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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
19/29

EP19 青空と地獄のブートキャンプ After

カレーコンテストに向けて、稲毛アウルズはバウンドフィッシャーズから廃棄予定の食材を使ってシーフードカレーを作ったら、思いの外大バズリ!

そして迎えたキャンプファイヤーの夜、熱いダンスバトルが始まる!?

 そう言いながら、供花はラブ&ブレイクの家庭用ダンスバトルシステムを持ってきた。

 

 ラブ&ブレイクは家庭向けの簡易システムが発売されており、モニタ・ディスプレイに接続すれば、ダンスバトルが家庭でもできる。

 

「ルールは簡単、私達プロ選抜との勝ち抜きバトル! 負けたら罰ゲームとして……」

 

 供花はあるアナログゲームを取り出す。

 

「この電撃危機連発をやらせてもらいます!」

 

 それは、互いに棒を端に触れさせずに早く人形を落とせるかを競う、30年間愛される人気おもちゃ。

 

 端に触れると電撃が走り、失格となる。

 

 花田ジョニーが開発した最新作は、人形が乗っている台が回転するシリーズ史上最高難易度の傑作。

 

 絶対の負けられない戦いが始まった。

 

「まずは! 私と亮介さんのMAV・横浜トランジVS検見川セグレ!」

 

 まずは供花と何故か駆けつけた亮介と息子の裕太がシステムの前に現れた。

 

「裕太、ママとパパはこれからゲームするから、お兄ちゃんたちといい子にしててね」

 

「うん!」

 

 裕太は南天堂メテオールメンバーのそばで見学する。

 

 始まった対戦の最中、

 

「ねぇ、惑星タクティクス城、覚えてる?」

 

 美浦が義人に昔プレイしたゲームの話をした。

 

 惑星タクティクス城は、マジカルクリスタルゲームスが開発したレトロゲームで、操作が独特な反面クリアしたときの達成感が半端ないと未だに根強いファンが多くいる。

 

「あのメーカー、未だにモバイルディスプレイゲームに情熱を注いでいるみたいだからね」

 

 マジカルクリスタルゲームスは、モバイルディスプレイゲーム開発では右に出るものはなく、かつては家庭用ディスプレイゲームを開発した経歴を持っている。

 

 そのノウハウを生かしたモバイルオフラインゲーム製作には定評がある。

 

 中には、あまりに操作が難しくクリアできるのが困難だが癖になってしまう、いわゆる「クセゲー」を生み出すこともある。

 

「で、最新作がとんでもないクセゲーなの! 敵をタップして攻撃したり、自機をスライドさせたりでクリアするのが難しくって」

 

 何を隠そう、明石美浦はクセゲーをこよなく愛するクセゲーハンターだった。

 

 義人もそんな美浦の意外な一面を垣間見たのは、惑星タクティクス城第1作。

 

 モバイルディスプレイゲーム終末期に、美浦がとんでもないプレイスキルを開花させた。

 

 その様子が一部ストリーマーに大ウケし、以降モバイルディスプレイゲームの一命をとりとめた。

 

「そこ! レトロゲームの話で盛り上がらない!」

 

 供花から鋭い指摘が飛んできた。

 

 気がつけば、供花と亮介は4連勝をしていた。

 

「よし!」

 

「バージョンアップした稲毛アウルズの底力、見せてやろうじゃないですか!!」

 

 義人と美浦が気合を十二分に入れる。

 

 曲目は大人気ジャズ・シンガー、椎名しおんの名曲「青春ギャラクシア」。

 

 華麗なるダンスバトルが始まった。

 

 亮介がヘッドスピンを決めると、美浦はタップステップからのバック宙を見事に決める。

 

 ギャラリーが盛り上がりを見せる。

 

 熱いキャンプファイヤーの夜はあっという間に過ぎていき、最終日は帰りのバスでカラオケ大会。

 

 供花の電波な歌声は、この場にいる塾生全員を頭痛へと追いやった。

 

 美浦の美しくも透き通る歌声に、癒やされる義人。

 

(そう言えば、美浦は歌手を目指していたんだよな)

 

 孤児支援プログラムによって、一度諦めかけたシンガーゲームストリーマーの夢をもう一度追いかけ始めた美浦。

 

 そんな彼女の夢を、義人は応援しておこうと心に決めた。

 

 そんなバスの横を1台の車が横切った。

 

 対馬の宣伝車だ。

 

 対馬はある人物と接触するため、勝浦市にあるとある事務所へと足を運んでいた。

 

 車が止まったのは、寂れた古い民宿。

 

 廃業して数十年たったこの建物は「ある団体」の活動拠点として利用されていた。

 

「ご無沙汰しております」

 

 対馬が入ると、そこにはガラの悪そうな中年の男女30人が出迎えた。

 

 彼らはイベント壊し屋組織「全日本興行解体株式会社」。

 

 イベントを壊す犯罪行為を生業とする暴力系組織で、国民共産党からのバックアップが図られた曰く付き組織だ。

 

「おやおや? 対馬先生じゃないですか。 例のイベント解体の準備はもう少しで完了しますよ」

 

「TGBMGCのランウェイを壊せる日が近いともう、楽しみで仕方ないのですよ」

 

 社員たちが悪意の笑みを浮かべた。

 

 ここ数年でイベントを中止してきた実績が示す通り、毒親やフェミニスト系はこうした国民共産党からのバックアップを受けて組織化したケースが出始めていた。

 

「みなさん、私達のバックアップがある限り貴方がたは罪に問われません! この私、対馬未華子が誠意を持って保証いたします!」

 

 その言葉に、社員全員が沸き立った。

 

「さぁ、若者に痛みを伴う教育を」

 

 後にTGBMGCは、壊し屋達によって中止の疎き目に遭うことになる。

 

 翌日、義人はふくろうの山小屋にある美浦の部屋へと遊びに来ていた。

 

「へへへ、今日はすごいクセゲーを買えたんだ」

 

 そう言って取り出したのは5念前に発売された「フェアリアウォーズ」と呼ばれるシューティングゲーム。

 

 なんでも、メイン攻撃が自機にダメージを与えてしまうため、サブのグレネードで戦うという一風変わったゲーム。

 

 美浦はそのDL版を購入したというわけである。

 

 こんなゲームよく買えたな。

 

「ちょうど中古DLショップをサーチしたら見つかったの! よしくんも気にいるかなぁって」

 

 今でこそ、モバイルディスプレイが生き残っているが、家庭用ディスプレイゲームはフルダイビングVRによってレトロ化して20年が過ぎていた。

 

 携帯端末向けのゲームはこうしたクセゲーやソーシャルゲームによってなんとか食いつないでいる。

 

 早速義人はフェアリアウォーズをプレイしてみる。

 

 見た目は本格的なシューティングゲームだが、一癖ある操作感覚が義人を悩ませた。

 

「くっそー! 何なんだこのクセゲーは!? 自機がメインでダメージ食らうなんて聞いてねーぞ!?」

 

 あまりのクセゲーに義人は思わず叫んだ。

 

「おっしゃー! ステージ1、クリア!!」

 

 見事にステージをクリアして、喜ぶ美浦。

 

「美浦、お前よく攻略法を見つけるな」

 

「だって、クセゲーマニアだから、ものの数分で攻略方法が見つかるよ」

 

 美浦は大口を開けて笑った。

 

 右下の奥歯のクラウンがキラリと光った。

 

「美浦、最近歯医者行ったか?」

 

「まぁね。 神経取るのが怖かったよ」

 

 何気ないトークが繰り広げる中、

 

「いよいよ明日は」

 

「ランウェイ進出をかけたバトルトーナメント!」

 

 そう、明日からの3日間かけて開催されるBSOのバトルトーナメント。

 

 ノーブレス・アンノウンや、バウンドフィッシャーズといった強豪チームやまだ見ぬ強敵たちとの戦いが、迫っていた。

次回からいよいよバトルトーナメント開幕!

稲毛アウルズは、この激戦を勝ち抜くことは出来るのか!?

こうご期待!!

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