表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/744

85:猪蟹屋店主(シガミー)、裏天狗とうめぼし

「(イオノファラーがこのまま消失(しょうしつ)した場合(ばあい)、この世界(せかい)はどうなりますか())」

 五百乃大角(いおのはら)が、いまにも消えようとしてるから、内緒話(みつだん)時間(じかん)かせぎをする。


「(んー、ここはあたしが、おいしいごはんを食べるためだけ(・・)につくった)……もぎゅ……(場所(ばしょ)だから、〝あたしがおいしいごはんを食べている〟ならどういう状況(じょうきょう)でも、(のこ)りつづけるんじゃないかしら)……もぎゅもぎゅ」

 てめぇ、あんまり動くな(・・・)っ――SP(なんたら)がどんどん減るだろうがよ!


 この世界(せかい)最優先(ことわり)――五百乃大角(いおのはら)がうまい(めし)を食う。

 なら、コイツが消えたら(もと)も子もねぇのに――あんまりゆっくりに(・・・・)ならねえ。

 コイツが動いてるから(・・・・・)ってのもあるが――


「((ぎゃく)に言うと、〝イオノファラーがおいしいごはんを食べていない〟と、この世界(せかい)消失(しょうしつ)すると())」


「(まあ、そうなるかもね♪ アファファファッファファファファッ――――あーおっかしっ、もう一本(いっぽん)いっちゃお)――がぶり、うまい♪」

 なに(わら)ってんだ!

 てえへんじゃねぇーか!


「(大変(てえへん)よねぇー? さあ、どうするシガミー? ふっははははははっはははっーーーーーーーーっ)げっほ、ごほっ――!」


「(ばかやろうっ! そーじゃねぇ! この()とか、この(さい)どーでも良いっ――まずは、てめぇの心配(しんぱい)をしろよ!)」

「っぎゃっ――ぽとり――ああああっ! おどかすから、落っことしちゃったじゃないのっ!」


「うるせぇ、よく聞け、あきらめんな! おれと迅雷(ジンライ)が、かならずどーにかしてやるから、すこしじっとしててくれっ――()でだだっ!」

 ったくよ、つい大声(おおごえ)だしちまった。

 じっとしてなきゃなんねえのは、おれも(おな)じなんだった。


 (こえ)(あら)げたところで寝床(ねどこ)(よこ)になったままじゃ、まるでしまらねぇ。

 けど、おれに来世(いのち)をくれた大恩神(だいおんじん)である五百乃大角(いおのはら)

 その(いのち)がわりでもある――SP(なんたら)(いま)にも尽きる。


 しかも女神(その)中身(なか)は、どうやらまるで子供ガキ(わけ)ぇおんなだ。

 (たす)けねえわけには、いかねえ。


   §


「(これが最後(さいご)三本(さんぼん)だ。せめて一本(いっぽん)よこせ。いいな?)」

 きょうは最初(さいしょ)に揚げた一本(いっぽん)味見(あじみ)で食っただけだから、本当(ほんとう)(はら)ぁへってんだよ。


 ガシャッ、すたん、ギギッ――裏天狗(うらてんぐ)に取ってこさせた串揚(くしあ)げ。

 寝床(ねどこ)のおれにソレを突きだし――あーん、もっぎゅもっぎゅ♪

 うん、うめえな。


「(それって、リモコン操作(そうさ)でしょ?)……もっぎゅもぎゅ……(器用(きよう)なモンね)」

 〝理も魂(リモコン)〟ってのはなんでぃ?


「(コントローラーのことで())」

「(魂徒労裏(こんとろううら)か。修行(ぎょう)の中のひとつ、経行(きょうぎょう)……(ある)座禅(ざぜん)に似てなくもねぇからな。すぐに(おぼ)えたぜ)……もぎゅもぎゅ」

 蓮根(れんこん)生姜(しょうが)みてぇなボコボコした(かたち)

 こいつをつかむのには、だいぶ慣れた。


「(座禅ねぇー。見た目はこんなにカワイイのに。本当(ほんとう)中身(なかみ)僧侶(そうりょ)のおっさんよね)……もぎゅり、ごく――ん、むぐっ!」

 レイダにもよく言われ――あっ!? (のど)に詰まらせてんじゃねーぞ!


 女神(めがみ)(てーぶる)で、もだえはじめた。

 SP(なんたら)よか(さき)に、お陀仏(だぶつ)なんて洒落(しゃら)にならん。


 ガシャッ、すたすたすたん、ギギッ――裏天狗(うらてんぐ)で駆けよる。


「みずのたま――うわたった!」

 おぼえたばかりの(みず)魔法(まほう)で、木の(さかづき)(みず)(そそ)いでやろうとしたら――(みず)魂徒労裏(こんとろううら)にかかった!


「(シガミー、〝子機01番(TRTT01K)〟……〝裏天狗(うらてんぐ)〟は魔法(まほう)使(つか)えませ())」

 ふぉふぉん♪

「(右手(みぎて)がわ中指(なかゆび)の出っぱり……ボタンを押してください。えらんだ(もの)機械腕(アーム)から出せま())」


 んっと、この牡丹(ぼたん)を押して……こいつをえらぶと……おまえの収納魔法(しゅうのうまほう)()がみられるのか!?


 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉぉん♪

 こまけえ……なんかが沢山(たくさん)あらわれた。

 (ちい)せぇ(かたまり)や、でけぇ(かたまり)

 (なげ)ぇのや(みじ)えの、曲がってんのに丸いのに、(ほん)みてえのもあるな。まるで和菓子(わがし)にも見える。


「(わはははっ――長生(ながい)きはするモンだぜ。一回(いっかい)()んじまってるけどよ。こいつぁ、おもしれぇ――なんて言ってる場合(ばあい)じゃねぇやな!)」

 ――するってぇと、このチャポチャポゆれてる四角(しかく)い〝(みず)〟を(しか)らせりゃ――


 かちゃ――ばちゃばちゃ!

 (なら)んだ和菓子(こまかいの)の向こう、(くる)しむ()女神(めがみ)さまに向かって――(みず)がいきおいよく(なが)れた!


 じょばばばっ!

 魔法(まほう)魔法(まほう)だが、水の魔法(みずのたま)じゃねぇ。

 迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)からでてる――やべぇ、(ねら)うのがむずかしいぜ。


「ぎゃっ、――ごぼがばっ!? ごくん、ぷはぁ――ちょっと、なにすんのよ!」

 (みず)から串揚(くし)げを死守(ししゅ)する、五百乃大角(いおのはら)


 おおきく持ち上げられた(さら)から、串揚(くしあ)げが跳ね――

 ぷるんとした美の象徴(しょうちょう)――(ちち)とか下っ腹(はら)とかが、ゆれる。


「わりっぃ――おっととっ――ガシッ!」

 あっぶねぇ、落っこちる(ところ)だったぜ。

 下手(へた)したら、コイツが五百乃大角(こいつ)の――――さいごの(めし)だ。


 つかんだ(くし)を、手わたしてやる。

 五百乃大角(いおのはら)が、ひったくるように串揚(くしあ)げを取った瞬間(しゅんかん)


 ごんごん――――(だれ)か来た。


「(シガミー、〝裏天狗(うらてんぐ)〟を格納(かくのう)してくださ())」

 おう、そうだぜ。天狗(テング)シガミー(おれ)別人(べつじん)だから、見られる(わけ)にはいかねぇ。


 ぐぃぃぃぃ――すぽん♪

 魂徒労裏(こんとろううら)の真ん(なか)

 いちばん(おお)きな出っぱりを、長押しして(・・・・・)――魂徒労裏(こんとろううら)腕輪(うでわ)にしまう。


 手首(てくび)に巻いた腕輪(うでわ)は、遠征隊(えんせいたい)をたすけに行ったかえりに、迅雷(ジンライ)がつくった。

 蛇腹(じゃばら)になった(おお)きな輪を手首(てくび)(とお)して折りたたむと、ピッタリと張りついてどれだけ振りまわしても(はず)れなくなる。


 これは収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)で、迅雷(ジンライ)があつめたゴーブリン(いし)やほかの素材(そざい)を、ぜんぶ入れておくことにした。


 便利(べんり)だし、これだけで十分(じゅうぶん)売れるんじゃねぇかと(おも)ったんだが――

 「上級(じょうきゅう)冒険者(ぼうけんしゃ)にもなれば収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)をちゃんと持っていますし、ふつうはゴーブリン(いし)何百個(なんびゃっこ)一度(いちど)(はこ)ぶことはありません。残念(ざんねん)ながら需要(じゅよう)はないかと」

 ――まず売れねぇんだそうだ。


 化けウサギの素材(そざい)みてぇに、尋常(じんじょう)じゃねぇ(おお)きさの(もん)(はこ)ぶことも、めったにねぇだろうしな。



 ごどん――巻いた(ぬの)でできた人型(ひとがた)(ゆか)に落ちた。

 あれは〝裏天狗(うらてんぐ)〟だ。おれか迅雷(ジンライ)がさわらねえと収納魔法(しゅうのうまほう)格納(かくのう)することができない。


「(五百乃大角(いおのはら)、おれたちは一蓮托生(いちれんたくしょう)だ。食うなよ、(さわ)ぐなよ?)」

 んぁれ、どこ行った?


 まさかSP(なんたら)切れで、消えちまったのか!?


「(失礼(しつれい)ねぇー! ちゃあんとココに(・・・)居・ま・すぅー♪)」

 ココってドコだ!?

 内緒話中(みつだんちゅう)でも自由(じゆう)にうごく目を、小屋中(こやじゅう)にめぐらせる!


 五百乃大角(いおのはら)(すわ)ってた椅子(いす)にも、(つくえ)のしたにも、どこにもいねぇ――――


「(シガミー、五百乃大角(いおのはら)発見(はっけん)しました。)」

 どこにいた? どこにも見えねぇぞ!?


 いや、なんか(うご)いてる?

 なんか居る?

 どこだ――――――(ココだって言ってんでしょーーーー!)―――――居た!


 それは、びーどろの(なか)に居た。

 (なら)んだままの――和菓子(わがし)(れつ)

 (なげ)ぇのや(みじ)ぇの、曲がってんのに丸いのに、(ほん)みてえのの(なか)に――まぎれてやがった(・・・・・・・・)


「((わたし)の……収納魔法(しゅうのうまほう)(なか)格納(かくのう)されています。)」


「(おおおぉぉぉぉーい、ちょっと聞・い・て・ん・のぉぉぉぉ~~?)」

 梅干(うめぼ)しみてえな大きさになった、五百乃大角(いおのはら)がコッチを見あげてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ