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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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82:猪蟹屋店主(シガミー)、たおれる

 っじゅわぁぁぁぁぁあぁっ――――ぱちぱちぃぃ♪

 きつね(いろ)になって――(あぶら)(うえ)に浮かんできたら、ひっくり(かえ)して引きあげる。


「はやく、はやくっ♪ キャキャッホーゥイ♪」

 やい、美の女神(いおのはら)

 (みせ)(なか)(おど)るな(まわ)るな、じゃまだ。

 もっとも、いまのところ見えてるのは、おれとリオレイニアだけだが。


 今回(こんかい)は、どういうわけか、いつまでも腹一杯(はらいっぱい)にならねえらしい。

 近寄(ちかよら)らなけりゃ影響(えいきょう)はでねえが、どうにかして、お(かえ)りいただかねえと。


「レイダ、揚がったぜ!」

 ぜんぶ食われちまわねえように、一度(いちど)にたくさん揚げる方法(ほうほう)をあみだした。

 こうすりゃ、五百乃大角(いおのはら)一個(いっこ)食ってるあいだに、(みせ)(ぶん)確保(かくほ)できる。


 そういや迅雷(ジンライ)も、(ひめ)さんの揚げ(かた)を覚えたあとで、天狗の体(こんごうりき)をつかって、たくさん揚げてやがったな。


「はぁい。あ、シガミー、〝たまごソ-ス〟切れてるよ?」

 たまごソースてのは、五百乃大角(いおのはら)情報(じょうほう)から迅雷(ジンライ)(つく)った(もの)だ。

 すっぱいが、(みょうに)にうまくて、これも大入(おおい)りの原因(げんいん)だ。


 くそう、いそがしいぜ。

「おーい、鬼娘(オルコトリア)今日(きょう)はヒマなんだろ? 買いもの(たの)まれてくれねぇか?」

 魔物討伐(まものとうばつ)遠征中(えんせいちゅう)に出くわした、ゴーブリンの異常発生(いじょうはっせい)(つの)ウサギ変異種(バリアント)との遭遇(そうぐう)

 報告(ほうこく)やなんかは、姫さん(リカルル)付きの聖剣切りの閃光(パーティーメンバー)が引きうけてくれたから、むこう一週間(いっしゅうかん)強制的に(・・・・)(ひま)らしい。


「じゃあ、串揚(くしあ)げ10(ぽん)でどう?」

「わかった。じゃ、(たまご)(しお)果物酢(くだものす)を、買えるだけ買ってきてくれ!」

 (かね)はリオレイニアから、もらってくれぇ~。

 はぁひぃ――ほかの(きゃく)もまだまだ、ならんでる。


 っじゅわぁぁぁぁぁあぁっ――――ぱちぱちぃぃ♪

 揚げろ。

 っじゅわぁぁぁぁぁあぁっ――――ぱちぱちぃぃ♪

 揚げろ揚げろ。


「そういえば(わたくし)、テェーングさまの正体(しょうたい)がわかりましたわ!」

「ぶっふぉ――――っ!?」

 な、なんんだとぉう!?


 つい、吹きだしちまった!

 遠征(えんせい)から(もど)ったばかりだってのに、うちの(みせ)手伝(てつだ)ってくれてる(ひめ)さんが、とんでもねぇことを言いだす。


 テングはシガミー(おれ)(かり)姿(すがた)だぜ――――!?

 さすがにバレたか!?


「かれはシガミー(こく)からの(まよ)(びと)――かくしてその正体(しょうたい)わぁーーーー!?」

 ()(もと)()(もと)

 シガミー(こく)なんて、ねぇぞ。



 えー、なになに?

 ほらあの、(くろ)ずくめの……。

 あー、(かお)(おお)きな目が描いてあった人でしょ?

 がやがやがや、わちゃわちゃわちゃ♪


 じつはウサギ(にく)や、(ほか)素材(そざい)(はこ)んでやるのに、おれはガムラン(ちょう)一度訪れている(・・・・・・・)


 じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ――――姫さん(リカルル)狐耳(きつねみみ)が、おれを正面(しょうめん)にとらえた。

 なんでそこで、おれをじっと見つめやがる?


 天狗(テング)すがたは(くろ)ずくめで(あや)しくて、(あい)らしいシガミー(おれ)とは、似ても似つかねえだろうが。


 たしかに〝小太刀(かたな)〟は色違(いろちが)いなだけで瓜二(うりふた)つだし、()れた武器(ぶき)(なお)しかたもおなじだし、そもそも錫杖(しゃくじょう)なんてつかうのは、ここじゃおれだけだ――――同郷(どうきょう)ってだけじゃ強引(ごういん)だったかもしれんが。


 姫さん(リカルル)らを(たす)けるためとはいえ、(まち)の決まりやリオレイニアとの約束(やくそく)(やぶ)ったおれが(わり)ぃ――――(はら)をくくるか――目を閉じ、(あぶら)の跳ねる(おと)を聞く。


「みんな、聞いて(おど)きなさい! テェーングの正体(しょうたい)は――――凄腕(すごうで)の、宮廷(きゅうてい)料理人(りょうりにん)よ!」

「はぁ――――――――――――!?」

 おれは、へなへなと(ゆか)(たお)れこんだ。

 (あぶ)ねぇから、油鍋(あぶらなべ)の火は(つめ)てぇ魔法(まほう)で消した。


「だって、(わたくし)一度(いちど)(つくって)って見せた串揚(くしあげ)げを、あれだけ完璧(かんぺき)再現(さいげん)して見せた、あの腕前(うでまえ)――――」

 なんでぇい、バレたわけじゃねぇのか。


「だぁはぁぁっ――――」

 安堵(あんど)(いき)をついたら――――びききききっ!

「ん? あれ? (いて)ぇ? ()でででだだっ!?」


「シガミー、どーしたの!? この(いそが)しいそしいときに!?」

 レイダが駆けよってきて、おれの(うで)(あそ)()てえところを、ぐりぐりと()してくる。


「い、(いて)えって言ってんだろうが!」

 大声(おおごえ)を出したら、リオレイニアが飛んできた。


「シガミー! ど、どうなされたのですか?」

 見おろす(かお)蒼白(そうはく)なのは――おれを心配(しんぱい)してくれてるだけじゃねぇ。


 コトン――よこを向くおれの(みみ)(うえ)

 (さら)をおいて、おかわりを要求(ようきゅう)する――暴力神(いおのはら)姿(すがた)がみえているから……だとおもう。


   §


「みなサん、心配(しンぱい)には(およ)びマせん。たダの筋肉痛(きんにくツう)でス。」

 おれのうしろ(あたま)から、いつもの(こえ)(ひび)いた。


「(そんな(わけ)あるか、この(いた)みはふつうじゃねえ!)」

「(はい、ふつうではありません。ですが(れっき)とした筋肉痛(きんにくつう)です。)」


「もー、(おど)かすんじゃないわよ。シガミーは本当(ほんとう)体力(たいりょく)がないなあ」

 てめえ鬼娘(おにむすめ)め!


 どかんごとん、どさどさどさどささっ!

 買い(もの)ありがとう。けど、おまえは(ゆる)さん。

 いつかひかりのたまの(うら)みを、晴らすからな。


「(――金剛力(こんごうりき)連続使用(れんぞくしよう)による深層筋(インナーマッスル)筋力低下(きんりょくていか)ならびに、急激(きゅうげき)なオーバーワークによる弊害(へいがい)です。)」

 (せ・つ)()ー、(いて)ぇーっ!


「(長時間(ちょうじかん)金剛力(こんごうりき)をつかうと、体力増強(たいりょくぞうきょう)スキルがあっても筋力(きんりょく)維持(いじ)できないほどの筋力低下(きんりょくていか)……からだが(なま)ります。)」

「(あれだけ(からだ)をうごかしたのに(なま)るってぇのか!? ――けどそりゃそうだな、おれがうごいたのは(すこ)しだからな)」


「(一日(いちにち)につき、合計(ごうけい)で30(ぷん)連続使用(れんぞくしよう)は3(ぷん)までにおさえるなら、問題(もんだい)ないかと。)」

「(三分(さんぷん)十回(じゅっかい)まで? それでも使(つか)えるっちゃ使(つか)えるが――――そうだ、きのう買いこんだ〝襟草(えりくさ)〟があるじゃねーか、いますぐよこせ!」


「(金剛力(こんごうりき)とおなじ理由(りゆう)不可能(ふかのう)です。その筋肉痛(いたみ)蘇生薬(エリクサー)解消(かいしょう)した場合(ばあい)短期間(たんきかん)筋力(きんりょく)低下(ていか)するおそれがあります。)」

 (おお)けがを何回(なんかい)(なお)すと、(からだ)がよわくなんのか?


「(いいえ、筋力増大(きんりょくぞうだい)のメカニズム……筋力(ちから)をつけるときの(からだ)のしくみと食い合います(・・・・・・)。)」

 わからん。


「(じゃ、どーすんだよ。こんなんじゃ、(みせ)のかき入れ(どき)におれぁ、なにもできねぇじゃねーか!)」

 よこに(たお)れたままの、おれの(みみ)のうえ――カチャリ♪

 (さら)何枚(なんまい)(かさ)ねはじめた美の女神(こいつ)も――このままにしておけねえ。


「(ソレについては、ひとつ(かんが)えがあります。)」

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