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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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721/744

721:吠えろ魔銃オルタネーター、スコープ換装

「タターです……な、(なん)でしょうか?」

 女神(めがみ)笑顔(えがお)不穏(ふおん)なものを(かん)じつつも、素直(すなお)に寄ってくるメイド姿(すがた)小女(しょうじょ)


「オルタネーターを出してねぇーん()

 (みじか)(うで)を組み、仁王立(におうだ)ちの五百乃大角(いおのはら)


 少女(しょうじょ)メイドタターが前掛け(エプロン)(めく)り、(した)(ふく)物入れ(ポケット)から、手袋(・・)を取り出した――キュキュッ♪

 それを手早(てばや)く手にはめ、長銃(ひなわ)(かま)える仕草(しぐさ)をすると――ヴルル、ガシャッ!

 その手に、アダマンタイトの光沢(ひかり)(はな)長大(ちょうだい)(ぼう)が、(にぎ)られた。


 長物(じゅう)を取り出すとき(あぶ)なくねぇーよう、〝手袋(てぶくろ)〟に収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)仕込(しこ)み――

 長銃(それ)を持つ手の形を(・・・・)、取り出すための鍵にしたのだ(・・・・・・)


 ふぉふぉふぉぉん♪

『魔銃オルタネーター【物理】

 魔法攻撃力830(+∞)。全属性使用可能なライフル型魔法杖(新造アーティファクト)。

 追加効果/STR-50/VIT-20/INT+180

 追加スキル/【主観ロックオン】発射された弾体は、

       スコープで捉えた物を必ず穿つ。

 装備条件/メイド服、ネネルド村出身』


 この鑑定結果(プックマーク)を見ただけじゃ、どれだけの代物(しろもの)なのか、おれにはわからんが――


「な、なんど見ても、興味(きょうみ)ぶかのい?」

 第四師団長(ミラカルカ)(ひとみ)(かがや)く。

 魔法杖(つえ)(あつか)いに長けた第四師団(だいよんしだん)(ひき)いる、彼女(かのじょ)には――

 見ただけでも、この長銃(オルタネーター)(すご)さが、わかるのかも知れない。


 ふぉん♪

『>アダマンタイト製の唯物特化型超々長々ロングレンジ魔法銃杖です。動力部にラプトル王女製作の疑似活力回路を搭載。全長1・76~2・36メートル。口径は・50uas。装填ならびに排莢は収納魔法具を介し、ポルトアクションにて行う。各種のイオノファラー謹製弾頭を使用可能で、最大装弾数は12+1発。70インチバレルで重量は760グラム~42・3キログラム』


 だから、わからんと言っとるだろぅがぁ!

 兎に(かく)、〝巨木・木龍(りゅうのまもの)〟を仕留めた(・・・・)のは、間違(まちが)いなくこの魔銃(オルタネーター)だ。

 つまりとんでもない代物(しろもの)だし、実際(じっさい)魔銃(こいつ)(はな)った弾丸(たま)は、(すさ)まじかった。


 (あかがね)光沢混(こうたくま)じりの白金(はっきん)(かがや)希少金属製銃身(アダマンタイトバレル)

 持ち手側(てがわ)に向かって、レイダ(ざい)鮮烈(せんれつ)蒼色(あお)へと変化(へんか)する色彩(いろ)は――

 とても火縄(ひなわ)(たぐ)いには見えん。ソレくらいに(うつく)しい仕上(しあ)がり。

 持ち手の(うえ)二股(ふたまた)に分かれた銃身(じゅうしん)片方(かたほう)には、ビードロで出来(でき)(たま)のような(もの)埋め込まれている(・・・・・・・・)


 ふぉん♪

『ヒント:軍用全天球レンズ/ミルスペックのパノラマ望遠レンズ。全景720°という非常に広い視野角を、取り込める光学素子』

 おれがつくったった軍用(ぐんよう)――つまり、いくさ場で使(つか)うための、全天球(すべてをみとおす)レンズ(めだま)

 真後(まうし)ろも見渡(みわた)せる、このビードロのお(かげ)で、王女殿下(おうじょでんか)(つく)魔導人形(ゴーレム)の目が尖らなくなった(・・・・・・・)

 そのレンズをキュリキュリと(はず)してしまう、五百乃大角(いおのはら)(あやつ)浮かぶ(プロジェクション)(BOT)


 ガッチャコン――♪

 代わりに取り付けられたのは、ロコロ村で迅雷(ジンライ)たちが――

 カックカクするのを(ふせ)ぐために(つく)った、〝SDK(・・・)弾倉(マガジン)〟だった。

 演算単位(とんち)を上げる(ため)SDK(すだぁこ)

 言ってみりゃ、体の無いおにぎり(・・・・・・・・)や、鎧の無い轟雷(・・・・・・)みたいなもんだ。


「それで――長銃(ひなわ)(あたま)を良くして、どうしようって言うんだぜ?」

 そろそろ出ねぇと、やべぇだろぅが?

 一行表示(ティッカー)(した)数字(すうじ)は、『変異種出現よりの経過時間 / 18:03』だし。


「このパノラマレンズおぉー、こっちにぃー(もど)してっと――()

 キュリキュリッ、カチン♪

 SDK(エスディーケー)弾倉(マガジン)に付いた丸穴(まるあな)に、はめ込まれる全天球(パノラマ)レンズ。

 チキピピピピ――「ジャイロマスターフルサポートオプション、【弾道照準(だんどうしょうじゅん)】が可能(かのう)になりました」

 神々(かみがみ)道具(どうぐ)から時々聞(ときどきき)こえる、いつもの(おんな)(こえ)


「コレでこのスコープわぁ重力偏差(じゅうりょくへんさ)とぉ、大気制動偏差(たいきせいどうへんさ)とぉ、コリオリの力偏差(ちからへんさ)にぃ対応(たいおう)しぃまぁしぃたぁ()

 まてやぃ。轟雷(ゴウライ)を着てねぇと……流石(さすが)にわからんぞ?


「はイ。弾道学(バリスティクス)コンポーネントノ更新完了(こうしンかんりょう)惑星(わクせい)ヒースにオける、自転速度(じてんソくど)曲率(きョくりつ)重力加速度(じゅうりょくかソくど)分布(ぶんぷ)ガ、射撃諸元算定(データコンピュータ)プログラムへ入力(インプット)さレました。いつデも長距離(ロンヅレンジ)弾道(バリスティック)射撃(シューティング)でキま()

 だから、(ひと)念話(ねんわ)を聞けってんだ!


「うーむ――わかるかってんだぜ! タターも居るんだ、もっとわかりやすく説明(せつめい)しろや」

 そうしろやぁー!

 おれが目を三角(さんかく)にして(にら)むと、浮かぶ珠と棒(めがみども)はぷいと(よこ)を向いた。


「そうね、まずわぁ(かま)えてみてよん()

 テーブルに(ころ)がる、御神体(ごしんたい)さま。

 一仕事終(ひとしごとお)わった(つら)だがぁ、いくさはこれから(・・・・)だからな。


「は、はい!」

 チャキッ――――ヴォヴォヴォゥゥゥン♪

 やや(こし)を落とし、レンズを片目(かため)(のぞ)こうとして――

 いつもの(ところ)に、ソレ(・・)が無いのに気づく少女(タター)

 のぞき(あな)のような(いま)までのとは(ちが)って、黒板(ひょうじ)(ばん))は目を当てなくても見える。


 ソレを理解(りかい)した少女(しょうじょ)が、上体(あたま)を持ち上げた。

 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥゥウゥン♪

 (うな)りを上げる長銃(じゅう)


 ヴュザザザッ――ヴィィ♪

 長銃(ちょうじゅう)に付けられたSDK(エスディーケー)弾倉(マガジン)(ふち)(ちい)さな黒板(がめん)

 黒板(そこ)(うつ)し出されているのは、女神像(めがみぞう)の間の(かべ)――

 其処(そこ)に張り付く黄緑色(おにぎり)が見えた。

 画面(くろいた)色味(いろ)緑色(みどりいろ)で、(いつ)し出されていても――

 その悪目立(わるめだ)ちする(いろ)健在(けんざい)で――


「みゃにゃぎゃにゃぁ()

 タターの背後(うしろ)集合(しゅうごう)するおれたち。

 ばかやろぅ、押すなや!

 オルコトリアは嵩張(かさば)るんだから、真ん(なか)陣取(じんど)るんじゃねぇやい!

 (たくま)しい(うで)(あたま)で押しのけ、長銃(スコープ)(そら)えられた強化服自律型(シシガニャン)を、じっと見た。


「ひと言で言うならぁ、〝山向こうの標的(・・・・・・・)を目で見て、直に(・・)(とら)えられるのわよ()

 ばかやろぅ、面妖(めんよう)なことを言うんじゃねぇやい!


山向(やま)こうの……(まと)に当てる?」

 少女(しょうじょ)タターの(くび)(かたむ)くと――

 表示板(くろいた)(した)に付いた(ちい)さな丸棒(ぼう)に、少女(タター)(ゆび)が触れた。


 それは〝魂徒労裏(コントローラー)〟や〝もちコン〟に付いたのと、(おな)(ぼう)だ。

 ふぉん♪

『ヒント>>コントローラー/テレビゲームや、自走する無線機器などを操作するための機器

    >>もちコン/4D超音波フェーズドアレイモジュール付き光源ユニット。照らした使い捨てシシガニャンを操るためのコントローラー』


 ソレに気づいた彼女(タター)が――ウィィイィィッ。

 (ぼう)(よこ)(たお)すと――ヴュザザッ♪

 どういう(わけ)か、タターの背後(はいご)に立つオルコトリアの――

 背中が見えた(・・・・・・)


   §


 おれたちは、三方(さんぽう)に分かれることになった。

 今回(こんかい)時間(じかん)との勝負(しょうぶ)だ。流石(さすが)子供ら(わらしども)を連れて行く、余裕(よゆう)は無い。

 そして、子供ら(わらしども)森の主(ファローモ)子供ら(むすめたち)(まも)るために、此処(ここ)にも戦力(せんりょく)を置いていかないといけない。

 そのための〝魔獣(まじゅう)オルタネーター・弾道SP(なんたら)だ。

 これで遊撃班(ゆうげきはん)二人(ふたり)に、ファローモのお宿(やど)(まも)りつつ――

 (やぐら)(うえ)から、東西両方(とうざいりょうほう)変異種(バリアント)(ねら)ってもらうことが出来(でき)る。


 ロォグと五百乃大角(いおのはら)箱に詰めて(・・・・・)長銃(オルタネーター)やルードホルドや迅雷(ジンライ)撃ち出す(・・・・)ことも考えたが――

 撃ち出したときの(いきお)いで、まずお猫さま(ロォグ)が死ぬらしい。

 しかも、その(はや)さで打ち出すくらいなら、ルードホルドで高高度馬車(こうこうどばしゃ)猪蟹屋(ししがにや)(こわ)れない馬車(ばしゃ))を引っ張った(ほう)が……(はや)く着くそうだ。



(わたくし)(かに)心底(しんそこ)(おそ)ろしいですわっ!」

 そう(おび)える悪逆令嬢(ロットリンデ)のため、タターに長銃(ちょうじゅう)変異種(てきのすがた)を、山なりに見てもらった(・・・・・・・・・・)

 ヴュザザザッ――ヴィィウィィィィィィィイィィィィィッ♪


「なんだぜこりゃ……(いも)か?」

「お団子(だんご)……ではないでしょうか?」

「いやいや、こりゃぁ……(うま)(さけ)(はい)った大樽(おおだる)だぜ?」

「きっと……(あま)いお菓子(かし)のぃ?」

 流石(さすが)遠すぎる(・・・・)のか――いつまでたっても、角張った芋か団子(・・・・・・・・)にしか見えなかった。


 ふぉふぉん♪

『>>超広角映像の解像度を上げるためには、増設したSDK弾倉の強化学習が必要です』

 はぁ? 時間(じかん)が掛かるってことか……それじゃ意味(いみ)ねぇんじゃね?


超解像度化(アップスケーリング)のためのデータセット構築(こうちく)まで、多少(たしょう)のお時間(じかん)が掛かるわよぉーん()

 わからんし、それじゃ意味(いみ)ねぇんじゃね?

 ふぉん♪

『イオノ>>実戦投入すればするほど、早く正確になるわよ』

 ぬぅ、神々(かみがみ)頓知(とんち)わぁ、いちいち修行(しゅぎょう)必要(いる)てぇのがぁ――

 便利(べんり)なのか不便(ふべん)なのか、いまいちわからんなぁ!


 (しし)だか(かに)だか不確(ふたし)かな以上(いじょう)(うら)みっこなしと言うことで――

 リスト分けは当初(とうしょ)のまま、ロットリンデたっての希望(きぼう)で、向かう方角(さき)が入れ替えられた。


 シュドドドンッ――――!!!

 (てん)へ向かって無造作(むぞうさ)(はな)たれる、魔銃の咆哮(オルタネーター)

 ソレを合図(あいず)に、風神(ふうじん)(また)がった轟雷(おれ)と、(ほか)10(めい)西(にし)へ。


 シュドドドンッ――――!!!

 辺境伯(へんきょうはく)名代(みょうだい)ルリーロさまと(ほか)11(めい)も、(ひがし)へ向かう。


   §


「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ!!」

 まさかの、巨大(きょだい)モクブート。

 西(にし)へ向かった、おれたちの(まえ)姿(すがた)(あらわ)したのは――

 (しし)(ほう)だった。


「向こうは、さぞかし……(ひど)いことになってるんだろぅなぁ」

 おれたちが、変異種(バリアント)遭遇(そうぐう)してから(やく)分後(ふんご)


 泥音(どろおん)配置(はいち)とやらが完了(かんりょう)し――

「スピーカーホンで、お(ひめ)ちゃんと(つな)ぐわよん()

 五百乃大角(いおのはら)板ぺら(スマホ)を、リカルルと(つな)いだ。

・50uas/12・7ミリ(50口径)のカートリッジ弾規格のひとつ。uasは〝撃てば当たるイオノちゃんスペシャル〟の略。使用弾頭に構造上の制約は、ほぼ無い。

弾道学/バリスティクス。投石から砲弾、はては大陸間弾道ミサイルまで、ありとあらゆる飛翔体の挙動に関する学問。近年では宇宙開発的側面が強くなっている。

射撃諸元算定プログラム/瞬時に複雑な物理学的計算を行い、精密な射撃を可能にするデータコンピュータ。バリスティックコンピュータ。

高解像度化/画像や映像のピクセルを拡大し補完するプロセス。失われた変化の高い高周波部分をAIにより推定・復元することで、自然に解像度を上げる技術も含まれる。アップスケーリング。

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