理想なんてヨーグルトのホエイと一緒
何か何もかも嫌になって、現実を見たくなくて、ゲームをしながら酒を飲んだ。考える以上に考えてしまうのをやめるために。俺の基準では、リュウくんもヒロさんもアキさんも、みんなが正しくて、ちょっとずつ間違っている。その間違いを正す方法は見つからないけど、みんなで仲良く平和になりたい。そんな子供じみた理想を掲げては、自らを馬鹿だと蔑む。俺に理想なんて見せんなよ。はあああ疲れた。脳みそのリミッターみたいなのがバグって、取り憑かれたように支離滅裂な言語が流れていく。ああ何もかもうざったい。死んじまえ。コンピュータのこいつらは俺を勇者として崇め称えてくれるけれど、勇者の着ぐるみを着たクズ人間の俺に、その言葉達はふさわしくない。理想的な言葉を投げかけてくるこいつらを殺したいくらいだもん。ゲームの中でもクエストという依頼を解決して、仕事をこなして、遊びも仕事で仕事も仕事じゃねえかよ。俺は仕事大好き人間か。遊び方さえも忘れてんの。理想なんてヨーグルトのホエイと一緒。現実の上澄みを取っているだけだ。理想も現実も不味い。悪いけど、乳製品って嫌いなんだよ。牛のゲップは地球温暖化を促進させるし。何でもかんでもチーズをかける女に、牛の精子入りエナジードリンクを飲む男。食べてすぐ寝ると牛になるとか言うけど、そしたら人間の半数以上はおそらく牛だ。人間みなほぼ牛だ。牛肉と人肉の合い挽き肉を生み出した殺人鬼。あの時は聞くだけで嫌悪感でいっぱいになったけど、今はもうそんな将来がちょっぴり羨ましい。ああもう、また「もう」って言った。牛じゃん。人間は不味いらしいけど、その死体を焼肉する。鳥葬なんて手もあるけど、その時には既に手はなくなってるんだろうけど、鳥が喜ぶのかだけが疑問だ。あの青い鳥が啄んでくれればいいのに。ああ嫌だ何もかも嫌だ。消えたい。死にたい。




