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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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717/744

717:大森林保全組合本部詰め所女神像の間にて、ルガ蜂の巣と不穏な知らせ

 ヴォゥーン♪

『――岩木?木木木木木木木◎滝木木水木木木木?木岩草草山――』

 光の縁取り(こだいまじゅつ)で書かれてるから、ちぃとわかり(づれ)ぇが――


「いや……待てやぁ。よく見たら、巨木(きょぼく)が2(ほん)しか生えてねぇぞ!?」

 (もり)の木や(むら)(しめ)(かたち)とは、(あき)らかに(ちが)う――『(かたち)』。

 それが大分(だいぶ)、減ってやがるぜ。


 ふぉん♪

『>疑問符ですね。卵から生えた蛇のようにも見えますが?』

 ふぉん♪

『ヒント>?/ハテナマーク、疑問符。疑問文の最後に置かれる終止符。クエスチョンマーク』

 『(アレ)』が巨木(きょぼく)なんだとして――随分(ずいぶん)(はな)れた(ところ)に、生えちまってるぞ。


巨木(きょぼく)? その心配(しんぱい)は、無くなったのでは?」

 眼鏡(めがね)(ふち)を持ち上げ、メイドが(たず)ねる。


「プークスクス♪ (なや)みの()であった巨大な卵(イースターエッグ)からは無事(ぶじ)お子さん(・・・・)が生まれましたしねー()

 (どんぶり)ひとつを乗せた(トレー)片手(かたて)に――

 星神茅野姫(ほしがみかやのひめ)が、階段(かいだん)を降りてやって来た。


 おれと瓜二(うりふた)つの華奢(きゃしゃ)な、その姿(・・・)は――

 彼岸(ひがん)彷徨(さまよ)ったおれが、轟雷(ごうらい)変異種(バリアント))を脱ぎ――

 (ひと)の子に(もど)ったときの、(からだ)だ。

 此方(こっち)シガミーの体(・・・・・・)(くら)べると、(あたま)ひとつ(おお)きくて――

 迅雷(ジンライ)長く伸ばせた(・・・・・・)から、中々良(なかなかよ)かったんだが、結局(けっきょく)――

 星神(ほしがみ)(ちから)によって取り替えられ(・・・・・・)(もと)(もど)った経緯(けいい)がある。


 くるりと一回転(ひとまわり)

 ふわりと舞い上がる、給仕服(メイドふく)(すそ)

 (トレー)水平(たいら)(たも)ったまま、(こし)を落とし片足(かたあし)を引く。


 その所作(うごき)は、こうして(はた)から見りゃ、しゃらあしゃら(・・・・・・・)極致(きょくち)

 王都(おうと)町中(まちなか)でも到頭(とうとう)出会(でくわ)さなかった(ほど)可憐(かれん)さ。

 (ひめ)さんたちやリオレイニアとは又別(またべつ)の、(そだ)ちの良さみたいなのを(かん)じる。


 猪蟹屋二号店(ししがにやにごうてん)使(つか)われてる、獣耳(けものみみ)が付いた頭飾(あたまかざ)り。

 (あたま)に乗せたソレが(ちい)さく揺れ、とてもかわいらしい。


 ふぉん♪

『>>外見上の特徴は、シガミーと96%一致していますが』

 そうだな。おれには出来(でき)ぬ――(たたず)まい。

 つまりは、中身(・・)問題(もんだい)だ――(やかま)しい。


 星神(こいつ)さまは、おれたちが生きる、この惑星(わくせい)ヒースを(つかさど)っている。

 龍脈(りゅうみゃく)実際(じっさい)(あやつ)ることが出来(でき)るし、こと〝地面(じめん)〟に(かん)しちゃ――

 五百乃大角(いおのはら)迅雷(ジンライ)よりも、〝神々(かみがみ)しい〟ことをする。

 そしておれよか余程(よほど)世事(せじ)(つう)じており――

 神々(こうごう)しさの(よう)(もの)は、(ほとん)(かん)じない。


一体何処行(いったいどこい)ってやがった、(さが)してたんだぞ?」

 見た目は、可憐(かれん)そのものだが――

 ふぉん♪

『シガミー>また、悪巧みか?』


 ふぉん♪

『ホシガミー>いえいえ、そんな。クスクスプー♪』

 (わら)うな(わら)うな。大方(おおかた)金儲(かねもう)けに決まってる。

 そう、星神さま(カヤノフメ)守銭奴気質(・・・・・)が、(たま)(きず)なのだ。


「ちょっと面白(おもしろ)食材(しょくざい)が、手に(はい)った(もの)ですから――試作(しさく)した、お菓子(かし)をお持ちしただけですわ()

 (おお)ぶりの(どんぶり)を、どんと(テーブル)に置いた。

 全員(ぜんいん)(なか)を、(のぞ)き込む。


(なん)だぜ、この立て込んでるときに……こりゃ、饅頭(まんじゅう)か?」

 随分(ずいぶん)(うす)(いろ)だが、蒸した饅頭(まんじゅう)だ。

 ごそっ――んっ?

 (なん)(うご)いたぞ!?


「あら? (むし)が――!?()

 星神(ほしがみ)饅頭()のひとつを、持ち上げると――ぶらん。

 引っ付いてきたのは、美の女神(いおのはら)御神体(ごしんたい)


本当(ほんとう)だ、(わる)(むし)が付いてやがった!」

 おれは悪い虫さま(いおのはら)を、ペチリと(はた)き落とした。


   §


「ムハ(はひ)()ほ、()つへはわほへん……もぐむぎゅ、ごくん。ぷはぁっ、風神(ふうじん)ちゃんがぁ呼ぶからさぁ、行ってみたのよねぇ()

 悪い虫(・・・)がペロリと、饅頭(まんじゅう)(たい)らげる。


武佐左妣(ムササビ)ぃ? あぁ……ルガ蜂(・・・)って言ったのか」

 ふぉん♪

『シガミー>>近くに生えてるらしい茸が食べたいって言うから、首輪を外してやったが問題は無かったんだろうな?』

 ふぉん♪

『>>風神の兜に内蔵された、外部カメラのログを確認しましたが、特に問題はありません。ただ』


 ふぉん♪

『シガミー>>ただ、何だぜ?』

 ふぉん♪

『>>件のルガ蜂の襲撃を受け、体力を消耗したようです』

 ヴォヴォゥゥン♪

 小窓(こまど)(うつ)し出されたのは、厳つい顔つきの(・・・・・・・)羽根虫(はねむし)

 ヴヴヴヴウヴヴヴとうるせぇ其奴(そいつ)らは、風神(ふうじん)尻尾(しっぽ)蹴散(けち)らされていく。


 (つぎ)小窓(こまど)(うつ)し出されたのは、(そと)東屋(あずまや)――風神(ふうじん)寝床(ねどこ)だ。

 戦利品(せんりひん)(はち)の巣を枕にして(・・・・)(おお)いびきを掻いてやがる。

 ふぉん♪

『シガミー>>まぁ、怪我が無かったなら良いが』

 おれは(となり)に立つメイドを見た。


(なに)か?」

 魔神(まじん)再来(さいらい)とまで呼ばれるメイドと、目が合った。

 (かかと)を持ち上げ、眼鏡(めがね)指先(ゆびさき)を添えられる。


(なん)でもない、(なん)でもないぞ! こいつぁ、蜂蜜入(はちみつい)りなのか?」

「はい。生地(きじ)(なか)(あん)両方(りょうほう)に、使(つか)いましたわ()

 おれは丼鉢(どんぶりばち)(なか)から、ひとつつかんだ。


「「「「「「「「「どれどれ」」」」」」」」」

 大事(だいじ)(はなし)途中(とちゅう)だが、(めず)しい食い(もの)と言われちゃ――

 手も伸びるってもんだぜ――もぐり。


 もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ――「お・い・し・い()

 悪い虫(ごしんたい)まで、また舌鼓(したつづみ)を打ってやがる。

 お(まえ)さまは、さっき食ったばかりだろーが。


「うん、なかなかいけるぜ♪」

 こりゃ良いな。餡子(あんこ)(あま)さと(ちが)って――

 何方(どっち)かと言やぁ、高級菓子店(ロットリンテール)(あじ)(ちか)い。

「「「「うまい♪」」」」

「「「「「おいしい♪」」」」」

 なんて(こえ)に気を良くした守銭奴(ほしがみ)さまが、計算魔法具(けいさんまほうぐ)をペチポチと(はじ)き出した。

 やっぱり(もう)(ばなし)じゃねぇか。


素敵(@てき)ですね♪」

「ぎぎるに♪」

「ぎにるぅ♪」

 森の主(ファローモ)母娘(おやこ)たちも両手(りょうて)饅頭(まんじゅう)をつかみ、(うま)そうに食ってる。

 む、両手(りょうて)で?


商会長(しょうかいちょう)、パースッ!」

 饅頭(まんじゅう)(くわ)えた悪逆令嬢さま(ロットリンデ)が、(なに)かを投げた。

「えっ、きゃっ!? (あぶ)なぁい!!」

 口元(くちもと)を押さえ、片手(かたて)(ほう)られたソレをガシリと受け取る――

 大森林勢(だいしんりんぜい)最強(さいきょう)にして、元宮廷(もときゅうてい)魔導師(まどうし)


 女将(おかみ)さんの母上(ははうえ)である、コッヘル商会会長(しょうかいかいちょう)に抱きかかえられたのは――

「やっと、(はな)してくれたぁ――!」

 (もり)主第二子(ぬしだいにし)であるファロコの(いもうと)に、つかまれていた手が(はな)れた(すき)に――

 おれたちの級友(きゅうゆう)であるレトラ(じょう)が、(すく)い出された。


「それで、こんな(ところ)(なん)(はなし)わのよ()

 そうだな。(もう)(ばなし)をしてる場合(ばあい)じゃ――


 ふぉルるォらレぃ!

 ふォるるぉられィ!

 フぉるルぉラれぃ!

 突然(とつぜん)女神像(めがみぞう)の間に鳴り(ひび)いたのは――

 いつだか聞いた、不穏(ふおん)調(しら)べだった。


高警戒度(こうけいかいど)のバリアントを検出(けんしゅつ)高警戒度(こうけいかいど)のバリアントを検出(けんしゅつ)。ただちに調査(ちょうさ)ならびに迎撃行動(げいげきこうどう)を――――♪」

 それは、目を(ひか)らせた女神像(めがみぞう)から(とどろ)大音量(だいおんりょう)


「ぎゃっ! あたくしさまからの、お告げ(・・・)わよ!?()

 女神像(めがみぞう)から(はっ)せられる、騒々(そうぞう)しい陣鐘の音(サイレン)に――

 (おそ)(おのの)く、美の女神(いおのはら)御神体(ほんたい)


 かっしゃん!

 受付嬢(リカルル)が駆け寄り、(ぞう)が手にした小箱(こばこ)(さぐ)る。

 (おと)(とま)り、ジジジーと出てきた(なが)(かみ)を読む。

「ここ、大森林(だいしんりん)エリアで変異種(へんいしゅ)が、発見(はっけん)されたようですわっ!」

 (かみ)を受け取る、一本角(いっぽんつの)受付嬢(どうりょう)

「その(かず)二体(にたい)。エリア東端及(とうたんおよ)西端(せいたん)に、一体(いったい)ずつ出現(しゅつげん)したようね!」

 パリッ――緊張(かみなり)一本角(つの)(はし)る。


 ふぉん♪

『>>どうやら手間取っている間に、由由しき事態が起きてしまったようですね』

 そうらしいな。


女神像(めがみゾう)ネットワークへ照会(しょうかイ)詳細(しょウさい)出現地域(しゅつげんチいき)特定(とクてい)しまシた――大森林(だいシんりん)エリアノ地図(ちズ)(かさ)ねマ()

 迅雷(ジンライ)がヴヴヴと(ふる)え――ふぉふぉぉん♪

(ヴォン)』『(ヴォン)

 (テーブル)(うえ)表示(ひょうじ)される、(ふた)つの(しるし)

 ソレを(かこ)むように(えが)かれていく、(やま)(おか)(たに)


「このお化け(・・・)みたいなマーク、(まえ)にも見たわねん()

 足下(テーブル)を踏みつける、(ちい)さな(あし)

表示形状(ひょうじけイじょう)はサンプルでス。大森林(だいしンりん)エリアマのッピングハ空撮画像並(くうさツがぞうなら)びニ、ミギアーフ(きょウ)にヨる測量(そくりょウ)にヨり64(パーセント)終了(しゅウりょう)してオりま()

 くるりと一回転(いっかいてん)した、浮かぶ棒(ジンライ)目が合った(・・・・・)

 おれは(あご)を、ジューク村長(そんちょう)足下(・・)へ向ける。


 ヴォゥーン――♪

 古代魔術(こだいまじゅつ)の、(ひかり)地図(ちず)に――

 ふぉふぉぉん――♪

 (つく)りかけの大森林(だいしんりん)地図(ちず)が、(かさ)ねられた。


 ヴォふぉふぉぉぉん――♪

 森の主(ファローモ)(しめ)した〝2つあると(おそ)ろしい巨木(きょぼく)〟の場所(ばしょ)と――

 女神像(めがみぞう)(はっ)した、〝変異種(へんいしゅ)〟の出現位置(しゅつげんいち)が――


完全(かんぜん)一致(いっち)わね()

 まぁ、そりゃそーだ。


   §


 かっしゃん!

『A級討伐クエスト

 大森林保全を最優先に、脅威の排除を行う

 依頼内容:大森林の東と西に現れた、二体の変異種の討伐

 依頼人:ファローモ・ファローモ

 報酬:希少な森の幸詰合せ』

 そう書き(なぐ)られた書類(かみぺら)女神像(めがみぞう)(とお)され、正式(せいしき)なクエストとして受理(じゅり)された。

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