空から女の子が降ってくる
その日は突然訪れた。いやいや、空から女の子が降ってくるわけでも、神様の気まぐれで異世界に転生するのでもありません。俺の人生は俺が動かなければ、いつまでも同じ景色です。電気を付けなければ暗い部屋のままなのと同じです。でも、その日は違った。暗い部屋のカーテンを開けた。日差しが眩しくてウザかった。目に悪影響を及ぼすのは、スマホの画面よりも直射日光のが強いんじゃないか?くだらない考えに時間を費やしてしまうが、死のことを考えるよりもまだマシだと自分を励ました。そんなこんなでこの環境を変えたいとふと思い付いて、寮付きの仕事を探した。どれもこれも、ピンとくるものはなかった。こんな俺が贅沢を言えない身分なのは分かっている。適当にスクロールして、パッとタップしたところに決めた。……土木作業員。きつい、汚い、危険の三拍子が揃った立派な仕事だ。俺にこの仕事ができている未来が想像できない。かと言って、今でさえ何も俺の生きている未来が想像できていないのだ。イケメンの友達の履歴書を勝手にジャニーズ事務所に送るような身勝手さで、俺もこの仕事に応募してみた。何時間後にかに電話がきて、何年かぶりに家族以外の人間と話すのでスマホを持つ指が震えた。世界一学習するのが難しいという日本語の難しさを痛感した。俺が喋ったのは何語だろう。しかしながら、面接は明日という吐き気のするような情報は聞き取れた。冬なのにどっと汗が出た。ストレス耐性が皆無なので、ゲームを開いて、いざ現実逃避だ。明日の面接までに考えないといけないことは寝れない間に、いや、ゲームをしているこの瞬間も自ずと考えてしまうから、準備などはどうでもいい。極端に言ってしまえば、こんなのは記念受験だ。母に俺の成長記録を見せるようなものだ。落ちたって、落ちたところで、どーせ死ねないのだ。




