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3さすらい

一方、ここ「隅の町」で策謀が平穏を打ち破ろうとしていた。


夜も更けたころ身なりの良い男女が密会に臨む。


場所は天井が吹き抜けの広場で水と草木と建造物が調和しあう落ち着いた空間。


水辺には空にたたずむ月が反射している。




「っぬふ・・・マジョを見つけたかもしれません。天使様」


綺麗な言葉で恰幅の良い、汚い言葉で油ぎっしりな男が放つ。


興奮で息が上がった表情から視線は用意されたお茶と受けを無視したまま相手を直視している。


「何故曖昧なのでしょうか、結果が出てから呼ぶようにと伝えていたはずですが。」


人に聞けば10人中10人が美人だと答える容姿。


いざ相対するとこの世に存在しているのかどうか希薄になる儚げなさがある。


お茶をすする姿も絵になるどころか額縁に飾り美術館に展示できるレベルである。


その象徴として彼女の背中には羽根のようなものが見える。


「おおっと明日の屋敷に呼びつける予定でうっかりしていました。申し訳ありません。」


男の態度は雑で下品な目線が浴室のシャワーのように天使の体に注がれている。


欲望が駄々洩れだ。


「ぬふっふどうですか、今日は夜も遅いですしお泊りになっては。」


間髪入れずに答えは返る。


「まだ済ませていない予定が控えていますので残念ながらお断りさせていただきますね」


「失礼します」


ゆったりとした動作で椅子から降りて僅かに身なりを整えた後にお辞儀をした。


隠れていたのか背中の羽根が広がりしなりをつくって飛び立とうと地面から爪先が離れる寸前。


「ああ、そういえばマジョを見分ける装置ケンサーが妙な反応を示したとか。」


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



浮遊が解除され踵が床と接地すると無言のまま耳を傾ける。


ケンサーの見た目は水性ボールペンを消す機能を持つ、

あの先端に丸いゴム質カバーがついたペン状の物である。


先端を相手に向けるか押し当てることで発動して内容で色が変化する。


「っぬふ、お気になさるほどではないとは思うのですがご興味がおありのご様子。


さて念のためにご報告いたします。


まず、ある少女の反応だとのことです。


通常の人間を映すと白か透明に変化し魔法、スキル、技術などの有無が分かります。


しかし今回は空色だ黄色だ紫だなどと情報が錯綜しております。


まったく現場の人間の対応に不信が募りますよ、何色を見たかさえ特定に及ばないとは。


天使様の御手を煩わせてしまうのは誠に遺憾ではありますが、


もしもがありますので機会を設けさせて戴きました。」




もしかすると見る側によって違いがあるかもしれない。




「よく知らせてくださいました。それを知っているのは現場に居た方達とあなただけでしょうか?」


「いえ、昨日は対象者が大勢いたので広い場所を使っておりました。

恐らく市民の中にも目撃者がいるやもしれません。」


「ああそうですか、残念です。」





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