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バトルステーツ・オンライン  作者: 騎士誠一郎
アマチュアゲーマーの憂鬱で最高な毎日
4/22

EP3 権力という名の悪意 

第2話、熱かったですね!

ベータテストのロビーにプレイヤーが集まり、仲間との再会でほっこりスタート。

そこからレギュラーマッチに突入、ジャングルフィールドでバトルが火蓋を切りました。

高速戦闘スタイルで双銃と双剣をぶん回し、敵の機関砲を回避しまくり!

動き始めの微妙なラグを見つけて報告するテスト魂も光ります。

別の場所じゃ、仲間が狙撃と爆弾で敵を一掃、残り4人に!

開発チームの仲間との掛け合いも笑えて、戦闘の緊張感と楽しさが絶妙でした。

次回への期待が爆上がりです!



 アナウンスが終了までの時間を知らせる。

 

「まだ時間はあるから、身を隠しつつ逃げ延びるッ!」

 

 フォーミンはインビジブルローブを起動してフィールドを駆け回る。

 

 ゲイボルグを携え、プレイヤーの動向をマップで探る。

 

 自分を含めて、生き残った4人のプレイヤーが点在する。

 

「よしくんが平地で戦っている。 ここは一気に仕留めたいな!」

 

 フォーミンはヨシとを標的(ターゲット)に決めて行動を開始する。

 

 彼女は現在遺跡が立ち並ぶエリアを駆け抜けている。

 

 素早く、静かに隠密行動を行っている。

 

「さて、ここでスタミナ(STM)の回復としますか」

 

 フォーミンはそう言うとアイテムポーチからスタミナブロックを取り出して食べる。

 

 このゲームでは、一定時間おきに減っていくスタミナが存在し、こまめに回復しないとアバターの反応速度や各ステータスに影響を及ぼす。

 

 そのため、スタミナ回復アイテムは必要である。

 

「よし、お腹もいっぱいになったところで!」

 

 フォーミンはローブの迷彩機能を解除する。

 

 意外にも迷彩機能はスタミナを大幅に消費するため、定期的に解除して回復しないといけなかった。

 

 その時、一瞬だけ画面が乱れた。

 

「あれ? 今一瞬だけノイズが走ったような?」

 

 ベータテストだから何かしらの不具合かと思うフォーミン。

 

 そんな事はどうでも良かった。

 

 とりあえず、ゲームを続けることにした。

 

「あ、アイテムボックスみっけ!」

 

 偶然アイテムボックスを発見した。

 

 アイテムボックスはフィールド上にランダムで出現する。

 

 開封すれば、強力なアイテムが手に入る場合がある。

 

 その分、争奪戦が激しくなるのは事実。

 

「箱の中身は何だろな?」

 

 蓋を開けると、

 

「きゃぁーっ!」

 

 爆発した。

 

「と、トラップボックス!?」

 

 トラップボックスは、空のアイテムボックスに「トラップ作成キット」と呼ばれるアイテムを使うことで作成するトラップ。

 

 蓋を開けると爆薬によるダメージや、デバフガスの効果でランダムデバフが発生するので、迂闊に開けると痛い目に遭う。

 

 今回は基本的な爆薬タイプなので、ダメージで済んだ。

 

「もうっ! 誰よ罠を作ったのは!?」

 

 憤るフォーミン。

 

 ゲームはいまだに続いている。

 

 その一方で、男性ヒューマンと交戦中のヨシとは先程のノイズを気にしていた。

 

「やはり、ベータテストだからまだバグが多いのかな?」

 

「たしかに、今回のノイズはそれが原因かもしれないね。でも、今は集中してほしいよ」

 

「ご尤も!」

 

 両者は刃を交え合う。


 レーザー刀の刃がヨシとに迫る。

 

 ヨシとはデュアルシュナイダーでパリィする。

 

「危なかった!」

 

「パリィができるとなれば、最新システムの反応速度が上がった証拠だ!」

 

「そいつはどうも! もう少しネットワーク接続の不具合がなかったら快適だけど!」

 

「それは盲点だったよ。今後の課題として検討するよ」

 

 両者は不敵に笑い合う。

 

 再び銃撃戦となる。

 

 大型機関砲が火を吹く。

 

 フールが魔力弾を吐き出す。

 

 一進一退の攻防が続く。

 

「やはりこの高機動スタイルは、相性が悪い!」

 

 ヨシとの軽量高速戦闘スタイルでは、男性ヒューマンのようなパワーファイトスタイルと相性は最悪だった。

 

「だが、それを乗り越えるのがゲーマーの性だ!」

 

 すぐにデュアルシュナイダーに持ち替える。

 

「少しづつでも、確実にダメージを与え続ければッ!」

 

 確実な手でダメージを与えれば、必ず倒せる。

 

 そうなるはずだった。

 

 突然画面に激しいノイズが走る。

 

「な、何だ!?」

 

『緊急事態が発生しました。外部からの干渉により、本テストを強制終了します。それに基づき、緊急ログアウトを実行します』

 

 外部から何者かのクラッキングを受けたバトステ。

 

 義人は現実へと緊急ログアウトした。

 

「父さん!」

 

「あぁ、モニターしていたよ。こんなひどいことをするのは、この世で一人しかいない」

 

「それって……」

 

「新体制となった国民共産党のメンバーで間違いない」

 

 国民共産党とは、度重なる不祥事で弱体化した旧共産党の維新を立て直す目的で組織された新興勢力。

 

 結成当初は風当たりが強かったが、その逆風を跳ね返す勢いで勢力を拡大している。

 

「国民共産党、いずれ戦う日が来るのか?」

 

「心配するな。父さんたちがなんとかする」

 

 そう、現状は問題ない。

 

 その悪意は、世界を巻き込む大きな波の小さな前触れに過ぎなかった。

 

 翌朝、通勤通学に勤しむ人々の前に1台の政党宣伝車が到着した。

 

 場所は稲毛駅東口ロータリー。

 

 宣伝者の屋根の上に姿を見せたのは小太り体格をした40代女性。


「みなさん、私は対馬未華子(つしまみかこ)でございます」

 

 未華子は国民共産党千葉支部のリーダーを務め、ツイフェミ団体を束ねるカリスマ的存在でもあった。


 過去にVRキャンペーンガールとして活躍していたが、自らの姿と仮想空間での姿に激しい嫌悪感を示して始めた。

 

 そこに追い打ちをかけるかのごとく、仮想空間企業で働いた妹が性的搾取被害にあって自殺した。


 その事件意向、未華子はVR事業を「若者の大量消費と性的搾取の温床」として廃絶運動に従事している。


「此度はこの場をお借りして皆様にご報告をさせていただきます。私達国民共産党は、すべての仮想空間事業を廃止させ、本来の日本を取り戻すために活動をしてまいります!」

 

 未華子の言葉に誰も耳を傾けず、通り過ぎる人々。

 

 少なからず、国民共産党支持者が熱心に耳を傾けている。

 

「なりたい自分になれる仮想空間は、いずれ本来の現実にある自分を失うのではないかと、国民共産党(わたしたち)は危惧しております! 故に、すべての国民は仮想空間から出る必要があるのです! 一人の例外もなく!」

 

 その言葉に、

 

「そのとおりですよ!」

 

「VRゲームの規制を強く求めます!」

 

 支持者たちが現状を(・・・)変えてくれることに強く期待した。

 

「みなさん、温かいお言葉をありがとうございます。まず、最初に私達がやるべきことは、すべての性的コンテンツの排除であると確信しております」

 

 未華子はフェミニストたちのカリスマとして、漫画などを排除することを強く掲げる。

 

「女性向けのコンテンツや青少年に向けた美少女キャラクターはすべて私達の権限で規制、ならびに破棄させます。そうすることでチー牛たちを一掃することができるでしょう!」

 

 女性は特権意識を持っているという強く歪んだ価値観を持っていた未華子。

 

 演説は続く。

 

「皆様、どうか私達国民共産党代表・村澤(むらさわ)かずおをどうか、よろしくお願います! 皆様の温かいご支援が必要なのです! 若者文化をなくし、古き良き日本を取り戻しましょう!」

 

 その発言に、支持者たちは大いに湧いた。

 

 国民共産党代表・村澤かずお、彼は旧共産党時代では前代表の右腕として活動してきた実力者。

 

 そんな彼が仮想空間事業からの脱退を強く訴える活動として、<仮想空間から出よう。ほんとうの自分(あなた)が目を覚ます>と言う啓発ポスターやチラシも作成して配布している。

 

 義人はプロゲーマーとして(・・・・・・・・・)、2年後にかずおと戦うことになる。

クラッキングされて憂鬱な義人たちだったが、美浦の提案でARダンスバトル!

MAVシステムの真価、とくと見よ!!

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― 新着の感想 ―
まさにシャングリラフロンティアを彷彿させる設定ですね! それだけじゃなく 政治的風刺や社会問題がストーリーに組み込まれててじつは深い。面白かったです、続きもたのしみ。
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