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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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73:天狗(シガミー)、おばけウサギと修理サービス

「こらっ〝テェーング〟とやら、また切ってしまったじゃありませんの! お邪魔(じゃま)ですわっ、お退()きなさぁーい!」


 ――――ィンッ、――――ィィンッ!

 いけねえ、(ひめ)さんの間合(まあ)いに入っちまった――――トン、トトォォン!


 バキバキバギィ――――ズズゥン!

 (こけ)むした倒木(とうぼく)枯木(かれき)混在(こんざい)する、荒れ地。

 物置小屋(おれんち)くれぇの(ふと)さの枯木(かれき)が、切り(たお)された。


 とは言っても、()のぶった切りとくらべたら、てんで見る(かげ)もねぇから、(かわ)すまでもねえが。

 ()は見わたすかぎりの草原(そうげん)(はじ)まで(ねら)ってきたが、いまはぜいぜい10メートルだ。

 あと、みょうに(おせ)ぇ。


「(やはり、仮面(かめん)機能(きのう)制限(せいげん)されているようです。不可視の攻撃(ぶったぎり)攻撃(こうげき)レンジが1/10(じゅうぶんのいち)以下(いか)縮小(しゅくしょう)されています)」


「(じゃあ今回(こんかい)遠征隊(えんせいたい)遭難(そうなん)した原因(げんいん)半分(はんぶん)くれぇは――迅雷(おまえ)せい(・・)だな?)」

「(そうですね、シガミー。反省(はんせい)してください(・・・・・・・))」


 なんだぁ――ぺちん。

 おれは(かんざし)をかるく、ひっぱたいてやった。


 なんだとは、ご挨拶(あいさつ)ですね――ギュパッ、手首(てくび)から細腕(かいな)が剥がれて、おれの(ひたい)をかるく弾いた(ぽこん)


 どんっ――――ずざざざざぁぁぁぁっ!

 枯れた大木(たいぼく)を蹴って、おれは地面(じめん)に降りた。


「((ジーン)(ラーイ)ぃー?)」

「(シぃガァみィー?)」


 ピピピッ――――♪

 不意(ふい)に、(てき)急襲(きゅうしゅう)をあらわす(しるし)があらわれた。


「ギギギギギギギギィィィィィイィィィィィィィィィ――――ッ!!!」

 立ちどまったおれの、死角(しかく)を取ったとでも(おも)ったのか――玉兎(つきうさぎ)(あたま)から飛びこんできたのだ!


「――()(かま)え。」

 錫杖(しゃくじょう)(あたま)に付いた輪を持ち、かるく(かか)げて待ちかまえる。


 ――――ゴォォォォォォォォ!

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 錫杖(しゃくじょう)(なが)さくらいある、(ふと)(とが)った(つの)先端(さき)


 手のひらでつかんだ錫杖(しゃくじょう)(あたま)を、おもいきり突き出した!


 ――――――――ギョギュゴヴォガァァァァァァァァァァン!

 ギャリギャリギャリギャリィィィィィィィン――――(けず)れていく錫杖(しゃくじょう)


 ――――ぐさり――やべえ、いてぇ。

 二の型(こいつ)は〝なんにでも(あな)穿(うが)つ〟(わざ)なんだが――――ウサギ(つの)の、先端(さき)(さき)が俺の小せえ手に、みごとに突き刺さった!


 ドッッズズズズズズズズゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

 ウサギが(たお)れ、おれぁ空中(ちゅう)に投げだされる!


「(シガミー、指輪(ゆびわ)(つめ)たい魔法(まほう)をつかってください――――)」

「(なんでぇ、おれぁいま手が(いた)くてそれどころじゃ――――)」


「(いいから、言うことを聞いてください。でないとシガミーも(わたし)も、リオレイニアに大目玉(おおめだま)を食らうことになります)」


 よし、(こえ)ぇな。じゃ、(つめ)てぇ魔法(まほう)――――しゅぉぉ!


 ヴルッ――ぽこん♪

 目のまえに(あらわ)れたのは、(むらさき)小瓶(こびん)


「(飲んでください!)」

 これは知ってる――〝衿鎖(えりくさ)〟だ。

 大根(マンドラゴーラ)をつかって(つく)る――(たけ)ぇくすり。

 (まち)をみんなでぶらついてるときに、リオが何本(なんぼん)か買いこんでた。


 きゅぽん――ぐびり。

 しゅぉぉぉぉん♪


 体中(からだじゅう)と、あと(あな)があいた手のひらが、ものすごく(あつ)くなって――――まるで(いた)くなくなる。

 一瞬(いっしゅん)(なお)りやがった。


 とん――――(あたま)から落ちるところを、(いて)ぇほうの手をついて着地(ちゃくち)――――くるくるつ、すたん!

 なんとか姿勢(しせい)を、ととのえられた。

 すたん――倒木(とうぼく)(かげ)に身をかくす。


「(いつのまに指輪(ゆびわ)に、こんなもん仕込(しこ)みやがった!?)」

 (まち)を出るまえ、ギルドで会議(かいぎ)参加(さんか)していたときに、リオレイニアから(わた)されました。

 それをシガミーの気絶中(きぜつちゅう)に――ちょちょいと。


「(まさか、おれたちが遠征隊(えんせいたい)(たす)けに行くって、バレてたわけじゃねぇよな?)」

「(いいえ、レイダや自分(じぶん)(ぶん)も持っていたようですので、(まん)(いち)のための用心(ようじん)だったと(おも)われます)」


「(……(まち)(かえ)ったらゴー石(ごいし)を売って、使(つか)っちまった〝衿鎖(えりくさ)〟を買うぞ)」

「(そうですね、補充(ほじゅう)しておかないと、リオレイニアに合わせる(かお)がありません)」


「(というわけだ、休戦(きゅうせん)といこうぜ。まずはあの玉兎(つきうさぎ)をぶっ(たお)す)」

「(了解(りょうかい)です、シガミー)」


 ヴ――ジャリ♪

 錫杖(しゃくじょう)を――――あれ?

 すぽん――一旦(いったん)しまって、もう一回出(いっかいだ)す。

 ヴ――ジャリ♪


「(迅雷(ジンライ)錫杖(しゃくじょう)鉄輪(あたま)しかなくなっちまったぞ!?)」

「(すべて(けず)りとられたとしても、大部分(だいぶぶん)回収(かいしゅう)できるはずです)」

 できてねえじゃねぇーか!


「(はい。推測(すいそく)ですが、リカルルの〝不可視の攻撃(ぶったぎり)〟と()たような〝空間(くうかん)への干渉(かんしょう)〟が(おこな)われている可能性(かのうせい)があります)」


「(くうかんへのかんしょう……わからん)」

 とにかく得物(しゃくじょう)は無くなった。


 ギギィィィィッ――――――――――どずどずどずずぅん!

 (おお)ウサギが、(あた)りを見回(みまわ)している。

 (くろ)づくめの天狗(おれ)姿(すがた)は、月影(かげ)(まぎ)れている。


 ドズズズズゥゥン、ドズズズズゥゥン♪

 (おお)ウサギが、(ひめ)さんたちの(ほう)へ引きかえしていく。

 おれを木っ端微塵(みじん)粉砕(ふんさい)したと(おも)ったんだろう。


 ヴ――ぱしん!

 おれは黒い(・・)小太刀(かたな)を出した。


 チキッ――すこし抜いて、刀身(とうしん)確認(かくにん)する。

 波紋(はもん)も見えねえ、この漆黒(くろ)は、まるで(ほし)のない(やみ)だ。


   §


「(ジンライ(こう)はまだ、あんだろ? 錫杖(しゃくじょう)をあたらしく(つく)れねえのか?)」

 いくら折られても、(もと)にもどると(おも)ってたから余分(よぶん)は持ってこなかった。


「(ジンライ(こう)加工(かこう)には、ソコソコ面倒(めんどう)な手順が必要(ひつよう)になります。(わたし)手順を踏む(・・・・・)なら一本(いっぽん)につき、(やく)時間(じかん)かかります)」


「(工房長(こうぼうちょう)たちの(うで)(たし)かだってこったな)」

「(はい。ではやはり、リカルルの仮面(かめん)修復(しゅうふく)を買って出ましょう)」


「(どうやってだ?)」

 大木(たいぼく)(うろ)(ひそ)んだおれたちは、とおくで化けウサギと(たたか)派手(はで)甲冑(かっちゅう)のうしろ姿(すがた)を見つめている。


「(背後(はいご)から(しの)びよりましょう)」

 迅雷(ジンライ)が、本当(ほんとう)冗談(じょうだん)を言うようになった。


「(右手(みぎて)をどこかに押しつけてみてください)」

 言われるままに、木の(みき)に手を押しあてた。

 キュポ――――ん?

 手をそっと(はな)すと――――ぎゅっぽぉん♪


 おもしれぇ(おと)

 朱墨(あか)で書いた(まる)(なか)に『再生品』の文字(もじ)


「(この保守点検印(はん)を押せば、仮面(かめん)修理(しゅうり)自動的(ひとりで)完了(かんりょう)します)」

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