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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
義人と美浦のドキドキ職場体験!〜Featuringミッドナイトトレイン・ジャック〜
40/45

EP40 番のふくろう、大海を知る prologue

アリサとの模擬戦で新技を完成させた美浦。

その一方で梅田は8ビットを潰すための計画を企てていて……?

「はい。必要装備はすべて手配済みです」


 めぐみが静かに報告する。

 拳銃、電磁スティック。国家が触れれば即犯罪の兵器。


 学歴復興委員会──その裏に潜む黒い供給源。

 そこに武器を流しているのは、評議連合の密輸網だった。


 表では立憲自由連盟政権への激しい批判。

 裏では、国家転覆を狙う影の軍事組織。


「めぐみくん。今日は高松で花火大会だったな」


「はい。初夏の名物です」


「そうか……ならば、今日はここまでだ。家族とゆっくり過ごし給え」


「ありがとうございます、先生」


 めぐみが去ると、室内に静寂が落ちた。


「家族……か」


 梅田の瞳が、わずかに揺れた。

 かつて妻と娘を奪った交通事故──飲酒運転の、理不尽な死。


 その日から、男の心にはぽっかりと穴が空いた。

 正義は死んだ。希望も死んだ。

 残ったのは、復讐と破壊へ向かう情念だけだった。


「……献杯だ」


 ウィスキーを注ぎ、ひとりグラスを傾ける。


「あの事故さえなければ……」


 梅田はグラスを置き、ふらつく足取りで宿舎へと向かった。

 国家の暗部は、確かに動き始めていた。



---


「うわぁ〜!!」


 浴衣姿の美浦が、浜風の中で満面の笑みを浮かべる。

 赤いリップが、浴衣の白地に鮮やかに映えている。


「そんなに走ると転ぶぞ、美浦」


 義人も浴衣姿で歩く。

 今日は──ふたりにとって初めての“ちゃんとしたデート”。


 場所は高松・大的場海浜公園。

 年に一度のアニソン夏祭りと花火フェスの香川公演だ。


「本当に神谷さんって良い人だよね……! 奥さんがもうすぐ出産だからって、私たちに譲ってくれて!」


「デジタルチケットのID譲渡、最近はほんと便利だよな」


 屋台の香り、波打つ海、溶けていく夕焼け。

 すべてが“夏の初恋”の舞台装置みたいだった。


「よしくん、リンゴ飴買いません?」


「定番のやつだな。行くか」


 甘いリンゴ飴を食べながら散策するふたり。

 美浦がくるりと回って浴衣を見せつける。


「どう? 似合ってる?」


「……似合いすぎてて困る」


「へへ、よくできました」


 彼女の浴衣は白地に金龍と銀龍。

 義人のは黒地に獅子牡丹。一流ホテルのレンタルとは思えない迫力だ。


 その時──


「会場のみなさん、お待たせしましたー!!」


 MCの叫びとともに花火が夜空へ咲き誇る。


「WACA主催! アニソン夏祭り・香川公演、開幕です!」


 大歓声。光と音の嵐。

 高松の夜が最高潮に達したその瞬間──


「君たち、少し良いかな!」


 黒服の男が、義人たちの前に現れた。


「……誰ですか?」


「私は南天堂メテオール統括の伊吹健太。緊急なんだ!」


「南天堂!?」


 日本最大のVRゲーム企業の一角。その名が、ふたりを固まらせた。


「うちのチームが食あたりで倒れた! お願いだ、君たちに出てほしい! 報酬も出す!」


「対戦相手は?」


「端末に転送した!」


 義人が確認すると──

 相手は、世界大会常連のプロチーム・海賊分隊パイレーツスクワッド


「……世界ランカーじゃねえか」


「くぅー! 最高の相手じゃん!!」


 美浦はテンションMAX。

 一方、義人はわずかに緊張の色。


「正直、頼れるのは君たちしかいない!」


 伊吹の必死の声に、義人は深く息を吸った。


「……分かりました。俺たちがやります」


「やったぁぁ!!」



---


 闘技ステージのライトが赤と青に染まる。

 海の男たちが入場し、客席が揺れるほどの歓声が起きた。


「稲毛ァァァアアウルズゥゥゥ!!」


 MCの絶叫。

 高松の夜が震えた。


 義人と美浦がステージへ歩み出た瞬間、

 世界中のゲーマーが震えた2人の名が、高らかに響いた。


「BSOオープンでガードランドと引き分け!

 正式稼働後のトーナメント優勝!

 飛ぶ鳥落とす勢いの──稲毛アウルズ!!」


 観客のテンションは限界突破。

 世界ランカー vs 日本の新星。


 海賊チームのキャプテン・ジェニーが牙のように笑う。


「面白ぇ。世界トップの荒波ってやつ、乗りこなしてみろや!」


「ジェニー、相手が誰であれ──勝つだけよ」


 リーナの冷たい微笑みが、会場全体に電流を走らせた。


 

いま、

ふくろうと海賊の“世界戦”が幕を開ける。


次回は熱いバトル!

海賊とふくろうのガチンコバトルを見逃すな!!

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