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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
6:拡張DLCと、栽培バグ

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743/744

743:魔神蜂爆誕、それと迅雷復旧

「ウカカカッ! 取っ(つか)まえたぞっ!」

 此奴(コイツ)めっ、観念(かんねん)しろやぃ――――あれ、居ねぇ!?


「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッウヴヴヴ」

 (まばた)きよりも高速に(はやく)――

 (かたわ)らに立つ蜂女(ソレ)に――

 遅れて動体検知(モーショントラッカー)が、『▼▼▼(ピピピッ♪)


「あっ、やべぇ――!」

 根菜(めがみ)(うば)われた!


 ふぉん♪

『ルガレイニア>ヴヴヴヴヴヴヴッヴヴヴヴヴヴヴヴヴ』

 大蜂(おおはち)眼の色が(・・・・)、おかしな(こと)になってやがる。

 さっきまで(しろ)(くろ)を行ったり来たりしていた脈動(みゃくどう)が――

 その(いろ)眉間(みけん)から、格子(こうし)みたいに塗り替えていく(ヴュゥヴュヴュゥン)


「あー、ルガレイニア? ひとまず落ち着けやぁ」

 おれは大蜂(かのじょ)刺激(しげき)しないよう、(しず)かに平手(ひらて)を突き出した。


 格子(こうし)みたいな紋様(めのいろ)が、(かす)かに揺らぎ――ヴュゥヴヴュヴヴゥゥゥゥヴュゥン♪

 直線的(まっすぐ)だった流れ(・・)に、おれをチラ見したときの曲線的(しなり)(くわ)わった。

 些細(ささい)なズレは、おおよそ尋常(じんじょう)ではないほどに、複雑(ふくざつ)で奇っ(かい)様相(ようそう)(てい)していく。

 ズズズズズゥ――――!

 複雑(ふくざつ)で奇っ(かい)紋様(ソレ)が、眼鏡(ルガーサイト)先端(はし)から給仕服の襟(くびもと)へ、流れ落ちていく(・・・・・・・)


「ちっ、ダメだ迅雷(ジンライ)ィ――もう話が通じねぇ(・・・・・・・・)!」

 本式(ほんしき)神々の肝いり(・・・・・・)である女神御神体(こんさい)は、本来(ほんらい)そう易々(やすやす)とは(こわ)れない。

 だが同様(どうよう)(こわ)れないはずの浮かぶ(プロジェクション)(BOT)は、おにぎりの渾身(こんしん)一撃(いちげき)(こわ)れた。

 (まん)(いち)にも、五百乃大角(いおのはら)依代(よりしろ)である女神御神体(ねがみめんど)無くなったら(・・・・・・)――

 五百乃大角(いおのはら)MSP(いのち)(くう)に、溶け出しちまう(・・・・・・・)


「えー、どーしたのぉ? おめめが縞々(しましま)になっちゃって――ヘリンボーン(がら)? 素敵(すてき)わね()

 言ってる場合(ばあい)かっ、阿呆女神(あほうがみ)さまめっ!


「ヴヴウヴヴッ――――ふっ」と鳴り止む大蜂(ルガレイニア)

 (いか)心頭(しんとう)(はっ)したのか、とうとう給仕姿(ルガレイニア)靴裏(あし)が、地から(はな)れた。

 (つえ)もなしに浮かんでやがる。

 どういう(ことわり)なのか、見当(けんとう)も付かねぇがぁ――

 相当(そうとう)に、お(いか)りなのだけは見て取れた(・・・・・)


 ヴォシュルッルゥン――――!

 (ふく)が裂けたのかと(おも)うほどに、幾重(いくえ)にも(はし)(きら)めく白線(はくせん)

 猪蟹屋制服(ししがにやせいふく)である、(くろ)(すそ)(なが)女性用(じょせいよう)給仕服(きゅうじふく)

 その(うえ)織柄(おりがら)のように幾度(いくど)も折れ曲がる直線(ちょくせん)

 ソレはまるで稲妻模様(つむぎがら)


 (はく)(こく)稲妻文(いなづまもん)が、前掛け(エプロン)にまで(ほどこ)されていく。

 白地(しろじ)厚布(あつぬの)(うえ)(おお)っていくのは、銀糸(ぎんし)(きら)めき。

 玉繭(たままゆ)光沢(こうたく)が、白地(しろじ)(こく)へと代える(・・・)

 前掛け(エプロン)(おお)い尽くした稲妻模様(つむぎがら)が――給仕服(メイドふく)へと合流する(つながる)

 ソレはまるで最初(はな)から、そういう(ふう)(あつ)えたかの(ごと)き。


 ふぉん♪

『>>まるで風神か雷神だな。中身だけじゃなく、到頭、外見まで恐ろしくなっちまいやがった』

 見ように依っちゃ、〝風流(ふうりゅう)〟と言えなくもねぇがぁ――

 蜂女(はちおんな)に、(ちが)いはあるまい。


 ふぉん♪

『ルガレイニア>>ヴヴヴヴヴウヴヴヴヴッ、オレサマオマエマルカジリ』

 魔神(まじん)再来(さいらい)とまで呼ばれる、生活魔法(せいかつまほう)開拓者(かいたくしゃ)

 魔物境界線(まものきょうかいせん)立役者(たてやくしゃ)でもあり、名実(めいじつ)ともにガムラン最強(さいきょう)侍女(メイド)

 (いま)では大蜂(まもの)……差し詰め魔神蜂(まじんばち)に身をやつした彼女(かのじょ)が、丸茸(めがみ)にボコリと(たた)き付けたのは――

 さっきおれに見せた画面(がめん)美の権化(もておんな)(たい)する美の指南(・・・・)


 聞かれてもねぇのに指図(さしず)をするのわぁ――

 おおよそ(ひと)が取り得る無知蒙昧(むちもうまい)の、(さい)たることだ。

 邪見(じゃけん)(おちい)り、(ひと)勝手(かって)に推し(はか)るは――(まさ)十悪(じゅうあく)(ひと)つ。

 観念(かんねん)して、こっぴどく(しか)られやがれやぁ。


「えっ――なぁに? 二人(ふたり)っきりでお(はなし)ぃ?」

 えへー、良きわね、ガールズトーク?

 だから言ってる場合(ばあい)かっ!


 根菜(めがみ)をつかんだ大蜂(まもの)が、おれたちから(はな)れていく。


 おれごと(・・・・)(あたり)一面焦土(いちめんしょうど)に化えて。

 そうなる(まえ)に、(こわ)される(まえ)仕舞(しま)え――迅雷(ジンライ)(たの)まぁ!!!!!


 スポン――無事格納(ぶじかくのう)される、五百乃大角(いおのはら)

 スッポコ――ぷすん♪

「はぁぁっ!?」

 おい(いま)(たし)かに仕舞(しま)われたはずの女神像御神体(いおのはら)が――収納魔法(インベントリ)から消えたぞ!?


 ガギィン!

 金属音(きんぞくおん)に見れば、散る火花(ひばな)

 突き出された細腕(ほそうで)(はし)るは、(ふと)二本線(にほんせん)


 烏天狗(ぼく)黒手袋(くろてぶくろ)をはめたルガレイニアは、あろう(こと)か――

 収納魔法(しゅうのうまほう)を、弾くらしいぜ(・・・・・・)


 ヴォヴォゥン♪

「――mぎhv――う、(うバ)われマしたね。ヤはり〝ロックオン無効(むコう)〟ノ効果(こうカ)ハ、対人(たイじん)にオいても発揮(ハっき)されルようで()

 (ころ)がるように飛んできた迅雷(ぼう)が、普通(ふつう)(はな)してやがる。

 おい相棒(ジンライ)調子(ちょうし)(もど)ったか!?


 ふぉん♪

『>>ハイ。女神像ネットワークの大部分が、復調したようです』

 本当(ほんとう)かっ!?

 そいつぁ、(なに)よりだぜ。

 さっきまでおれの収納魔法具(ゆびわ)出入(ではい)りしていた、(ちい)さなおにぎりみたいな(やつ)も――

 居なくなってる。

 まあ、寝た子を起こす(こと)も無いので、放っとく。


 ふぉん♪

『シガミー>>よし、これでガムラン町や大森林以外の女神像へも飛べるだろ。あとはこの蜂のお化けを退治すりゃ、ポテフィール領の』


 ヴォォォォン♪

 (つえ)もなしにフワリと浮かび、丸茸御神体(びのめがみ)をガシリと(にぎ)りしめる。

 ガムラン最凶(さいきょう)蜂女(メイド)が、(とお)ざかっていく。

 その背中(あと)をおれは……追えなかった。


 ヴォォォォン♪

 呼んでも居ない(・・・・・・・)魔法杖(つえ)

 ヴォォォォン♪

 おれやレイダが使(つか)うとの(おな)じ、一番小(いちばんちい)さくて値段(ねだん)(やす)学院支給(がくいんしきゅう)(しろ)(やつ)

 ヴォォォォン♪

 それが正面(しょうめん)左右(さゆう)(おそ)らくは(うえ)背後(はいご)にも一本(いっぽん)ずつ。

 ヴォォォォン♪

 さっきの蜂同様(はちどうよう)(まばた)きをしたら、ソコに浮かんでた。


 ふぉん♪

『シガミー>>どうする迅雷。やってやれんこともねえとは思うが、彼女を相手に手加減は出来ない。どうしたって遺恨が残ることになる』


 ジリジリ――ヴォヴォ♪

 スタッ――ヴォヴォォォォォォン♪

 一歩動(いっぽうご)けば先端(きっさき)が、まるで(おど)すかのようにおれを(かす)める。


 ふぉん♪

『>>こちらのロックオンは解除され、向こうは一方的にロックオン出来るようです。無傷で制圧するには準備が必要と思われます』

 (たし)かに(つえ)どもは、ずっとおれに(ねら)いを(さだ)めている。


 ふぉふぉふぉふぉん♪

『リオレイニア・サキラテ LV:47

 魔法使い★★★★ /簡易詠唱/全属性使用可能/ロックオン無効

     追加スキル/レンジ補正/クリティカル発生率補正/魅了の神眼/女神の加護/女神の祝福

    先天性スキル/幾何学的トポロジー/女神像機能解放/女神像機能呼出/羅針盤/体幹/体幹強化/血流強化/NPCサブチャンネルID/歩行術

 ――所属:シガミー御一行様』


「(うむ? さっき見たリオレイニアの身上(スキル)だな)」

 これがどーしたぁ……(まえ)にはなかった〝先天性(せんてんせい)スキル〟てのわぁ、ちぃと(あや)しいな。


 ふぉん♪

『>>はい。〝先天性スキル〟という〝隠されたパラメーター〟が、サキラテ家秘伝の歩行術。その、より詳しい内訳と思われます』

 うむ、血筋(ちすじ)による生まれつき。つまりは〝天賦(てんぷ)(さい)〟って(こと)だろぅ?


「(ロックオン無効(むコう)幾何学的(きかがくテき)トポロジー、羅針盤(らシんばん)体幹(たイかん)体幹強化(たいかンきょうか)血流強化(けつりゅうキょうか)歩行術(ほこうジゅつ)にヨり、一種(いっシゅ)位置情報(いちおじょウほう)偽装(ぎソう)(おこナ)ッていると(おモ)ワれ)」

 ふぅーん? まるで、わからん。

 全部(ぜんぶ)TODO(やること)リストに入れとけ。


 (いま)魔法杖(こいつら)を振りほどくのが(さき)だ。

 (いそ)がんと、(あと)を追えなくな――『<<(プピー♪)>>』


「あっ、動体検知(モーショントラッカー)が消えちまった!」

 ふぉん♪

『>>こちらの念話中に反応が消失しました』


 カラン、カラララァン♪

 一斉(いっせい)に落ちる練習用魔法杖(ちいさなつえ)


彼女(かのじょ)ワ、我々(われわレ)天敵(てんてキ)タり得る能力(のうりョく)ヲ、秘めてイるようで()

同感(どうかん)だぜ。(ほね)……はねぇか。折れ(きのこ)くらいは、(ひろ)ってやるから、往生(おうじょう)してくれやぁー」

 おれは虚空(こくう)へ向かって、合掌(がっしょう)した。


   §


「シガミー? こんな(ところ)で、どうしたのですか?」

 それはいつもの、楚々(そそ)とした(たたず)まい。

 太枝(ふとえだ)魔法杖(つえ)(あし)(そろ)えて(すわ)り、飛んで来たのは――

 普段通(ふだんどお)りの猪蟹屋番頭リオレイニアだった、


「(まさかの無傷(むきず)で、五百乃大角(いおのはら)(もど)ってきたぞ!?)」

 落ちてきた丸茸(そいつ)検品(けんぴん)するも、問題(もんだい)はなさそうだ。


 ふぉん♪

『シガミー>>おい、一体どんな魔法を使いやがった? おれでも手こずりそうな、蜂のお化け相手に!』

 毛先(けさき)(みみ)(はな)。直ぐにでも折れそうな、ごま(つぶ)みたいな指先(ゆびさき)

 そのどれもが欠けてない(どころ)か、傷一(きずひと)つ無かった。


 ふぉん♪

『イオノ>>>え? 別に何も無いけど? ただ2222年最先端のボディメイク術を、聞かせてあげただけわよ?』

 はぁぁ?


 ふぉん♪

『シガミー>>いつだか見た、お前さまの〝本当の体格〟はリオレイニアよか貧相(ひんそう)だっただろーが?』

 その(なん)たら(じゅつ)効果(こうか)があるとは、とても(おも)えん。


 ふぉん♪

『イオノ>>>うるさいですわよ。それと、この一行表示のコメントアウトだけど、2つまではリオレイニャちゃんに突破されてるから、以後注意するよーにねーん♪』

 は? そーなの?


「((いま)さっき一行表示(>>)で、〝貧相(ひんそう)〟とか言っちまっただろぉがぁ!)」

 おれはリオレイニアを見上(みあ)げた。

 よく見れば(なん)でか(あたま)に、ニゲル青年(せいねん)猪蟹屋(ししがにや)号店(ごうてん)でお馴染(なじ)みの、猫の耳(ネコミミ)が乗せられている。

 さっき大蜂(まもの)だったときの太線(ふとせん)(ほん)は、(そで)(のこ)ったままだった。


 そしてその(かお)には、いつもの眼鏡(ルガーサイト)(こお)り付くような(つめ)たい笑顔(えがお)が張り付いていた。

 ふぉん♪

『リオレイニア>>どうぞ、お乗りくださいな。ウフフ?」

 自分(じぶん)(すわ)(つえ)(さき)をトンと(たた)く、ガムラン最凶(さいきょう)メイド。


「いや、おれぁ、自分(てめえ)で飛んでいくからよ、へへっ」

 ヴュゥヴヴュゥン♪

 迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)を取り出してたら、(うごめ)両目(ふたつ)格子紋様(こうしもよう)と目が合った。


「どうぞ、お乗りくださいな。クスクスクス?」

 眼は眼鏡(めがね)(かく)され見えない。

 それでも、その〝蠢く奇っ怪な紋様(はちのきざし)〟を見るまでもなく、彼女(リオ)表情(ひょうじょう)は見て取れた。


 おれは大人(おとな)しく、差し出された手を取り――

 大女神像(だいめがみぞう)の間へ(もど)るまで、(ほほ)脇腹(わきばら)時折軽(ときおりかる)く摘ままれた。

幾何学的トポロジー/トポロジカルな性質や概念を扱う現代数学の一分野。変形可能な位相空間と、その間の連続写像(特にホモトピー、ホモロジー、ファイバー束など)を通じて研究される幾何学的構造。

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