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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
18/29

EP18 青空と地獄のブートキャンプpt3

初日の夜の肝試しでMAVたちが供花の仕掛けた罰ゲームになすすべもなく倒れてしまう。

稲毛アウルズは、持ち前の即興性を活かしてなんとかクリアするものの、何故か不評を食らってしまうのであった。

 翌日、義人たちはBBQ施設に集まった。

 

「本日は、みんなでカレーを作りたいと思います!」

 

 供花のハイテンションボイスに、

 

「やったー!!」

 

 義人たちは盛り上がった。

 

「ただし! これはMAV対抗のカレーコンテスト! 優勝したMAVが作ったカレーは1年間の南天堂デジタルアスリートカレッジのメニューに加わるからです!」

 

 そう、南天堂デジタルアスリートカレッジでは、年に一度キャンバス対抗カレーコンテストを毎年9月に開催する。

 

 ここ関東カレッジでは、ふくろうスクールの生徒と共同でMAV対抗カレーコンテストを開いている。

 

「ルールは簡単、食材は自分たちで調達して自分たちのレシピで調理すること! 調味料はこっちで用意してあるから安心してね! フグや毒キノコは先生たちが除外しますので」

 

 そう、毒を持つ植物や食材は規定違反になるため、如何に食材を公立よく調達できるかが勝負の分かれ目。

 

 義人と美浦はとりあえず支給金として3000円を受け取り、他のMAVに負けないカレーの食材を探し始めた。

 

「まさか、廃棄食材を集めて0円カレーを作るの?」

 

 ご長寿番組の企画を自分たちでやってみるのかと、期待する美浦。

 

「それもあるけど、まずは情報を集めないと!」

 

 南天堂デジタルカレッジの近くには道の駅があり、そこで情報と食材を調達する。

 

 稲毛アウルズは、とりあえず道の駅まで走り出す。

 

 その一方で、

 

「ふふふ……。この亀有ゴールデンの成金(なりがね)ハヤト様の財力と人脈があれば、最高級のカレーを……!」

 

 ハヤトは日本有数の大手企業の御曹司である。

 

 彼がふくろうスクールに通っているのは、世界最高峰のゲーム経済学を学べるため。

 

 金と人脈に物を言わせたカレーを作って勝負に出ようとするが、

 

「そこまで」

 

 供花に差し止められた。

 

「あ、先生……」

 

「だめだよぉ、お金と人脈に物を言わせちゃ。そんな金任せをする子には、これをプレゼント……!」

 

 供花が手に携えるのは、ジョッキに波々と注がれた毒々しい赤紫色の飲み物(・・・)といえない何か。

 

 ゴボゴボと音を立てて不気味な煙まででている。

 

「あ、あ……!」

 

「さぁ、お金持ちのボンボンくんに、先生からのサービス」

 

 ハヤトは結局、それが供花特製のスムージーであることに気づいたのは、飲んですぐトイレに駆け込んだ後だった。

 

「みなさんも、指定されたお小遣いよりも多く持ち込むと、こんな目に遭いますからね」

 

 ハヤトのやられざまを見た他のMAVは、絶対にやめておこうと心に誓った。

 

「あ、成金くんのMAVはルール違反で失格。みんなの皿洗いをおまかせしますね」

 

 供花の不敵な笑いが青空にこだまする。

 

 稲毛アウルズは、近くの道の駅で食材と廃棄されそうな食材の情報を集めていた。

 

「お、ヨシと!」

 

 聞き慣れた声が二人の耳に届く。

 

 振り返ると、18歳の若い漁師コンビが道の駅駐車場で待っていた。

 

「バウンドフィッシャーズ、来てくれたんだ!」

 

「あぁ! 昨日ご注文したやつ、手筈通り届けておいたぜ!」

 

 そう、バウンドフィッシャーズが義人からの連絡を受けて大洗産の廃棄予定海産物をもってきてくれた。

 

「大洗産のアジの中骨に、キンメダイのアラ、それに茨城産の香味野菜の切れ端?」

 

 美浦はバウンドフィッシャーズが調達した廃棄予定食材を見て興味を示す。

 

「さぁな。でも南天堂カレッジ対抗のカレーコンテストに採用されるかどうかはわからんな」

 

 金髪碧眼の若い漁師が口を少し尖らせる。

 

「それでも、バトルトーナメントでは負けませんよ!」

 

「こっちこそと、言っておこう!」

 

 美浦とバウンドフィッシャーズが再戦を誓う。

 

「レシピも決まったところで、戻りますか!」

 

 バウンドフィッシャーズから譲り受けた廃棄予定食材と、エビやウツボの切り身などを購入し、稲毛アウルズは炊事場へと戻った。

 

 既に他のMAVたちが食材の調達を完了していた。

 

「成金くんは?」

 

「なんでも金持ち特有のグリッチをやろうとして、先生にスムージーを飲まされて失格になったみたいだ」

 

 そう、規定金額よりも多い金額を使ったりすれば失格。

 

 失格者は、供花から特製スムージーを飲まされ、参加者全員の後始末をさせられるというもの。

 

「それでは、小泉塾名物・南天堂カレッジのキャンパスカレーコンテスト、調理開始!!」

 

 MAVたちが一斉に調理を始めた。

 

 美浦と義人はまずバウンドフィッシャーズから提供された廃棄予定食材を寸胴に水と一緒に入れて煮込み始める。

 

「美浦、アク取り頼む!」

 

「了解!」

 

 次に義人は食材の下処理を始める。

 

 加工したウツボの切り身に塩コショウを振る。

 

 そして、串に刺して炭火でじっくり焼き始める。

 

 炊事場に炭火グリルが備わっているから助かっている。

 

 ウツボを焼いている間に、エビの下処理を済ませていく。

 

 美浦は食に対する執着心からか、一つのアクも残さず取り除いていく。

 

 そうして出来上がったスープを濾しながら別の鍋に移し替える。

 

 魚介の出汁と香味野菜が醸し出す香りの特製スープに、先程焼いたウツボと下処理して軽く焼いたエビを放り込む。


 ついでにアサリのむき身と廃棄予定の刻んだイカゲソを入れて市販のルゥでひと煮立ちさせれば、

 

「稲毛アウルズのシーフードカレーの出来上がりだ!」

 

 ようやくカレーが出来上がり、審査の時が来た。

 

 審査員は、カレッジに在留する生徒と南天堂メテオールで活躍する講師の刑300名。

 

「さて、今年のカレーコンテスト、優勝したMAVのレシピが採用されるどころか、カレッジ対抗カレーコンテストに出される、まさにMAVの絆が試される試金石!!」

 

 MAVシステムと関係ないと思うが、実はゲームから離れたイベントの経験がMAVの連携に良い刺激をもたらすという。

 

「さて、各屋台のMAVちゃんたち、準備はOK!?」

 

「OK!!」

 

 昼下がりの青空、MAVの絆がこもったカレー大会が幕を開けた!

 

 角煮サイズの豚肉を煮込んだ台湾風や数種類の唐辛子をブレンドした激辛系まで様々。

 

 ハヤトは失格者のため、後処理に追われていた。

 

「なんで僕が後始末に!」

 

「つべこべ言わない! またスムージー飲ませるわよ?」

 

 供花に言われ、ハヤトは黙って罰業務に専念した。

 

 稲毛アウルズのカレーは最も多くの票を獲得し、見事レギュラーメニューの座を勝ち取った。

 

 理由は、魚介と香味野菜の出汁が聞いたスープに、隠し味のクラフトコーラシロップが高評価となった。

 

 そして、2日目の夜が迫る。

 

「というわけで、今夜はキャンプファイヤーをします!」

 

 供花は今夜のイベントはキャンプファイヤーであることを告げる。

 

 ハヤトたちをはじめとした塾生たちは大いに喜んだ。

 

「しかも、今回は、ラブ&ブレイク・ブラストディスラプションの野外エキシビションを行います!」

次回は、キャンプファイヤーでダンスバトル!

どのMAVが勝つのか!?

絶対に見逃すな!!

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