EP2 ベータテスト開始!
こんにちは、南天堂開発チームです!
『バトルステーツ・オンライン』の物語がスタートしました。
第1話では、フルダイブVRが日常となった2055年の世界をご紹介。
とあるプレイヤーが、仲間と愛され続けたMMORPGの最終日を楽しんだ後、現実へログアウト。
千葉のマンションで家族と過ごしつつ、開発チーフの父から新作ベータテストの話を聞きます。
幼馴染との再会やバイト先での会話もほっこりポイント!
そして、いよいよ新作にダイブし、エルフで高機動スタイルをチョイス。
双銃と双剣を手に、テストプレイヤーとして戦場へ飛び込みました。
一方、現実では怪しげな勢力が動き始め…?
次なる展開にご期待ください!
所変わってBSOロビー。
「みんな集まってるなぁ」
ベータテストを心待ちにしていたプレイヤーたちが集まっていた。
「ヨシとくん!」
と、不意に女性の声がした。
種族はヒューマンで程よいスタイルが印象的。
赤い唇がとても妖艶だ。
「あ、美浦もログインできたんだ」
「ここでは、フォーミンって呼んで欲しいな」
そう言いながら、フォーミンはくるりと回転する・
「そうだった。俺もここではヨシとと呼んでくれ」
「本名をもじっただけじゃない」
「悪かったな」
そんな二人の会話を見ている他のプレイヤーたちは、
「青春だねぇ」
「おばさん羨ましいなぁ」
といった揶揄的な言葉が飛んでくる。
そんな揶揄をよそにして、二人は受付ロビーへ向かう。
「いらっしゃいませ! 本バージョンはただ今テスト版ですので、MAVデュエルとレギュラーマッチしか選べませんので」
受付NPCが、現バージョンでは2つのゲームモードしか選択できないと告げる。
2対2のチームで戦うMAVデュエル、最大8人で戦うレギュラーマッチ。
「じゃぁ、とりあえずレギュラーマッチで感覚を掴もう。 フォーミン、負けないぞ!」
「お、お手柔らかに……」
受付NPCにレギュラーマッチを申請したヨシととフォーミンは待機ロビーへ転送された。
「ここが待機ロビー」
「緊張するなぁ」
待機ロビーには、中齢の女性ロボットやエネルギッシュなドワーフを選んだ若手プロゲーマーもいた。
「よう、あんたが藤宮チーフの息子さん?」
不意に声がかかり、振り返るとそこには無骨な体型をしたロボットのアバターがいた。
「あんたは?」
「刈ろっず、本名は刈谷武道。ここじゃご法度なんだが、藤宮チーフがどうしてもって言うからな……」
「ははは、父がお世話になってます」
ヨシとは刈ろっずに頭を下げた。
『全員が揃ったところでバトルを開始します。各自出撃ポイントを選択してください』
アナウンスが流れ、フィールドマップが出現する。
「時間内に出撃ポイントを設定しろよ! すでに戦いは始まっているんだ!」
ベテランゲーマーに言われ、ヨシとはフィールドマップを操作する。
バトルステーツ・オンラインは出撃ポイントを時間内に設定しないとランダムで強制転送されてしまう。
そのため、敵が多くいないポイントを選ぶのが勝敗の鍵となっている。
「ここにするか!」
ヨシとは転送座標を設定した。
『転送ポイントの設定を確認。バトルを開始します!』
アナウンスが流れ、プレイヤーたちはバトルフィールドへと転送された。
フィールドは木々が生い茂るジャングル。
視界が悪く狭いため、立ち回りが重要になってくる。
「さて、どう動きますか」
ヨシとは周りを見回す。
マップ画面を開くと、周辺に敵はいないことがわかる。
『バトル開始です。ご武運を!』
アナウンスが流れる。
ヨシとはすぐさま行動する。
近くに敵がいるかも知れない。
駆け足でその場を離れる。
「さて、どうしたものか!」
ヨシとはすぐさまある違和感に気づく。
一瞬だが動きにラグを感じた。
「今のはラグ? 後で父さんに報告しよう」
まだテスト段階のため、ラグの発生率を検証することにした。
「とりあえず、一通りのアクションをしながらだ!」
ヨシとはまず、基本アクションで検証した。
フィールドを駆け回り、ジャンプで木々に飛び移ったりで検証した結果、
「やはり動き始めにコンマ0.003秒のラグがあるな。これは軽めだが、正式バージョンに向けて修正の余地あり……、っと」
テストプレイヤーの特権であるレスポンシングアンケート画面を開いて、修正箇所を報告する。
その時、
「獲物みっけ!」
強面の男性ヒューマンが出現した。
体格はたくましく、手には大型機関砲を装備している。
ヨシとは気付いた。
いつの間にか拓けた平原に出てしまったことに。
「くらえ!」
大型機関砲が火を吹く。
弾丸の嵐がヨシとに襲いかかる。
「なんの!」
右ステップで回避する。
俊敏性に特化したステ振りのため、難なく行う。
「お返しだ!」
反撃にヨシとは、フールを撃つ。
放たれた魔力の弾丸が、男性ヒューマンに直撃する。
「いって! だが、耐久値を中心とした重戦士カスタム! なんのこれしき!」
男性ヒューマンは、ダメージをものともしなかった。
「そうなら!」
ヨシとは武器を持ち替える。
デュアルシュナイダーは、高周波振動によって高い切れ味を誇る。
「AGI特化型の力、見せてやる!」
ヨシとは素早く動き回り、時折男性ヒューマンに一撃を加える。
「テメェ! さすがはうちのチーフの息子だ!」
「あんたも父さんのチームの?」
「あぁ、南天堂のSEをやっていてね。このゲームの不具合を見ているのさ」
「でも、手加減はしませんよ!」
「もちろんだ!」
両者は駆け出す。
男性ヒューマンは、武器をレーザー刀に持ち替えて切り結ぶ。
ヨシとがすぐに弾き返す。
「ここでは、スキルは存在しない分、己の身体能力が試される!」
「つまりは、FPSゲーマーのゲームスキルが試されるってことですか」
「そのとおりだ!」
両者は笑い合う。
その一方、
「狙い撃つ!」
フォーミンが狙撃銃で茂みから他のプレイヤーを狙い撃つ。
「残り人数は?」
状況を確認する。
残りは6人。
「まだまだってところですか」
すぐに別のポイントへと移動する。
彼女のアバターが装備している狙撃銃「ゲイボルグ」は高性能なスナイパーライフル。
右腕と生体融合している形で装備し、レスポンスや威力が非常に高い。
彼女のバトルスタイルは、隠密狙撃を中心としたスタイル。
アバターの装備にステルスローブという防具を装備して姿を消している。
攻撃の際に見えてしまうのが弱点だが、移動時の手段としては申し分ない。
フォーミンはすぐさま物陰に隠れる。
彼女の目線には、すでに交戦中の女性エルフと男性アンドロイドがいた。
「ちょうどいいや、漁夫の利を狙っちゃおう」
そう言ってフォーミンが取り出したのは、手投げ式高性能炸裂弾。
武器を単発あ式ハンドグレネードランチャー「ボロロッカ」に変更する。
ボロロッカに炸裂弾を装填して狙いを定める。
「当たって!」
フォーミンが炸裂弾を撃つ。
放物線を描いて飛んでいき、交戦中の二人の間に着弾する。
範囲型爆発エフェクトが発生し、二人は巻き添えになった。
「これで一気に残り半分!」
フォーミンがガッツポーズを取る。
その時、
『ベータテスト終了まで残り30分となりました』
ということで、次回はベータテスト中に思わぬ不正アクセス!?
更に現実では何やら怪しげな政党が?
次回もお楽しみに!!