EP31 なにわ人情ふくろう時雨 最終楽章
決勝戦の激闘が続く中、フォーミンときりかの東西文化トークに思わず会場が大爆笑!?
迫る試合終了のカウントダウン、果たして栄光のランウェイは誰が歩くのか!?
「どうやら、もう時間がないみたいだな」
ヨシとがニヤリと笑う。
「ほなら、次の一撃で決着つけるで!」
両チームはMAVアタックの準備を始める。
「これは! 両者一致のMAVアタック!」
「これで決着を着けるつもりですね」
ジョージとレイナ、そしてななかも固唾をのんで見守る。
「疾風迅雷天下御免!」
「天に輝く稲光!」
稲毛アウルズが口上を詠み上げる。
「ガシャの中身はなんやろな?」
「はずれば地獄、当たれば天国!」
キタのおかんも負けじと口上を詠む。
稲毛アウルズは巨大な雷の弓を、キタのおかんは特大のガシャボックスを召喚する。
「「その名も、雷霆弩弓・ケラヴノス!!」」
「「ガシャボックスガトリング・五月雨撃ち!」」
稲毛アウルズがケラヴノスから稲妻の矢を、キタのおかんはガシャボックスから変形したガトリング砲台を撃つ。
一発必中の弓矢と超連射のガトリング。
両チームの意地とプライドがぶつかり合う。
「フォーミン!」
「わかってる!」
ヨシととフォーミンは、SPが尽きるまで出力を高める。
「枯れるまで撃ちまくれ!」
「出し惜しみなしや!」
たまもときりかも負けじと押し返す。
まさにお互いの意地とプライドがぶつかり合うまさに天下分け目の天王山。
後は、お互いどちらかのSPが先に尽きたら負けという厳しい状況。
互いの気迫が拮抗し、それが爆発的エネルギーの奔流になって会場を包みこんだ。
「またしても激しいぶつかり合い! 果たして勝者は!?」
「これは……! 両チーム引き分けです!」
ジョージの視線の先には、お互いのHPもSPも0の稲毛アウルズとキタのおかんが立ちすくんでいた。
「これは引き分けです! この場合はターゲットマーク1ブレイクのサドンデスマッチとなります!」
レイナは慌ててサドンデスマッチの準備を始める。
BSOのサドンデスマッチは最初から両チームのメインプレイヤーにターゲットマークが出現、それを1回でもダメージを与えれば勝利というルール。
「両チーム、準備ができました!」
再び、稲毛アウルズとキタのおかんが相対する。
これが本当のラストバトル。
21世紀の関ヶ原とも言える東西決戦。
その最終決戦が、
「スタート!」
幕を開けた!
「フォーミン!」
「おそらく向こうも同じ!」
稲毛アウルズとキタのおかんは知っていた。
先にターゲットマークを撃てば勝てると!
「スキル、ガイアウォール!」
フォーミンが防御系スキルを発動させて、ヨシとを強化する。
「させへんで! ディスオーダー!」
きりかがバフ解除スキルでそれを無効化する。
「バフ対策!?」
フォーミンは驚きつつも、
「ヨシとくん!」
フォーミンは唇の動きだけでヨシとにあるサインを出した。
ヨシとは読唇術でそれを理解した。
フォーミンはその場で動かなくなった。
「何や? 相方が試合放棄?」
「これはチャンスや!」
たまもときりかがフォーミンを潰しにかかる。
しかし、
「かかったわね」
フォーミンがニヤリと不敵に笑う。
「へ!?」
キタのおかんは違和感に気づいたが、既に遅かった。
たまものターゲットマークが撃ち抜かれた。
「試合終了! 稲毛アウルズ、見事な戦略でキタのおかんを下し、栄光のランウェイへの切符を手にしました!」
そう、兵法の一つに敵を騙すにはまずは味方からする必要があった。
フォーミンが立てた作戦が見事に決まった、まさに戦略的勝利といったところだ。
「さーて、見事優勝した稲毛アウルズには優勝の特典として、ハワイの贅沢を凝縮した世界最高峰のリゾートホテル、オハナ・リゾートアライアンスの往復航空券付きスウィートルーム宿泊券をプレゼントしまーす!!」
なんと、優勝賞品が以外にも豪華なため、
「美浦!」
「世界最高峰のホテルなんて、夢みたい!」
大興奮した。
「あのなぁ、お二人さん」
たまもが美浦と義人を落ち着かせた。
「試合に勝ったからって浮かれすぎると、思わぬ痛い目に遭うで!」
「ハイスペ男子なんかと結婚してみぃ? 所詮、能書きと肩書だけの薄っぺらい存在よ」
たまもときりかが稲毛アウルズに忠告を出す。
「そうなんですか?」
「金持ちもだめってことか?」
義人と美浦が首を傾げる。
「ええか? 人ッちゅうのは能書きでも肩書きでも、ましてや金なんかやない。大事なのは、楽しませる心や!」
「顔がブサイクでも、金がなくても、仕事がそこそこできて人生を楽しむくらいがちょうどええんよ。良い企業に入ったからといって得られるのは肩書きと能書きしか無いんよ」
そう、大阪府は現在「個性こそがすべて」と言う大阪ファーストのまちづくりを展開している。
一流でなくても幸せな暮らしができるというコンセプトに、関西圏からの移住者が多いという。
「大手企業に入っても何も得られへん。エリートなんてクソ喰らえや」
「それって、」
「教育の多様性は大阪がナンバーワンや!」
美浦の質問にたまもがえへんと大きな乳房を揺らした。
美浦からすればおそらくEカップはある。
きりかはCカップと美浦より小さい。
「なんか試合で優勝したけど、」
「なにわ娘の人情パワーに完敗した気分だぜ」
美浦と義人は何故か複雑な気分だった。
こうして、バトルトーナメントは稲毛アウルズの優勝で幕を閉じた。
2日後、義人は美浦と東京でデートしていた。
「えへへ、今日は優勝賞金3万円で池袋の高級レストランでランチだね!」
「まさか、父さんがいい店を紹介してくれるなんてね」
そう、幸太郎が優勝祝のレストランを紹介してくれた。
サンライトタウンビル40階にある高級焼肉店「火鍋屋」。
デリシャスログで贅沢な焼肉と火鍋を楽しむならここと言うほどのガチ中華と、黒毛和牛の焼肉が楽しめる。
「ご予約で間違いありませんか?」
「はい」
ギャルソンに案内され、義人と美浦はテーブルに案内される。
しかし、その店には人知れず先客がいた。
かずおと国民共産党3幹部だ。
「それで、例の計画は順調かね?」
「もちろんです。TGBMGC解体計画は最終準備段階へと入りました」
対馬はそう言うと、センマイを鍋の中央に入れて煮立たせる。
「しかし、対馬さんのやり方はいつも派手過ぎませんか? 結婚式の件で警戒網が厳しくなりつつあると聞きます」
倉田はそう言うと、わかめスープをタブレットで注文する。
「でも、若い子たちに教えてあげないとね! 同調こそが正しいって!」
俊永がそう言いながら紹興酒を飲み干す。
「倉田さん、そういう時こそあなたの人脈を使うときでして?」
次回は、次の物語へ向けて大きく動きます!
学校ものと言ったら、社会人になるための「あれ」ですよね?




