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遊戯超過  作者: 吐夢
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パシャッ

 楽しいこととか嬉しいこととかは、夢みたいに記憶に残りにくくて、ぼんやりとしか思い出せないくせに、つらいこととか苦しいこととかは、昨日のことのように思い出せるのだから、俺の脳でさえ、俺を生きずらくさせているんだと思う。けれど、忘れたくないこの日を忘れないように、一秒たりとも無駄にしないように、この瞬間を噛み締めている。名物のタコせんべいは、顔よりも余裕で大きくて、笑ってしまった。味は香ばしくて美味しくて、二人でパリボリと食べていたら、余裕で無くなった。昼ご飯は、海が見える定食屋で、しらす丼と海鮮丼を食べた。新鮮な魚達が食感良く、味わい深くて、二人で美味しいを言いまくった。

 「本っ当に幸せですよ」

 カフェで程よい甘さのケーキを食べて、海の音をBGMに珈琲を啜る。今まで生きてきたのが報われたような感覚で溢れた。

 「それじゃあ、その幸せに感謝して一枚っ!」

 とまた写真を撮られた。今日だけで何枚も撮られている。

 「そんなに俺を撮って、どうするんですか?」

 と笑って軽い感じに俺が聞いたら、リュウくんは神妙な面持ちに少しなってから、微笑んで、俺の目をじっと見つめる。

 「テンテンさんが、気分が落ち込んだときに、これらの写真を見て、幸せなこの瞬間を思い出せるように。残しておきたくて」

 「リュウくんは?いまこの瞬間、幸せですか?」

 「もちろん」

 パシャッ。

 用意していたスマホで一枚撮った。不意打ちは狡いよ、とちょっとだけ咎められたが、それもいい思い出でしょ?と丸く収めた。

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