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遊戯超過  作者: 吐夢
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また春が来たらね

 仕事を始めてから、半年が過ぎ、一年が過ぎ、俺にも後輩というものが、ちらほらとできてきた頃。

 「見て、リュウくんっ!俺のゲーミングPC、給料二ヶ月分っ!もはや俺の息子っ!」

 と熱量を込めて、やっと買い揃えることができたゲーミングPCをリュウくんに紹介した。

 「うわ、凄っ!キーボードが光ってるんだけど」

 と目の付け所が若干ズレている感想をもらった。リュウくんの新車のバイクを、見せてもらった時の俺の感想と同じだ。お披露目会も込めて、仕事終わりに飲みに誘ったのだ。ヒロさんやアキさん、チトセさんまで顔を出してくれて、みんなで好き放題に喋って飲んで、遊んだ。

 「リュウくん、またバイクで何処かに連れてってよ」

 と酔いにかまけて強請ると

 「また春が来たらね」

 と優しく微笑まれる。俺の中では、もう春は来てるんだけど、なんて酔っ払いの戯言にも耳を貸してくれるんだから、本当に出会えてよかったと思う。酔うためのお酒じゃなくて、楽しむためのお酒を飲んだ。

 ツマミが無くなってきて、買い出し決めをいつもの運転手決めと同じようにやった。俺は百円を出して、みんなの好みを聞いてから、コンビニへと向かった。俺もシュークリームでも食べようか、なんて考えながら外に出ると、まだ凍てつくように寒い冬だった。両腕を擦って、スウェットで来たことを後悔する。小走りで車道を渡ろうとすると、あの眩しいヘッドライトが俺を照らした。全てがスローモーションに見える。けれど、身体は動かせなくて、ヘッドライトの光で目が眩んだ鹿のようだ。その光で白飛びして、真っ白な脳裏に今までの記憶がよぎる。

 「まじで消えてしまいたい」

 と蹲る俺を見つけて、声をかけてくれた。あの時、あの瞬間。シュークリームは酒のツマミになると教えてあげたい。マカダミアナッツチョコレートのが美味いが。そして、誘導棒と反射テープ。俺の相棒、初めて仕事ができた瞬間。太陽が眩しかった。車に轢かれそうになっても、この赤い腕で、訴えることができる。って、もう俺の腕は赤くないじゃん。

 視界が開けると、真っ黒な道路に赤黒い血が流れている。近くに目が覚めそうなコンビニの光が見えた。俺は目を閉じることしかできそうにないのだが。

 「ありがとう、いい走馬灯だったよ」

 二時間ほどの映画を見終えたような充実感があった。死んでも後悔なんてありえない、いい死に方だ。

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