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ブラック教員が異世界転生~そうそう、こういう働き方がええねん~  作者: ふとん
第3章 お漬物

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17_穴開いた靴下を見せるのはずいよな




今日は、早めに居酒屋TOKYOに来た。

ジョールさんと約束があるからだ。


「いらっしゃいませ~」


きよさんに癒されながら、座敷席にすうっと座りに行く。

何度来ても落ち着く空間。


先に来ていたジョールさんは、枝豆とビールをつまんでいた。


「おう。アビ、今日も頑張ったそうだな。」


ジョールさんは、いつもほしい言葉かけてくれると思いながら、枝豆をいただく。


「連絡ありがとうございました。教育分野の技術支援の協力、本当に感謝です。」


「おう。ここにも呼んでるから、しばらくしたら来るだろう。」


今日は、人事局の研修課で話題に上がったポルタブルと魔道具、地方の魔力補助塔について、ジョールさんから回答すると連絡があった。


「まずは、魔道具の件だが、軽量化と簡易化は何とかクリアできそうだ。材料が特殊なのと開発工数がかかかってな。価格面が何ともな。」


「それでも十分です。あとはかけあってみます。」


魔道具を複製するためには、構造の簡略化を行わないと、複製が追い付かない。


核となるものも必要だ。


「魔力補助塔は、地方を中心に首都レベルの塔になるよう、補修工事をしていくことができる。まあそれも、ポルタブルしだいだがな。」


「ありがとうございます!」


ジョールさんは、開発部からのたたき上げで品質管理を担当していたこともあり、知識量に驚かされる。


そんな人のが協力してくれる頼もしさに感動していると、引き戸の音がした。


「いらっしゃいませ~」


「おっ、来た来た。ポルタブルの内部機能開発者の1人だった小野田くんだ。」


白虎族の中でも大柄な青年が、周りをきょろきょろ見ながら、こっちに向かってくる。


確かに彼ら生粋のジャム人からしたら、この店の作りは変わっている。


「はじめまして。小野田といいます。シン王国のポルタブル会社で、7年間勤務してこちらに戻ってきました。今は、営業所で修理の仕事をしています。」


「こら。靴を脱がんかい、小野田。」


挨拶をしながら、座敷に上ってくる彼に、ジョールさんから注意が入る。


「え、すみません!外で靴を脱ぐの不思議な気分ですね。あ、爪削り忘れてた。」


爪のせいで穴が空いた靴下を恥ずかしそうに隠しながら、小野田くんはジョールさんの隣に座る。


一通りの挨拶を済ませると、早速本題へ。


「ジョールさんから聞いてると思いますが、資料を見せながら会議をする機能を作りたいんです。なるべく魔力負荷を減らして。可能でしょうか?」


「可能です。ただ開発にかなりの時間はいただきますが、大丈夫ですか?4人で半年ほど。」


「4人で半年!?この国だとそこまでかかるんか。魔法もあるというのに…」


今回のポルタブルへの追加機能は、「音声通話と同時に、資料を見れること」


この機能自体は、各教員が共通の記録保管庫から追加するだけで、自分のポルタブルに反映される。


ジョールさんの話には驚いた。たしかに日本だともっと短く開発できそうではある。


少しジョールさんの苦労が見えた気がした。


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