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9:転生幼女(破戒僧)、職業をえらぶ

 なけなしの金が、大食らい像に飲み込まれた!

 鬼娘(オルコ)をにらむが、だいじょうぶだからと、前を向かされる。


「あなたの職業(ジョブ)を決めちゃうよ!」

 うん!?

 ――この、すっとんきょうなこえ。

 短い棒(すだれ)とおなじで、頭の中に聞こえて来やがる。


「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦(はっけ)、みあってみあってはっけよい、じゅげむじゅげむ、チチンプイプイ、今週のアナタの運勢わぁー♪」


「よしわかった。ふざけてるのだけは、よーくわかった」

「いいから、ちゃんと前を向いて」

 ふたたび、あたまをつかんで、前を向かされた。


 かっしゃん!

 箱がひらいて、ぴっかぁぁ――――なんだこのひかりは!

 女神像の胸のまえ、陽光(ようこう)反射(はんしゃ)する水面(みなも)みたいな強いひかり。

 そのひかりがおさまると、透きとおった〝びーどろ〟が目のまえに浮かんでいた。


 びーどろの板に、つぎつぎと文字が浮かび上がる。


戦士(せんし)

剣士(けんし)

魔術師(まじゅつし)

盗賊(とうぞく)

狩人(かりうど)

商人(あきんど)

錬金術師(れんきんじゅつし)

召喚師(しょうかんし)

薬師(くすし)

武術家(ぶじゅつか)


「このなかから、好きな職業(ジョブ)をえらんで良いけど――――「(選択(せんたく)すると獲得(かくとく)できる、技能(ぎのう)スキル……を表示……見えるようにします)」――――慎重(しんちょう)にね」

 ぴっかぁぁ――――〝びーどろ〟の板がつぎ足された。


戦士(せんし)★ /体力強化/筋力強化』

剣士(けんし)★ /反応速度上昇/魔力耐性強化』

魔術師(まじゅつし)★★ /魔力強化/詠唱速度上昇』」


「なによこれ……こんな便利機能、初めて見たんだけど」

「(おい、なんかしらんが、やりすぎるなよ。〝大食らい(いおのはら)〟の内輪(うちわ)てのがばれたら、ろくでもねえ事になるにきまってる!)」

「(はい、マスター――〝イオノファラー〟です。マスター)」


「わかりやすくて良いじゃない。どうする? いまなら、この12個の中から選べるけど?」


「ううんん? (おい、〝いまなら〟ってどういうことだ?)」

「(右したのまるい形が無くなると、この(ひょう)が切り替わるようです)」

 まるい形に切り込みがはいり、形がどんどんすり減っていく。


「たぶん……この(ほし)の形がたくさん付いてると、シガミーに向いてるんだと思うわよ――よいしょ! 見やすいように持ち上げてあげる」

 鬼娘(オルコ)がおれを、うしろからかかえた。


「やめろ、ガキじゃねーんだぜおれぁ」

「子供がなに言ってるの。それと、その言葉づかいはなおさないとね。女の子なんだから」


「言葉づかいなんぞどうでもいい……けどそうか、おれぁ女なのか。立端(たっぱ)もねえし、(そだ)っても段平(だんびら)ふりまわせるたぁ思えんなぁ……」


「(標準的(ひょうじゅんてき)刀剣(とうけん)無理(むり)なく帯刀(たいとう)できるようになるまで――1400日……約4年の歳月が必要です)」


「どうする? もうすこし待つと、もぉーっとシガミーに向いてる〝上級職(じょうきゅうしょく)〟が出てくるんだけど、選べる数がうんと少なくなるわよ」


「けっきょく、あれから試してねえからわからねえんだけど、おれわぁー魔術師が向いてたんじゃねーのか?」

 まがりなりにも真言(まんとら)は発火した。

 まえの世界じゃ、そうなるまでに20年もついやしたんだぜ。


「炎属性の適性はあるけど、おすすめはしないわ。だってシガミー、自分の手まで燃やしてたじゃない?」


「(現在(げんざい)は、上位権限(じょういけんげん)所持者(しょじしゃ)であるイオノファラァーとの接続(せつぞく)確立(かくりつ)されておりますので、当機(とうき)稼働(かどう)しているかぎりにおいては、獲得(かくとく)スキルの行使(こうし)弊害(へいがい)は有りません)」


「うん? なにいってるかわかんねえ」

 あきらめるな秘伝書(すだれ)。もうすこし僧兵(ぼうず)にもわかるように(はな)しやがれ。


「そうよねー、むつかしいわよねー?」

 やめろ、おれはガキじゃねーんだ。(ひたい)をやさしくなでるな。

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