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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
26/29

EP26 誇りを胸にデートする

ワルキューレツインズと戦うことになった稲毛アウルズ。

バウンドフィッシャーズの敗退に衝撃を受けながらも、今の試合に集中することにするが……?

 激闘が続く。

 

 観客たちは喝采と熱狂に身を委ねる。

 

「こちらから行くわよ!」

 

 アンネがラグナレクを構える。

 

「スキル、ストームブレイド!!」

 

 重量と質量に任せた回転斬りが竜巻を巻き起こす。

 

 ヨシとは冷静に武器を突撃銃「百雷」に持ち替える。

 

 そして、発砲する。

 

 狙いは、アンネの足元。

 

 足元の地面に命中し、アンネはバランスを崩した。

 

「さすがだわ。足元を撃つことでバランスを崩すなんて」

 

「それは、長年のプレイスキルですから!」

 

 アンネに目掛けて、ヨシとはウィンドブレード改に持ち替えて切り結ぶ。

 

 一方で、フォーミンも負けていなかった。

 

 手にはショットガン「コメットカノン」を装備している。

 

 拡散レーザーが放たれ、アイネはバリア系スキルで凌ぐ。

 

 リィンはお返しにと、

 

「スキルカード、アイシクルバインド!」

 

 スキルカードを使い、フォーミンの右足を凍らせた。

 

「これは、SR(スーパーレア)のスキルカード!」

 

 フォーミンが言うように、スキルカードにはC(コモン)から最高ランクのGR(ゴッドレア)の8段階ある。

 

 レアリティが高いほど強力で使用制限がかかっている。

 

 故にあまりに強力なため、公式大会では使用が禁止されているカードも少なからず存在する。

 

 右足を凍らされて、身動きができない。

 

「もらった!」

 

「甘いわ! レーザードローン、展開!!」

 

 アイネに対し、フォーミンは砲台型のドローンをアイテムストレージから召喚する。

 

 レーザードローンが地面に着地すると同時に、速射型パルスレーザーでリィンを迎撃する。

 

「やっぱり、ドローンは厄介よ!」

 

 リィンが舌打ちする。

 

「さぁ、残り時間は4分! まだまだ熱いバトルが続きますよ!」

 

「残り4分の間に決着をつけないと判定になりますからね」

 

 レイナとジョージが言うように、1試合に付き5分の制限時間がある。

 

 その時間を計算しないと、思わぬ逆転もありえる。

 

「フォーミン! このままだと時間がなくなってしまう!」

 

「わかってる! でも、さすが北欧の強豪チーム。一筋縄じゃいかないわね」

 

 ヨシととフォーミンはワルキューレツインズを睨む。

 

「そうよ、私たちはワルキューレツインズ!」

 

「スウェーデンの誇りにかけて、あなた達を倒す! そして、あのランウェイで私たちを馬鹿にしたアフリカの代表を見返してやるの!」

 

 アンネとリィンが自分たちを馬鹿にしたチームを見返すためにバトルトーナメントに参加していた。

 

「聞かせてくれないか?」

 

 ヨシとは尋ねる。

 

「聞きたかったら!」

 

 ワルキューレツインズが近接武器を構える。

 

「私たちを倒してからにしなさい!」

 

 アンネとリィンがMAVアタックの準備を始める。

 

「フォーミン!」

 

「こっちもMAVアタックで迎え撃とう!」

 

 稲毛アウルズもMAVアタックの準備を始める。

 

「おーっと! ここで両チームMAVアタックの準備を始めた! これはまさか!?」

 

「そのまさかです。次の一撃で決着が着きます」

 

 レイナとジョージがMAVアタックで決着が着くことを予想した。

 

「森羅万象に身を委ね、」

 

「奈落のそこへとその身を沈め」

 

 ワルキューレツインズが詠唱する。

 

「疾風迅雷天下御免!」

 

「天に輝く稲光!」

 

 稲毛アウルズはカラドボルグの口上を口にする。

 

 ワルキューレツインズはレイピアと大剣を交わす。

 

 すると、闇の魔力が集約され始める。

 

 稲毛アウルズも、巨大な雷の剣を形成する。

 

「「闇に呑まれよ、冥刻の断頭台(ゲヘナギロチン)!」」

 

「「その名も、雷電将軍剣・カラドボルグ!」」

 

 闇の魔力剣と雷の剣がぶつかり合う。

 

 激しいエネルギーの奔流が会場を包み込む。

 

「ひゃあぁぁぁっ! MAVアタック同士のぶつかり合いなんて、正式リリース後初ですよ!! ジョージさん、これは!?」

 

「どっちが勝ってもおかしくありませんからね!!」

 

 あまりの凄まじさに、レイナとジョージは思わず興奮する。

 

 無理もない。

 

 MAVアタック同士のぶつかり合いを生で見れるということは、ゲームの歴史上大きな1ページとなる。

 

 観客たちは、この試合を一生忘れることはできなかった。

 

 そして、エネルギーの奔流は、爆発エネルギーの解放となって会場を揺るがしながら包み込む。

 

「こ、これは! どっちが勝ったのだーっ!?」

 

 レイナは興奮しながら決着の時を待つ。

 

 そして、爆煙から姿を見せたのは、

 

「俺達の、」

 

「大勝利!!」

 

 稲毛アウルズ。

 

 その勝利に、誰もが興奮し、熱狂した。

 

「負けたけど、悔いは残ってないわ」

 

 ワルキューレツインズは潔く敗北を認めた。

 

「ヨシと!」

 

 アンネが叫ぶ。

 

 ヨシとは振り返る。

 

「あなた達は私たちに勝った! その勝利を胸に、私たちの分まで勝ち上がりなさい!」

 

「つぎのクリスマスでは、絶対にリベンジするから!」

 

 アンネとリィンが稲毛アウルズをたたえ、再戦を誓った。

 

 ワルキューレツインズもクリスマスの切符を既に手にしていた。

 

 それが意味するのは、また戦えるということ。

 

 クリスマスの大舞台で。

 

「わかった!」

 

「次も勝つからね!」

 

 ヨシととフォーミンがサムズアップした。

 

「負けないわよ!」

 

「次は絶対に勝つ!」

 

 アンネとリィンも笑顔を見せる。

 

 会場を後にした両チームは、コロシアム内のロビーで話し合う。

 

「アフリカのチームに体格のことを馬鹿にされた?」

 

「そうなのよ! 現実(リアル)でも私たちのスタイルの良さにケチをつけてきたのよ!」

 

 アンネがそう言いながらネット動画を見る。

 

 それによると、昨年の欧州アフリカ合同大会でワルキューレツインズは見事に優勝したが、対戦したチームから「みだらな魔女」と馬鹿にされた。

 

 それが悔しかったのか、今年のTGBMGCのランウェイで見返してやろうとスタイルアップとゲームスキルを磨き上げた。

 

「でも、あなた達なら、私たち以上のパフォーマンスが出来るわ」

 

「自信を持ってね」

 

 アンネたちに言われて、ヨシととフォーミンは一旦ログアウトした。

 

 時間は昼過ぎを迎えていた。

 

 遅めの昼食を済ませて、義人は美浦とデートの約束をしているためか、待ち合わせ場所の稲毛駅へ向かった。

 

「ごめん、よしくん待ってた?」

 

「いま来たばっかりだ」

 

 二人は海浜幕張駅へと向かう。

 

「今日はどんなご飯が食べれるのかな?」

 

「お前色気より食い気だな」

 

 他愛のない会話をする。

 

「だって、幕張豊砂駅前広場でラブ&ブレイクの特別エキシビションに招待されたからね!」

 

「そうだな」

 

 そのエキシビションに向かう途中、二人はまだ知らない。

 

 思わぬ悪意が潜んでいることに。

次回は幕間!

稲毛アウルズの華麗なダンスに思わぬ悪意が……?

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― 新着の感想 ―
ゲームと青春が詰まってる感じで面白かったです。トーナメントバトルは熱いですね。ワルキューレツインズは強かったけど仕方ない!
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