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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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720/744

720:大森林保全組合本部詰め所女神像の間にて、作戦立案と森林迷彩

「でわでわぁ――えーっと、ウェレが……で、ルィノが……だからぁ――」

 ぺらぺらら、ととつつつーっ♪

 〝古代文字逆引(こだいもじぎゃくび)辞典(じてん)〟が(めく)られ、指先(ゆびさき)(ページ)をなぞる。

 ジューク村長(そんちょう)(あら)たに(えが)いた、2つの紋様(もんよう)

 その(ちい)さな曼荼羅(まんだら)を、読み解く(・・・・)商会長(しょうかいちょう)


「それで、変異種(バリアント)情報(じょうほう)(なに)か、わかったのかい?」

 鉄鍋(てつなべ)のような鉢金(かぶと)に、簡素(かんそ)胸当(むねあ)てと、ちょっと(いか)つい手甲(てっこう)甲懸(こうかけ)

 その(すべ)てがアダマンタイト(せい)の、冒険者風(ぼうけんしゃふう)格好(かっこう)

 (かぶと)には逆さまの(・・・・)魔導騎士団(まどうきしだん)紋章(もんしょう)(はい)ってる。

 つまり本式(ほんしき)には〝(なべ)として使(つか)う〟っていう……料理人(りょうりにん)としての矜持(きょうじ)かもな。


 それと〝(なん)魔導騎士団(まどうきしだん)紋章(もんしょう)(はい)っているのか?〟は――

 ガムランの良心(りょうしん)、木さじ食堂(しょくどう)女将(おかみ)さんが、(じつ)は――

 〝魔導騎士団(まどうきしだん)総大将(そうだいしょう)さまだから〟だ。


 ガチャガチャ――パッシュン――ギュチッツ――ガゴゴン――ドズズズゥゥン――ゴォズズズムン!!!

 見ればみんなそれぞれ、魔物(まもの)を狩りに行くときの格好(かっこう)着替(きが)えてやがる。

 おれも、そろそろ轟雷(ゴウライ)着替(きが)えたい(ところ)だが――

 此処(ここ)で着たら旅籠屋(はたごや)を、また(・・)建て(なお)さないといけなくなる。


 ふぉん♪

『>>シガミー』

 ふぉん♪

『シガミー>>どうした?』

 ふぉん♪

『>>猪蟹屋標準制服の性能やデザイン上の機能には、何ら問題は無いのですが』

 ふぉん♪

『シガミー>>制服がどうした?』


 ふぉん♪

『>>一般的な給仕服や執事服と、ほぼ同型のため、市街地において識別しづらいのではないかと』

 見分け辛い(・・・・・)だと?

 そもそもコントゥル家の従者服(じゅうしゃふく)を、そのまま真似(まね)したもんだからな。

 街中(まちなか)なら(たし)かに、(まぎ)れちまうだろうよ。


 ふぉん♪

『イオノ>>それって部隊としての制服デザインを、統一しようってことわの?』

 女神像(めがみぞう)の間を見渡(みわた)せば、支給(しきゅう)した猪蟹屋(ししがにや)標準制服(ひょうじゅんせいふく)を着ている(やつ)も居る。

 リオレイニアにタターにニゲル、そしてラプトル王女殿下(おうじょでんか)だ。


 それと遊撃班(ゆうげきはん)として行動(こうどう)するときには、オルコトリアもウチの制服(せいふく)を着てる。

 (もと)はメイドや執事(しつじ)(ため)(ふく)だから(うご)きを(さまた)げず、頑丈(がんじょう)(やぶ)れず(よご)れない。

 かと言って飛び抜けて(たたか)いに(てき)しているかと言われれば、其処(そこ)までではなく――

 (たたか)いに向いた(ふく)というなら、〝戦術級(せんじゅつきゅう)強化鎧(きょうかふく)鬼殻(おにがら)轟雷(ゴウライ)以上(いじょう)(もの)はない。

 もちろん、〝極所作業(きょくしょさぎょう)用汎用(ようはんよう)強化服(きょうかふく)・シシガニャン虎型(とらがた)〟もそうだ。


 ふぉん♪

『>>はい。森林地帯における白色のエプロンは、標的にされる危険があります。森林迷彩の導入を、検討するべきでは?』

 おれは自分(じぶん)今着(いまき)てる給仕服(メイドふく)の、前掛け(エプロン)を持ち上げてみる。

 うむ。(すく)なくとも、夜討ち(・・・)には向かんな。

 ヴォォン♪

 小窓(モニタ)表示(ひょうじ)されたのは、草の絵が描かれた(・・・・・・・・)……布地(ぬのじ)か?

 これで(ふく)(つく)って(くさ)むらに寝転(ねころ)んだら、見分(みわ)けられんな。


「うむむぅ」

 この(ところ)ずっと、出かけるときには、給仕服(こいつ)を着てたが――

 リオやタターや茅野姫(ほしがみ)普段(ふだん)から着てるから、(だれ)(だれ)やら(まぎ)らわしかった。


 ふぉん♪

『シガミー>>烏天狗や天狗の服や、おれの元の薬草取りの格好。ああいう普通の冒険者としての、出立ちが居るな』

 フェスタの(とき)(かぶ)いた(ふく)(まつ)りでもなけりゃ、とても着られんし。


「ららぁん?」

 ラプトル王女(おうじょ)背中(せなか)に、とんでもなく(おお)きな人形(・・)背負(せお)おうとしてる。

 ドレスの(まえ)にも無数(むすう)人形(にんぎょう)(しば)り付けているから、身動(みうご)きし(づら)そうだ。

王女(おうじょ)さま、手伝(てつだ)うぞ」

 五百乃大角(いおのはら)たちが〝ぬいぐるみ〟と呼ぶ、(ぬの)出来(でき)人形(にんぎょう)

 此奴(こいつ)らは(ドレス)からむしり取り(・・・・・)とおくへ放ると(・・・・・・・)(ふく)れ上がり――

 (ひと)や生き(もの)()した、厳つい(・・・)魔導人形(ゴーレム)になる。


「シガミーさん、ありがとうございますららぁぁん♪」

 フワフワモコモコの人形(ぬいぐるみ)(あし)四本(よんほん)で、(うで)二本(にほん)

 こんな姿(すがた)動物(どうぶつ)魔物(まもの)わぁ、居たかなぁ?

 ふぉん♪

『>>足の形状や膝下の長さの比率から、王女殿下がニゲル青年を助けるべく突進してきた際に搭乗した、四つ足の馬車の亜種と思われます』

 央都(おうと)(かべ)(ある)いていた、巨大(きょだい)なゴーレムに似た(やつ)だな。


 (まえ)背中(せなか)に、でかい馬形(・・)背負(せお)っていたが――

 (うま)だか馬車(ばしゃ)だかわからん(やつ)(もり)を埋め尽くし、行軍(こうふん)する(さま)(あたま)(よぎ)る……世も(すえ)だぜ。

 兵卒(へいそつ)一度(いちど)(はこ)ぶなら、どうしたって五百乃大角(いおのはら)茅野姫(カヤノヒメ)お猫さま(ロォグ)の力で――

 いくさ場の本陣近くに(・・・・・)女神像(めがみぞう)転移扉(てんいとびら)を建てるほかあるまい。



「あったわぁー、これよぉー! うふふ、ええとーぉ――〝(しし)〟と〝(かに)〟の(すがた)をしていますわねー♪」

 (しし)(かに)だと!?

一体何(いったいなん)の、冗談(じょうだん)だぜ!?」

 分厚(ふあつ)(ほん)から(かお)を上げた商会長(しょうかいちょう)に、視線(しせん)(あつ)まる。


「(そうだぜ、惑星(わくせい)ヒースの様子(ようす)なら、どこでも見られるんだろ?)」

 変異種(へんいしゅ)が居る大森林(だいしんりん)西(にし)(ひがし)(はず)れを、上から直接見りゃ(・・・・・・・・)――


 ふぉん♪

『>>静止衛星APIによる撮影範囲外です。ドローンを向かわせていますが、到着まで約6時間ほど掛かります』

 泥音(いたぺら)で6時間(じかん)か。待ってたら変異種(へんいしゅ)が、何処まで強くなるか(・・・・・・・・・)わからんぞ。


「それにしても……(たち)(わり)ぃ、冗談(じょうだん)だぜ」

 (しし)(かに)……つまり前世(ぜんせ)のおれ、僧兵猪蟹(そうへいししがに)の名。

 それと(おな)()を持つ魔物(まもの)が、大森林(だいしんりん)両端(りょうはじ)(ひがし)西(にし)一匹ずつ(・・・・)姿(すがた)(あらわ)したって言うんだからなぁ。


(ひがし)西(にし)のどちらに、(しし)(かに)が居るのかまでは、わかりませーん!」

 わからんのか。


(かし)……(かに)ぃ――!?」

 傾国の魔物(ロットリンデ)呆然(ぼうぜん)と、商会長(しょうかいちょう)を見つめた。


   §


 ヴヴヴヴヴヴッ――――?

 (はや)くも臨戦態勢(やるき)の、蜂の魔神(ルガレイニア)

 ふぉん♪

『ルガレイニア>確認します。作戦は、このようになります』

 また(はち)(ひと)が、さかしまになってるぞ。


 ヴヴヴヴヴゥゥン♪

 (しろ)衝立(ついたて)に、黒筆(タブレット)で書き込まれたのは――

 (おお)まかな大森林(だいしんりん)地図(ちず)

 ふぉふぉふぉふぉん♪

 そして、西(にし)へ向かう(もの)たちの名前(リスト)

 ふぉふぉふぉふぉん♪

 そして(ひがし)へ向かう、おれたちの名前(リスト)


 真ん(なか)に描かれた(まる)は、〝ファローモのお宿(げんざいちて)())〟

 その両脇(りょうわき)二つの箱(・・・・)は、ネネルド(むら)へ飛んだときに使(つか)った、高高度用馬車(こうこうどようばしゃ)(あらわ)している。

 西(にし)へ向かう馬車(ソレ)を牽くのは、辺境伯名代(ルリーロさま)が駆る〝ルードホルドの魔法杖(まほうつえ)〟。

 (ひがし)へ向かう馬車(ソレ)を牽くのは、五百乃大角(いおのはら)とおれが駆る〝恐竜(きょうりゅう)モドキ風神(フージーン)〟。


「それでこいつは(・・・・)、どのくらいの(たか)さが必要な(いる)んだ?」

 旅籠屋()から生えた縦棒(たてぼう)は――これから建てる(やぐら)だ。

「ココかラ直接(ちょクせつ)変異種(ヴァリアント)(ねラ)(たメ)にハ(やク)3・2キロメートルの(タか)サの(やグら)必要(ひつヨう)にナりま()

「はぁ!? いくらおれでも、そんな(たか)さの(やぐら)は組めんぞ!?」

 しかも、建てたその(うえ)陣取(じんど)るのは一本角(いっぽんつの)鬼娘(おにむすめ)と、鬼族(それ)(かか)えられた(ちい)さな少女(しょうじょ)だ。

 (つよ)(かぜ)に、吹き飛ばされない(わけ)がねぇ。


「あー、それねー。ぜんぜんまったく大丈夫(だいじょうぶ)わよー()

(なに)がどう大丈夫(だいじょうぶ)なんだぜ?」

 言ってみろやぁ。


「タタッタちゃん、ちょほーっとおいでぇ()

 美の女神(いおのはら)御神体(ごしんたい)が、にたりと(わら)った。

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