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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
義人と美浦のドキドキ職場体験!〜Featuringミッドナイトトレイン・ジャック〜
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EP39 キラキラ世代は有名税の対象項目です

滝坂の逮捕で一件落着し、義人たちは両親の墓参りに。

学校のメタバース空間でテコンドー部の練習を始めると、新入部員・アリサが美浦に強化試合を申し込んできた!

「──始めッ!」


 義人コーチの合図が練習場に響く。

 一瞬の静寂。その中で、アリサが地を蹴った。


「やぁあッ!」


 飛燕のような飛び蹴りが、美浦へ一直線に襲いかかる。


「甘い!」


 美浦は両腕をしならせ、パリィのように弾き返す。

 金属音が鳴ったかと思うほど鋭い防御だった。


「パ、パリィ!? 武器もないのにそんなガードあり!?」


 体勢を崩したアリサのガードが一瞬だけ開く。


「もらった!」


 美浦の上段回し蹴りが、音速の弧を描いてアリサの肩口をとらえた。


 ──3ポイント。

 美浦の蹴りには、それだけの説得力があった。


「さすがキャプテン!」 「伊達にチームの柱やってないからね」


 二人は軽く拳をぶつけ、スポーツマンらしく笑い合う。


 だが──アリサの胸の奥では、別の炎が燃えていた。


(父さん、母さん……あたし、ちゃんとキラキラしてるよ!)



 北海道の小さな田舎町。

 父は地元コミュニティのリーダー、母はロシア料理店のシェフ。

 裕福ではないが、愛のある家庭だった。


 だが、12歳のある日を境にアリサの世界は変わった。


「お前さ、なんでこの街にキラキラネームなんていんの?」


「は? だっせぇんだけど」


 それは、古い価値観を引きずるエリート主義者のはけ口だった。


 相手は17歳の不良グループ。

 社会のひずみを浴びてゆがんだ“エリート崩れ”たち。


「クリエイター? 無理無理。女は大人しく勉強してろよ」


 父は海外出張。母は多忙。

 アリサには逃げ場がなかった。


「さて……このガキ、どう料理して親に返してやろうか?」


「ボコって、親ごと躾け直してやるか! ぎゃはは!」


 その瞬間だった。


「えいっ!」


 乾いた衝撃音。

 リーダー格の背中が吹っ飛んだ。


「な、なんだ!?」


 そこに立っていたのは──美浦だった。

 北海道との強化試合で偶然この街を訪れていたのだ。


「よってたかって女の子をいじめるなんて……恥ずかしくないの?」


 静かな怒りがこもった声。

 少年たちは逆上し、美浦に襲いかかった。


「行けーっ! 逆らったら殺すぞォ!」


「隙あり」


 拳が閃き、義人のストレートがリーダーの顔面を撃ち抜く。


「いだいっ! ママにも殴られたことないのにぃ!!」


「じゃあ……この子が受けたぶん、返してあげよっか?」


 少年たちの顔が蒼ざめた。

 その頃には警察も到着し、全員逮捕。


「君たちの親御さんには、厳正な教育指導が入る。覚悟しなさい」


 警官の言葉に、少年たちは絶叫した。


 ──そして静寂。


「大丈夫?」


 美浦がアリサに手を差し伸べる。


「お姉ちゃん……あなたは?」


「ふふっ、今はまだ秘密。でもいつか“ふくろうスクール”においで」


 その一言が、アリサの運命を変えた。



 そして現在。

 アジアカップで美浦が大活躍したのを見て、アリサは家を出てふくろう山小屋へ。


「あの時キャプテンが助けてくれなかったら……あたし、ここにいない!」


 アリサが再び突っ込む。

 連続の蹴りが美浦の胴へ次々と突き刺さる。


「アリサは俊敏性と体幹のコンボ型……バランサータイプか」


 義人が冷静に分析する。


「コーチ、そんなの見ただけで?」 「着地の安定。蹴りの初速、体の軸。どれか欠けても成立しない戦い方だ」


 アリサが踏み込んだ。


「決めるッ!」


 右足が閃光のように奔り──と、


 “単発”だと思った美浦の読みを裏切り、

 アリサの蹴りは次の瞬間、滝のように連鎖し始めた。


 ドドドドドドドッ!!


「これが……あたしの初めての必殺奥義!」


 アリサが叫ぶ。


「──チェインガン・ラッシュ!!」


 怒涛の連撃に美浦はガードしきれず、一気に10ポイントが入る。


「やるじゃない!」


「まだまだ強くなりますから!」


「じゃあ……私も行く!」


 美浦の瞳が鋭く光る。


 同時にアリサが身構えた。


「後ろ上段……!」


 美浦の得意技──だが不安定が課題だった技。

 義人が“ガンカタ式フットワーク”と組み合わせて改良させた“もう一つの奥義”。


「奥義──サイクロン・ノヴァ!!」


 爆風のような回転蹴りがアリサのガードを貫き、決着した。


「そこまで! 勝者、美浦明石!」


 義人の声が響く。


 アリサと美浦は、互いに満面の笑みで拳を合わせた。


「みんな、今日の練習はここまで! 俺と美浦はログアウトする!」



 一方その頃。

 香川県庁・梅田の事務室。


「……計画の進捗は?」


「順調です。例の男と母親──処理完了しました」


 めぐみが淡々と報告書を置く。


「滝坂は“アレ”の中毒死、ということで?」


「はい。禁止薬物フレグランスの過剰摂取として処理済みです」


「母親は?」


「同僚の党員が釈放後、人のいない場所で……片付けました」


 梅田は満足げに頷く。


「ふふ……これがシン・評議連合だ。用途が尽きた駒は消す。それだけだ」


「はい」


「では、高松のコンセプトカフェは閉鎖だ。

 学歴復興委員会には──例の“あれ”を渡したんだろう?」


 めぐみは無言でうなずいた。


 新たな闇が動き始めていた──。


次回はお祭りデート!

何やら熱いバトルの予感が……!

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