した教具を元の大きさにし、子どもたち1人1人にいきわたるようにする。


子どもたち全員に教具を用意する教員が少ないこの世界で、初めは子どもたちも目を輝かせて、自分だけの教材を嬉しそうに触っていた。


私もこの授業をするときは、3日前の夜から魔力量を貯めて臨んでいる。


今では、子どもたちも慣れた手つきで教具を確認し、与えられた課題を考えている。


私はこの後休憩をする。魔力がごそっと削られるからだ。


天狗族の高岡さんは、ロッカーの上で勉強している。

サラマンダー族の土中くんは、机の下に体のほとんどは落ちている。

体調が心配なフェアリー族のジョップさんは、教卓の周りでフワフワ教具を触っている。

課題が終わったぬりかべ族の佐々木さんには、別の模型も渡してみた。


「シヤンくん、その模型は遊ぶためちゃうよ~今何する時間やったっけ?」

「リンゲールくん、よく気付いたね。」

「ンジャイさんは、お菓子のイラストじゃなくて、箱の形を見てみよう。」

「シセさん、複製魔法はまた今度ね。」


教室を回りながら、声をかけワークシートをチェックしていく。


フェンリル族のシヤンくんは、気づいたら噛む癖がある。片付けの統合魔法が大変になるから、勘弁してほしい。


ドラキュラ族のリンゲールくんは、専用の席で暗い中よく見ている。


ゴブリン族のンジャイさんは、食べ物への執着がすごい。よだれを風魔法で外へ飛ばしておく。次からは無地の箱にしよう。


ドワーフ族のシセさんは、探求心のかたまりだから、教具自体が気になるらしい。


一見まとまりがないが、それぞれが集中している光景は、いつみても素敵。


進み方も、ばらばらな子どもたちのために、私も複製魔法で指導している。


それを見た他の先生の反応は、あまりよくない。

手をかけすぎだの、規律がないだの言ってくる。


他のクラスの規律を気にする前に、しっかり出勤して、子どもたちが楽しんで学ぶ授業をしてほしい。


それにしても子どもたちの数が多い。

60人の子どもたちを見るには、さすがに手が足りない。


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