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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第4章 焼き魚

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24_一部を見るだけでわかることも多いよな




『最近どうやー?』


『ほんまこっちは大変やわ。ごめんな連絡返せんで。』


『ええねん、ええねん。もうアビのポルタブルは固定電話やと思てるから。ガッハッハ』


牛型獣人のハディジャの包容力に、何度助けられてきたか。ほんとにありがたい。

ハディジャは実家で乳製品の販売をしている。どこからどう見ても人型ホルスタイン。


ハディジャんところのヤギが最近ご飯を食べないらしい。

手でやるとうちのは食べたで、と話しながら実家のヤギにも会いたくなった。


ハディジャとたわいもない話をして、その日はすぐ寝た。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ハディジャが作るヨーグルトもまた食べに行こう、なんて考えてると国立付属小学校についていた。


『おはようございまーす!』

「おはようございます」


職員室の場所を聞きながら進むと、子どもたちと遊んでいる先生を見かける。


ドラゴン族の男性だ。緑のしっぽに子どもがぶら下がっている。


もしかしたら、期待できる学校かもしれない。


今のジャム共和国では、子どもたちと休み時間に遊ぶ教員はとても珍しい。理由は教員の業務に子どもたちと遊ぶことは含まれていないから。


30分の休憩時間も教室にいる先生より職員室にいる教員の方が多かった。


「お話は!チャム大臣より!伺っていました!ようこそ!いらっしゃいました!!!」


「はじめまして。教育省よりまいりました、アビ・ンダオです。」


なんか想像していたヴァンパイア族と違う、と思いながら冷たい握手とともに、薄暗い応接室に入る。


この方は付属小のサンブ校長先生だ。空色の肌が、暗くて灰色に見える。


「こちらが!この学校の詳細です!!!」


部屋が暗くて文字が読めない。光魔法で照らしながら読んでいく。


各学年2クラスの第1学年から第6学年がそろった学校。1クラスは、地元と同じ60人だそう。


朝の今の時間でも、すでに授業は始まっているクラスが多いということで、早速見学させてもらうことにした。


第1学年の算数では、小石を使って学習をしている。


しかも、教室の中央に教具テーブルがあって、図形から文章問題の計算のイメージ化に使えるものまで、たくさんそろっている。


教えているのは、朝見かけたドラゴン族だった。ファール先生というらしい。


次にみたのは、第3学年の音楽。


地元では私以外、音楽の授業に時間割通りの時間をとって教えている先生は全然いなかった。


魔法に言語、算数という生活に直結する教科を教えるだけで手一杯の教員ばかりだったから。


実際、私も60人の子どもたちに授業を全て行うのは難しく、音楽や体育の時間を短くしたことがある。


エルフ族のファイ先生という方が、美しい歌声で見本を示している。ジャム共和国に伝わる古い民謡だった。


それと同時に、後ろの黒板には氷魔法で歌詞が書かれていく。


重要なポイントに色がついたから驚いていると、部屋の隅に色水が置かれてあった。


元となる氷に物理で色を付けて、描いているようだった。


こういう授業で使う魔法や教具、工夫の中にも教師の力量が見えてくる。


ここの指導法を起点に、研修を作っていこう。

少し見ただけで希望が見えた私は、ワクワクしていた。


実習でも地元の学校でも、こんな先生はいなかったからだ。


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