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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
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EP28 なにわ人情ふくろう時雨 第1楽章

準決勝を見事に勝ち抜いた稲毛アウルズは有名人の結婚式の余興に招待されたが、思わぬテロに巻き込まれ、騒然とした。

それでも気を取り直して、決勝戦へ望む!

 朝日が登る。

 

「おはよう、よしくん」

 

 美浦が胸元の谷間を見せながら義人を起こす。

 

「おはよう美浦。 今日はホテルバイキングで朝飯だっけ?」

 

「うん! 眼の前でシェフがベーコンエッグや目玉焼きを作ってくれるって!」

 

 ホテルバイキングの朝食を済ませ、義人たちはホテルをチェックアウトした。

 

 会場の幕張スタジアムへ歩く。

 

「そう言えば、転売ヤーが法律の目を掻い潜って違法オークションを開いているみたい」

 

 美浦が携帯のニュースアプリで気になる記事をよむ。

 

 現在、不当な高額転売は消費者法に違反するとして、フリマアプリなどに法的措置式を敷く義務を政府から出している。

 

 それに反発する転売ヤーたちは、「法的措置は憲法違反」と告訴し、現在でもその活動は続く。

 

「でも、あいつらの自業自得だ。滅びればいいのに」

 

 義人はそんな事を語ると、

 

「おい、そこのカップル」

 

 ガラの悪い男たち4人に囲まれていた。

 

「俺達転売ヤーは、政府のせいで商売上がったりなんだ」

 

「だから、悪口言うと、殺しちゃうよ?」

 

 転売ヤーたちは徐ろにナイフやスティンガーを取り出す。

 

「コイツら……ッ!」

 

「あの、俺達は急いでいるので、この辺で……」

 

 義人たちはそそくさとその場を離れようとするが、

 

「まてよ。お前らには俺達の仕事を手伝ってほしいんだよ」

 

「お前らが参加するイベントをぶっ壊して、積年の恨みを晴らしたいんだ。お前らには死んでその死体を幕張スタジアムに晒すんだ……!」

 

 どうやら転売ヤーたちは、義人たちを殺害してバトルトーナメントを中止させようと目論んでいた。

 

 しかし、

 

「刑法に基づき、殺人未遂の現行犯で逮捕します」

 

 警官たちが駆けつけ、全員をテーザー銃で痺れさせた。

 

 そのまま手錠をかけて連行する。

 

「クソッタレ! なんで俺達のビジネスは世間から認められないんだ……?」

 

 転売ヤー達が大声で喚く中、

 

「さっさと行こう」

 

「そうだね」

 

 稲毛アウルズは会場となる幕張スタジアムへと急ぐ。

 

 幕張スタジアムはゲームの決勝戦が行われるだけあって、いつにもない観客で賑わった。

 

「さぁ! この日がやってまいりました、バトルトーナメント決勝戦!」

 

「この幕張スタジアムから、世界に向けて配信されるのは初めてです」

 

 ARで表示されたレイナとリアルの私服を身に付けたジョージが元気に解説する。

 

「それでは、決勝戦へ駒を進めたチームをご紹介しましょう!」

 

 レイナが高らかに叫ぶ。

 

 観客は一層の大声を上げる。

 

「まずは、大阪のハイティーンだけど心はおかん! 人情パワーで勝ち進んだ、なにわ人情スーパーガールズ・キタのおかん!!」

 

 会場に入るは、若者向けの豹柄ジャケットに身を包んだなにわ娘二人。

 

 彼女たちキタのおかんは予選で敗退したものの、後日行われたリザーブの抽選で当選。

 

 ノーブレス・アンノウンの失格の穴埋めとして参加できた、ある意味すごい幸運を持っていた。

 

「続きましては、言わずとしれた世界が大注目する学生チーム! その破竹さはどこまで続くのか! 千葉市立ふくろうスクール所属、稲毛アウルズ!!」

 

 稲毛アウルズが入場する。

 

 ラブ&ブレイクのメインキャラクターのコスプレをして参戦した。

 

「おーっと! これは以外! 稲毛アウルズ、ミラクルビーツ・ラブ&ブレイクのコスプレで参戦とは、これは驚きだ!」

 

「ラブ&ブレイクは根強い人気がありますからね。 コスプレイヤーの人数も桁が違います」

 

 ジョージの冷静な解説に、

 

「私もコラボ参戦したーい!!」

 

 レイナは悔しがる。

 

 ステージに上る両チーム。

 

 その上には、創英テクノロジーズが開発したプロゲーマー向けのVRシステムチェア「ネオスフィア」が鎮座していた。

 

「なぁ、あんさんら」

 

 キタのおかんのメインプレイヤー、たまもが稲毛アウルズに声をかけた。

 

「何でしょうか?」

 

「その衣装、なんぼしたん?」

 

 商いの街大阪出身者らしい質問に、

 

「私たちの担任が見繕っていただいたんです! あ、このリップは韓国で人気のブランド物を」

 

 美浦がコスプレメイクで使うコスメを自慢しようとしたら、

 

「あかんで。化粧に金をかけたらおばちゃんになって貧乏になるだけや」

 

 相方のきりかに鋭く突っ込まれた。

 

「そうなんですか?」

 

「ええか? 化粧に金をかけるくらいなら、安くてええもんを探すのが一番やで。海外のわけわからん高いものに手ぇ出したら、後悔するのが目に見えとる」

 

「流行りものはいずれ廃れる。大事なのは流行りやなくて、ずっと使えるものを見つけられるかや」

 

 キタのおかんに説得され、

 

「参考にします。あ、そう言えばあなた達は<青春のシンフォニー>と言う韓流ドラマ好きですか?」

 

 話題を現在放送中の韓流ドラマに切り替えた。

 

「あのなぁ、うちらそういうイケメンだらけのドラマは見んのよ。顔だけで選ぶ女は後で地獄を見るのがオチや」

 

 いかにもなにわ娘らしいキレのある切り返しに、美浦はタジタジになった。

 

「あはは。さすが大阪、話術でも揺るがないとは」

 

「それはそうと、バトルの時間が迫ってる。美浦、そろそろ行くか!」

 

 稲毛アウルズとキタのおかんがそれぞれシステムに座る。

 

 観客たちは固唾をのんで見守る。

 

 そして、中央のスクリーンには天空コロシアムが映し出され、ダイブした両チームが揃っている。

 

 それを見た観客たちは、

 

「アウルズ、世界の誇りを見せてやれ!」

 

「たまも、きりか! 大阪のプライドをぶつけたれ!」

 

「両チーム頑張れ!」

 

「今日はビールと65チキンがうまいぜ!」

 

 観客たちは大いに盛り上がる。

 

「さぁ! 決勝戦は先日話した通り、オフィシャルロワイヤルのルールで行われます!」

 

「アイテムや回復の禁止で、より緊張感のある試合展開が見どころと言えますね」

 

 レイナとジョージが興奮気味に解説する。

 

 たまものアバターは機動性重視のエルフ、きりかは重量級のロボット。

 

 それぞれの手にはツインブレード「逆鱗丸」とレーザーミニガン「300サイクロン」が握られていた。

 

「エルフは高機動白兵戦型でロボはそれを火力で援護する」

 

「相当無課金を極めて、決勝まで進めてきたのか」

 

 稲毛アウルズも警戒をする。

 

 キタのおかんの装備は以前にも言ったが初期装備である。

 

 それを極めると、性能進化(アップグレード)して全くの別物になる。

 

 キタのおかんはそれぞれの初期装備を極めてここまで来たことがうかがえる。

 

「教えたるで! 金を使わんでもアバターのおしゃれも武器も極められるっちゅうことを!」

 

 両者が睨む。

 

「さぁ、お待たせいたしました! プレトークも最高に盛り上がって私もヒョウ柄のコスチュームが着てみたくなりました!」

 

「これは、どちらが勝ってもこれが最後になりそうですね」

次回からいよいよバトル開始!

キタのおかんのなにわ人情パワーが稲毛アウルズに襲いかかる!

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