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傘
ひどく泣き崩れた君の背中を見つめるだけで
僕は胸が苦しくなった
心のままに叫ぶ苦しみを吐き出して
声の限りに喚いている
何があったのか僕はまだ聞けていないけど
きっと君にとって赦されないことがあったんだね
感情のままにあふれ出す君のキモチを
僕が受け止めてもいいだろうか
誰も気づいていない叫びを旨く隠して生きている
その健気で優しい君がこんなに疲れ果てていても
僕しか見ていないけどそばにいて寄り添っていいかな
ただ雨をしのげる通りがかりの 軒下代わりの存在
暖かい空気のように包んで抱きしめたい
君の涙を吸い取れたらいいのに
僕は君の隣にいられるだろうか
僕は慟哭の雨の中の小さな傘になりたい




