26_日本人働きすぎやねん。
仕事終わり、スイーツを食べにTOKYOへ向かうと、桜さんとシーさん、ポルタブル内部開発者の白虎族小野田くんが先に来ていた。
いよいよ2人も首都で働くらしい。待ってました!小野田くんはあれ以来、日本食にハマったらしくたまに来るようになった。進捗確認ができてありがたい。
「お久しぶりです!やっと上がってこられたんですね~待ってました!」
「そうなの~でも私、やっていけるのかしら~」
「いよいよって感じですね。」
桜さんは心配そうにしてるが、シーさんはあっけらかんとしている。
ちなみに、シーさんにうちの母のことを伝えると、名前を知っていた。世間せまっ。
小野田くんを2人に紹介したが緊張するとのことで、窓際の方のカウンター席から移動してこない。
夕飯を今から食べるらしい桜さんたちに便乗させてもらって、大将目の前のカウンター席に座る。
「最近、韓国料理も作り始めたらしいですよ~!」
「えっ、そうなの~?私辛いの大好きなのよ~」
「ヤンニョムチキンとかハニーマスタードチキンとか、よく食べてました。」
居酒屋TOKYOに通いつめている私は、初顔合わせの時から変わったメニューを紹介していく。後で小野田くんにも伝えないと。
チョレギサラダ、カンジャンケジャン、ユッケ、冷麺、海鮮チヂミ、キムチ、キンパ、タッカルビ、ビビンバにチゲまである。
全部おいしそう!
この品ぞろえの多さの秘訣を大将に聞いたところ、大将は保存魔法を高レベルで使えるらしい。
氷魔法でどうにかならないものは、保存魔法を使って保管しているのだとか。
チャム大臣の人選が神すぎて、改めて感謝。
3人でトッポギをつまみながら、過去の話まで話し始める。
「どうやってこっち飛ばされました?」
これは、前から気になっていたこと。
「私はね~コ〇ナが流行った時期あったじゃない?それにすごい影響される部署にいてね。ほんっと忙しかったの。連日働いてたでしょ~そしたら、体調壊しちゃった上に悪化して、ぽっくり。」
桜さん、思ってたよりハードな人生でこっちに来ていた。ちょうど同じ時期。
「うちも同じですね。総合病院だったので、応援勤務や感染症対応で手が追い付かず、帰れずで何日病院にいたのか数えるのやめた時期でした。
尋常じゃなく疲れているな~と思っていたんですけど、1度帰ったら気が抜けてしまって。気づいたら、こっちに来ていました。心筋梗塞か脳梗塞とかですかね。」
シーさんもかなりハードじゃない?やっぱり同じ時期。
私も話をしていると、2人の顔がどんどん渋い顔に…。
この世界に来たのは、もしかして全員ブラックなのでは?となったところで、きよさんの声がした。
「いらっしゃいませ~」
桜さんとシーさんがいるってことで、ジョールさんとイブさんにも連絡しておいたら来たらしい。
「アビさん、また!ポルタブルの開発は順調なので安心してくださいね。」
小野田くんに挨拶をし、入れ替わるように入ってきた2人のために、韓国料理のお皿を持って座敷席へ移る。
「お2人も上京されてきたんですね~やっとそろいましたね~」
「そうなの~来週から働き始めるわ~」
イブさんと桜さんが話すと、ほのぼの空間が広がる。
犬と鬼が話しているのを見ると、桃太郎が連想されるのは私だけやろうか。欲を言うなら、セントバーナードじゃなくて、和犬ならベスト。
「どうやってジャム共和国に来たかの話をしてたんですよ!」
「見事ブラックOLとブラック医、ブラック教員でした。」
私とシーさんが興奮気味に、あまりのブラックの高さをイブ・ジョールの元首都コンビに伝えた。
「っふは」「ファッファ」
この反応は、まさか…。




