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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
義人と美浦のドキドキ職場体験!〜Featuringミッドナイトトレイン・ジャック〜
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EP47 稲毛アウルズの長くて最悪な1日 その4

コンセプトカフェの襲撃で騒然となる現場。

美浦と義人の横線も相まって、事態は収束へと向かっていく。

高谷の手の中で、小さな銀色のカプセルが光った。


「おまえ……! ドラッグなんて、どうして!」


「こうでもしないと――壊れちまうんだよッ!!」

 張り裂けんばかりの叫び。

 積み重なったストレスが、彼の声を震わせていた。


 高谷がカプセルを口に運ぼうとした、その瞬間。


「させるかッ!」

 美浦が鋭い蹴りでカプセルを弾き飛ばす。


「やめろよ!! これがなきゃ……もう、生きていけないんだよッ!!」


 高谷は涙と汗でぐちゃぐちゃな顔で叫び散らした。


「弱さを理由に、未来まで手放すな!!」

 美浦のドスの効いた一喝が、空気を割く。


「そうだ……!」

 義人が一歩、前に出る。

「無様でも、間違っても、立ち直ればいい! “人間”はそこからだろ!」


 その声は優しくて、痛いほど真っ直ぐだった。


「黙れえッ!! お前らに……お前らに、俺の苦しみが分かってたまるかぁぁ!!」


 叫びながら、高谷は左のポケットから一本の注射器を抜き取った。

 刃物のように光る危険ドラッグ。


「これで全部、終わらせてやる!!」


 投与しようとした――その刹那。


「動くなッ! 覚醒剤取締法違反で現行犯逮捕だ!」

 黒い影が飛び込み、注射器をはたき落とした。


 警察だった。


「学歴復興委員会も、威力業務妨害未遂で全員確保!」


 次々とメンバーたちも制圧されていく。


「離せ!! この国は腐ってる! “キラキラ世代”を潰さねぇと、次の被害者が……!」


「初代様の敵討ちだ!!」

「悪党警察め!!」


 委員会の連中は叫び散らして暴れた。


「やれやれ……胃に穴が空きそうだな」

 警官たちはため息をついた。


「君たちも署へ来てもらう。正当防衛でも報告は義務だ」


「「……はい」」



 高松警察署。

 義人と美浦は行政指導を受け、事後報告書に印鑑を押した。


「お勤め、ご苦労さま」

 神谷が迎えてくれた。


「本当に……すまなかった。僕がもっと気を張っていれば、こんな事態には」


「あなたのせいじゃない」

「俺たちはただ、守りたかっただけです」


 その言葉に、神谷の表情がやわらいだ。


「さて。今日は本当にありがとう。職場体験も、これで終了だね」


 だが――まだ“帰り道”が残っている。


「小泉先生、明日までに戻れって言ってたね。……夜行列車で帰る?」

「え、あれって富裕層専用の!? 10万以上するんじゃ……!」


「手配しておいたよ」

 さらりと神谷が渡す特別切符2枚。


「蔵丸の酒蔵投資プログラム、利益が3000万円突破したからね」


「「ありがとうございます!!」」


 こうして二人の贅沢な帰路が決まった。



 高松駅へ向かう途中、義人のタブレットが鳴る。


「小泉先生から?」

 画面には“供花”の名前。


《ふたりともご苦労さま。

今日の宿題は基礎学習プリント。

体育祭の作戦会議もあるから明日は登校するように。

以上!》


「なんか……いつも通りだね」

「でも、これが落ち着くよな」


 二人は列車で広島へ向かった。



 一方その頃。


「……失敗か」

 めぐみの報告に、梅田は奥歯を噛みしめた。


「邪魔が入りました。予想外の……」


「いい。どうせあの店は“閉じる”。社会的に、な」


 梅田が席を立とうとしたとき――


「梅田知事補佐ですね? 警視庁公安部の永瀬です」


 スーツ姿の中年が現れた。


「公、公安だと……!?」


「観念しなさい。あなたも、そこの秘書も」


 永瀬が手を上げた瞬間、公安が雪崩れ込み、二人に手錠をかけた。


「貴様ら……“計画”を知っているのか!」


「全部、ですよ。くだらないテロも、裏の資金も」


 永瀬は淡々とした口調で言い放つ。


「評議連合も、見事に尻尾を出しませんね」


「永瀬さん、あの組織は早めに叩いたほうが……」


「それはケーニッヒ次期大統領候補の役目です」


 淡々と、しかし不気味な政治の影がにじむ。


「ところで永瀬さん、我々の帰りのアインクラッド号まで手配を……?」


「総監の経費でね。キラキラ世代の活躍のおかげで予算が増えたのですよ」


「若手のアイデア、本当にすごいですね……」


「さて。仕事は終わりです。東京で一杯やりましょうか」


 公安チームもアインクラッド号へ向かった。



――そして、広島中央ゲートウェイ駅。


「17時47分発、東京行きアインクラッド120号――スプリームクラスですね。ご乗車まで、お買い物でもどうぞ」


 


 その時――世界はまだ知らなかった。

 この列車で“重大事件”が起こることを。

次回は義人たちは駅で楽しくお買い物へ。

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