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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第5章 煮物

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28_さくっと納得してくれたらええのに




甘味に元気をもらった私は、研修のあり方について人事局の研修課と基礎教育局の研修課、学校監督課に対してセミナーを開くことにした。


―― 教育省合同庁舎の大会議室


壁にはタイムテーブル、手順フロー、教材サンプル、失敗例の図解ポスターを並べた。


開始時刻になったが、もちろん誰もいない。


警備員に私が伝え、鍵を開けてもらった。え、またタイムループしてる?


今日はいい。なぜなら私が開催者やから。いや、教育省にも伝えたんやから来てくれよ。


これはもう善意頼みはあかんな。私担当の人を1人つけてもらうしかない。


今日の出席者は、各課から2名、教育省から2名、私の9名。研修開催者を中心に案内状を出した。


結局始められたのは、30分後だった。


今回の議題は、研修のあり方。伝えたいことは、山ほどある。


「集合時間の厳守」「開催側の準備の徹底」「研修の受講態度」「過剰な朝食と昼食の削減」「実物や図を使った説明の実施」「参加者がつまずく点を詳細説明」「実践時間を確保」「参加者全員の研修理解の達成」


ポイントを絞って、投影魔法と黒板を使って説明をした。反応はどうか。


「以上が、今後の研修の改善点です。素晴らしい研修が、より全国に広がるよう考えました。」


さっそく基礎教育局の研修課、真っ赤な魚人族のカマラ課長や人事局の研修担当者が、賛同の声をあげてくれた。


「時間は礼儀でもあり仕事の始まりだ。他も全部、現場目線でも納得できる。まずは試そうじゃないか。」


「たしかに話だけだと人によって解釈が違うことが多いわね。準備の手間はあるけど図解の効果は、大人に対しても高いわ。」


ここからが大変だった。


「準備と言うけど、いつも現場は想定外の連続よ。資料だって前日に差し替えが来る。完璧なんて無理よ。」

「食事は礼儀だ。量が多いほど敬意を示せる。腹が満ちてこそ学べる。」

「失敗は現場で学ぶのが一番だ。甘やかすな。」

「私は説明がうまいの。話せばみんな分かる。図なんて手間が増えるだけ。」


他の参加者中心に、どんどん話が膨らんでいく。


チャム大臣に依頼して、教育省から書記の人をお願いして助かった。


犬型獣人のウーリーさんがどんどん記録してくれている。薄紫の毛の色だが、彼女はどう見てもプードル。カーリーヘアがかわいらしい。日本の実家で買っていた犬に会いたくなった。


反論に対して考えていたことを、図と一緒に投影魔法で見せていく。この説明すらも今後の研修の見本にしてほしい。


「話術は素晴らしい資産です。でも、“記憶は図を好む”。流れはフローチャート、手順はチェックリスト、失敗例は写真、仕様は実物。

 口頭は“理解のきっかけ”、図と実物は“再現性”。現場で再現できる説明が、研修の成果です。」


「“転ばせる”のは学習ではなく、離脱の原因です。つまずきポイントは事前に見せます。よくある誤解、典型的なミス、修正の仕方、予防のコツ。

  失敗は必要です。でも“致命傷”は不要です。なぜなら、1度の研修で地方まで全国展開する必要があるからです。」


それから、あーだこーだ言いつつも、ある程度の着地点に落ち着き、今後第2の首都であるトゥーバでの研修に生かされることとなった。


真っ赤な魚人族のカマラ課長と影は薄いが仕事ができる薄茶色のドラゴニュート族ロー課長の手腕によるところが大きい。学校監督課ばんざい。


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