21_電話しかしてへんやつおるやんけ、食うなよ
というような形で、ジャム王国にいる日本人が、どれだけ日本食に飢えていたかをわかってもらえただろうか?
結局、ジョールさんとイブさんと食の話で盛り上がり、お米の話をして解散した。
もう食、というか日本食にとらわれまくりである。
ちなみに、私の味噌は居酒屋TOKYOのものとは、比べ物にならなかった。
住んでいたところが内陸すぎて、だし粉末を作れなかったからである。味噌自体も作り方が甘いのか、風味が違った。
今は、大将に粉末だしと米麹を分けてもらい、グレードアップしている。
味噌づくりにハマったので、時間がある限り続けるつもり。
日本にいる頃より、時間にゆとりがあるこちらの教育業界は、本当にありがたかった。
これで日本レベルに多忙だったら、それこそ私は地球に戻れますように、ともう一度異世界転生をねらっていただろう。
日本食の話ばかりしていられない。
会議が終わったからには、どんどんプロジェクトを進めていかなくてはいけない。
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基礎教育局、人事局ともに2つの研修課から、改めて言われたのは「研修の限界」
①都市と地方の格差(参加できる教師が限られること)
②頻度不足(一度きりで継続的でないこと)
③内容の限界(実践的でないこと)
④資金・人材不足(全国展開できないこと)
①と②、④は、「東〇進プロジェクト」とこの前の会議で回避予定だが、③が課題。
ここを詰めていかないといけない。
複製魔法と投影魔法の使い手を増やす研修→人事局
授業の質を上げる研修→基礎教育局
そこで、まずはそれぞれの研修が、普段どのように行われているか見に行くことにした。
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―― 人事局研修課の会議室
開始時刻になったが、もちろん誰もいない。
警備員に私が伝え、鍵を開けてもらった。うん、想像通りや。
30分経つ頃には、参加者が続々と集まってきた。開催者はだ来ない。
1番はじめに来た、といっても10分遅れの方に声をかける。
「はじめまして。教育省で働いているアビ・ンダオと申します。」
「はじめまして。タンバ教育委員会の教育委員長をしております、ンジャイと申します。」
ンジャイさんはゴブリン族で、なんと私が担任していたンジャイさんの親戚だとか。
話もそこそこに、続々とくる参加者に挨拶をして回る。
今回の研修内容は、研修拠点となる第2の首都トゥーバで行う研修担当者に向けている。
つまり、複製魔法と投影魔法が使えるだけでなく、研修も開催できるようにならないといけない。
結局50分遅れで始まったが、本当にひどいものだった。
「~~~であるからして、複製魔法の意義とは、~~~~~~。~~~~~~~~~」
講師は、ひたすら話を続けている。
そして、話すと同時に氷魔法を使い、黒板に文字がつらつら書かれていく。
研修を受けている各地方教育委員会の担当者は、ポルタブルを触るもの、電話で途中退出をするもの、メモをとるもの、ただ聞いているもの、それぞれだ。
そして、大して時間が経っていないのに、朝食会場に案内され始める。




