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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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98/744

98:烏天狗(シガミー)、渓谷を(縦に)疾走る

「じゃぁさじゃぁさ、(きみ)はガムラン(ちょう)から来たコォォン?」

「そうだよ。ええと、〝(かた)こる〟さんはこの渓谷(けいこく)を抜けた(まち)から?」

 (あし)のしたを、ガムラン町近(ちょうちか)くの岩場(いわば)にも似た景色(けしき)が、(なが)れていく。


「そぅだコォン――(かた)はこってないよ?」

「ところで、その手に持ってるのは――?」

 よく見れば、〝(かた)こる〟さんは、縞模様(しまもよう)巨大(きょだい)(たまご)(かか)えてた。


「ははは、ちょっと(たまご)をもらおうと思ったコン――しっぱいしっぱい」

「じゃあ、〝(かた)こる〟さんは自業自得(じごうじとく)ですね」

「そうなるコォン、あははは――(わら)(ごと)じゃないし、(かた)は凝ってないよ?」


「(どうする迅雷(ジンライ)?)」

「(シガミーひとりなら、どうとでもなりますが――おそらくは、リカルルと(ゆかり)のある人物(じんぶつ)と思われる以上(いじょう)――なおさら、ルコラコル氏を見捨(みす)てるわけにもいきません)」


「あのさ、〝(かた)こる〟さんは――」

「だから(かた)はこってないコン?」

「――リカルルさまの、お(うち)(ひと)?」


「えー、リカルルを知ってるコォン? ひょっとして(きみ)は――〝(われ)()れもどし部隊(ぶたい)〟のひとー?」

 きゅうにジタバタしだす――〝たまご泥棒(どろぼう)〟さん。


 ――――するん!

 大鷲(おおわし)のかぎ(づめ)をすりぬけ――「あぁ~」と落ちていく……えーっと、どこが凝ってる(・・・・・・・)んだっけ?


「(ルコラコルです)」

ル凝る(・コル)――だね。おぼえた!」

 (ひざ)を曲げ、高下駄(たかげた)(さき)大鷲(おおわし)のはらを――ドカリと蹴りあげた。


「ピィギャガヤァァァァァァァァァァ――――!?」

 するん――――(地表(ちひょう)まで12(びょう)です)――――ルコルを追いかけるように、ぼくも落ちていく。


 しっかりつかんだ(たまご)を放さない――ルコル。

 暗闇(くらやみ)のなか、大声も出さずに「あぁ~」と落ちていく。

 ひょっとしたら、あれで叫んでるのかもだけど――胆力(たんりょく)感心(かんしん)した。


 コッチは迅雷(ジンライ)(あた)りをあかるく見せてくれているし、不気味(ぶきみ)でうるさい風音(かざおと)も聞こえなくしてくれている。


 長手甲(ながてっこう)高下駄(たかげた)をのばして、外套(がいとう)をおおきく(ひろ)げた。

 ――――――――ババババッバッツバババババッ!


 (かぜ)をつかんで、落ちる方向(・・・・・)を変える。

 せまる断崖絶壁(だんがいぜっぺき)を――いきおいよく蹴りとばす。


 ガガガガガガガッガガッ――――ごごごっん!?

 蹴ったところで、切り立つ断崖(だんがい)は、目にもとまらない。

 その垂直(すいちょく)にそって、一回転(いっかいてん)


 くるる――――スタッタットトン――――ごごぉぉん!

 地表(ちひょう)へ向かって、加速(かそく)する。

 必死(ひっし)形相(ひょうそう)(たまご)をかかえた――「あぁ~(ルコル)」――を追いこす!


 そんなことをすれば当然(とうぜん)地表(ちひょう)にぶつかる――――けど、こうでもしないと、ルコルは(たす)けられない。


 ピュピピピピッ♪

 真っ赤な(さんかく)が――危険(きけん)をつたえてくる。


「(落下中(らっかちゅう)姿勢制御(しせいせいぎょ)に、下駄(げた)の歯をつかってください)」

 よこに(・・・)するん、だったっけ?


 ザッゴゴゴンッ――――こしをひねり、両足(りょうあし)をそろえ――――ズザザザザザザザザザザザザザザザザァァァァァァァァァァァァァッ――――!!!


 (ぬま)水面(ぬいめん)を、下駄(げた)の歯で切って(すす)んだのとは――(はなし)がちがう。

 加速(かそく)し――断崖(だんがい)踏み割り(・・・・)ながら――落ちる方向(ほうこう)無理矢理(むりやり)、変えているのだ。


 下駄(げた)がつかんでるのは――水面(すいめん)じゃなくて、(かた)(いわ)

 ――――ゴゴッガッゴゴガガッガッ――――!!!


 金剛力(こんごうりき)でも吸収(きゅうしゅう)できない――――全身(ぜんしん)(つつ)む、(すさ)まじい衝撃(しょうげき)

「ぐぎぎぎぎぎぎっぎっ――――!?」


 (がけ)をすべり降りる天狗(ぼく)を――――(たまご)(かか)えたルコルが、ひょろひょろと追ってくる。

 その落下速度(おちるそくど)はとても、ゆるやかだ――――(地表(ちひょう)まで2(びょう))!


「ああぁ~~~~」

 覇気(はき)のない――――(さけ)……ばない(こえ)

 ふざけてるわけではないらしく――――その表情(ひょうじょう)は死への恐怖(きょうふ)で、ゆがんでいる。


 ズザザザァァァァッ――――(相対速度(そうたいそくど)30センチ/S(パーセカンド))――――がしぃっ!!!

 長手甲(ながてっこう)で、しっかりと受け止める。衝撃(しょうげき)はない。

 ふわりと浮かんだルコルを、(おお)きな(たまご)ごと――抱きとめた!


「(地表(ちひょう)まで0(びょう)――)」

 ピュピピピピ――――――――ッ♪

 危険(きけん)をつたえる、真っ赤な(さんかく)が――消えなくなった!


「(すこしは向きを変えられたけど、このまま落ちたら二人(ふたり)ともつぶれちゃう。どうにかしないと――――迅雷(ジンライ)!)」

「(はい、シガ――――!?)」


「くぉりゃぁー」

 ――べちん!


 あまりのことに一瞬(いっしゅん)かんがえを(・・・・・)止めてしまった。

 (たまご)をかかえるだけだったルコルが――――ぼくのあたまを(たた)いたのだ!


「(やべぇ――地面(じめん)にぶつかる――迅雷(ジンライ))」

「(シガ――――)」

「くぉりゃぁー」

 ――ぺちん!


 これは、姫さん(リカルル)とおなじ――――〝先制攻撃(わりこみ)〟スキル!

 ぼくは、(てき)じゃねぇぜ――――――――!?


 高下駄(たかげた)の歯が――――地表(ちひょう)に突き刺さる――――(地表(ちひょう)まで(マイナス)(びょう))!

 ごっぉぉ――――全身(ぜんしん)をつらぬく(ちから)奔流(ほんりゅう)

 これに耐えられなければ、おれたちは死んじまう。


「(耐衝撃(たいしょうげき)金剛力(パワーアシスト)の――ぺちん!――(すべ)てを(まわ)し――ぺちん!)」

 落下(らっか)衝撃(しょうげき)が――ぼくの全身(ぜんしん)を。

 ルコルの手刀(ぺちん)が――ぼくの頭(ジンライ)を、

 攻撃(こうげき)してくる――――ブブブブッキャチャカチャキャチャ――ぱしゃん!!


 それはぼくが――〝背負(せお)ったレイダごと、金剛力(こんごうりき)を使ったとき〟みたいな。

 ルコルと(たまご)とぼくをからめとった、(くろ)(ほそ)無数(むすう)機械腕(かいな)

 視界(しかい)が、(おお)われ――――ぺちん!


「おい、ルコル。いいかげんにしろ、おまえ!」

「くぉりゃぁー」

 半狂乱(はんきょうらん)狐耳(きつねみみ)は、聞く(みみ)を持たない――べちん!


 バキバキバキバキバキバキバキバキ――――ぐっしゃん!

 粉々(こなごな)(くだ)けちる機械腕(かいな)


 どたんっ――――地の(そこ)に投げ出された。


 衝撃(しょうげき)はとどまらない――――死を覚悟(かくご)する。

 こんどは五百乃大角(いおのはら)じゃない、いつも(はら)を空かせてねぇ神さんがいる来世(らいせ)が良いなあ。


「くぉりゃぁー」

 べちん!

 小柄(こがら)なルコルの、ちいさな手刀(しゅとう)

 意外(いがい)(いた)い。

 っていうか――――手刀(しゅとう)から立ち上る、(ひかり)(うず)


「(よけてくださ――――)」

 光る手刀(・・・・)をよけたら――どごごごぉん!


 ゴゴゴゴッバキャバキャバキャッ――――――地の(そこ)亀裂(きれつ)(はい)った!

 亀裂(それ)はどこまでも伸びていき――――渓谷(けいこく)断崖(だんがい)を割り――――ぐわららららららららららっ!!!


「(ルコラコルは受けた(・・・)攻撃(こうげき)を、相手(あいて)(かえ)すスキルの持ち(ぬし)のようです)」

 ひび割れた断崖絶壁(だんがいぜっぺき)が、巨大(きょだい)岩石(がんせき)に分かれていく。


「(つまり、落ちた衝撃(しょうげき)を――断崖(がけ)にぶちかえした?)」

 死の間際(まぎわ)に〝落ちた衝撃(・・・・・)〟が――ひかる手刀(ぺちん)で無くなった……らしい。


(たす)かった!?」

 ごごんごどん、ずごどごん――――あたりに落ちてくる瓦礫(がれき)!!!


「――あぶねぇ!!!!!!!!」

 ぼくは最後(さいご)(のこ)っていた、右足一本(みぎあしいっぽん)金剛力(ちから)をふりしぼった――――バキバキッ!


「(金剛力(パワーアシスト)全壊(ぜんかい))」

 ふぉふぉん♪

『Power_Assist

 >再生産可能まで24時間

 >残り時間 23:59:51』


 狐耳(ルコル)をかかえて、落ちてきた大岩(おおいわ)をよけた!

 つるん――――「(「「あ」」)」。

 ルコルの手から大卵(おおたまご)がすっぽぬけた――――がしゃん!


「た、た、たまごがぁぁぁぁーーーー!?」

 ルコルの(さけ)(ごえ)が、渓谷(けいこく)(ひび)いた。

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